ラスト、コーション 【発見】

Se, jie (2007) アメリカ/香港/台湾/中国
色・戒
監督:アン・リー
出演:トニー・レオン、タン・ウェイ、ワン・リーホン、ジョアン・チェン

■あらすじ
第二次世界大戦中、日本軍占領下の上海で、易(イー)夫人の邸宅で麻雀に興じるマダムたち。最近、そこに商人の若妻マイ夫人が加わった。彼女の正体は工作員ワン・チアチーで、抗日活動を取り締まる立場である特務機関員のイーを暗殺するために潜り込んでいる。
やがてイーを誘惑することに成功し、暗殺決行のときが来た・・・。

■雑感/編みどころ
チアチーは香港にいた大学生の頃、兄を抗日戦で亡くしたクァンの誘いで愛国劇に参加。彼の熱意により、劇を演じる仲間たちは暗殺という実際の活動に向かいます。

その劇中に編み物が登場!
幕が開いた舞台の上、眠っている母の傍で娘(演:チアチー)が編んでいます。
濃いグレーの毛糸で、ちらっと見ではイギリス式に近い感じ。
その後、舞台上の物語では兄が戦死し、別の兵士(演:クァン)に「これは兄のために編んだものよ」と言って手渡します。
マフラーみたいに見えますが、畳まれていてよくわかりませんでした。

石井裕也監督作2本 【発見】

川の底からこんにちは (2010)

出演:満島ひかり、遠藤雅、志賀廣太郎、稲川実代子

■あらすじ
「しょうがない」が口癖のOL佐和子は、上京して5年目で5つ目の職場。
5人目の彼氏の健一は、妻に逃げられたらしい子連れの課長。
何事も「中の下」である自分には分相応だと諦めている。
訳ありで家を出てから帰る気も無かったが、父親が入院したとの知らせが入る。エコ好きの健一は田舎で家業のしじみ工場を継ぐことに積極的で、仕方なく帰ることに・・・。

■編みどころ
珍しく、編み物男子です!
健一が佐和子のためにセーターを編んでいますが・・・。

自分が着ているベスト(模様や襟がズレたような水色のVネック、こんな変なの衣装として作ったんだ!?って感じ)と「同じタイプでいいんだよね?」 とか「ステッチの感じはどう?」と聞いてくるのに対し、佐和子が興味がなくてかみ合わないのが可笑しいです。
まあ、すべてにおいてこんな調子ですけどね。
編みシーンが背景的にではなく、会話にも出てくるのがポイント高いです。

セーター用の毛糸も水色で棒針編み、左の人差し指に糸をかけているからフランス式ぽいけど、独特なギコギコした編み方。力みすぎなのでは?
何も見ないで編んでいるので、そこのところはなかなかやるな~って思います。
途中でも編んでいて、最後には無事完成。

意外と登場が多くて大発見でした!


舟を編む (2013)

出演:松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー

■あらすじ
出版社では「大渡海」という新しい辞書を作ることになった。
儲けを生まない辞書編集部は人材不足に悩んでいたが、営業部が肌に合わない様子の馬締(まじめ)が来てから編集作業は順調に進む。そして13年後「言葉の海を渡る舟」と銘打った辞書がようやく完成した。

■編みどころ
辞書の完成間近、高齢の監修者(加藤剛)が病院で休む傍ら、妻(八千草薫)が編み物を手にしています。編み進めるというまでは行きませんが、右手の指に糸がかかっていたのでアメリカ式かな。これはご本人の構えなのでしょうか?ちょっと気になります。


今回も、むさんに『舟を編む』のことを教えていただきました。
情報ありがとうございます!
“編む” と “映画” でよく検索にかかるので気になっていましたが、本当に編み物が出てきていたのですね。
その関係でチェックしているうち『川の底・・・』でも発見できて二毛作的収穫!

ロード・ジョン・グレイ3作目

『ゲールの赤き火影』 ダイアナ・ガバルドン

The Scottish Prisoner (2011) 加藤洋子 訳

『アウトランダー』シリーズの登場人物のひとり、ロード・ジョンが主人公の物語。
現在読んでいる本編(20)より十数年前の話です。
過去2作はジョンがメインだったけど、今回はジェイミーがかなり登場して、まだ幼い息子への愛情やクレアと子供を案ずる思い、それを見守る?ジョンの心情などが綴られており、スピンオフというより本編とセットで両方美味しくなるという内容でした。

このシリーズの読みどころにジョンの恋愛がありますが・・・前作にも登場していた人物と深い関係になり、それが肝心のシーンで曖昧な表現になっていて、逆にどういう状況なのかとあれこれ想像してしまいました。
ジョンが意外と空想癖があるキャラになっているのも笑えます。

本編の新作も本国では来年出版予定なので、そろそろ21巻以降を読んでおこうかな。

サンカ手袋再燃!・・・か(←小さく)

前回サンカ手袋を編んでから、かれこれ10年以上経っています。
ずっと編みたいとは思っていたけどなかなか・・・。
そして今年、ようやく始めた折も折、びっくりの本が出版されました!
スコットランドの伝統てぶくろ(miro press 編)

何というタイミング!
こんなにサンカ手袋が特集された本が、かつてあったでしょうか?
他にもいろいろと後押しされることがあり、やはりそういう時期なのかなと不思議な感じです。

本の内容は、予想より情報量がありました。
『世界のかわいい編み物』のようなグラビア的なものかもしれないと思っていましたが、写真中心だけど歴史とニッターさんの紹介もあり、作品数も多いです。
アリソン・トムソンさんのお姿は初めて見たし、何より嬉しかったのはサンカ祭りinスミソニアンで まさんがレポートしてくれたメイ・マコーミックさんが登場していること!
その健在ぶりはもとより、彼女の編んだものがお手本として多数掲載されていて感激です。

残念だったのは、シェトランド手袋のほうは編み方が載っていたのに対し、サンカ手袋の編み方は無く、模様のチャートだけということです。載せられない事情が・・・?と思ってしまいました。

まだ目を通したばかりなので興奮気味、気がついたことがあればまた書きます。

で、自分のは全然進んでいません。
長丁場になること間違いなしと来年の予定で・・・。

おなじみの四角いマスではなく、Shepherd’s Plaid というパターンです。
赤い部分は内側に折り込まれて二重のカフになるので外側から隠れます。
短針はやめて、糸が丈夫なのでマジックループにしました。
たぶんもう少し編んだら「これじゃダメだ!」って最初から編み直しになりそうだけど、編んでみなくちゃわからないんですよね・・・。

サンカ手袋のことは本館でもっと追求したかったのですが、中途半端になっていて気がかりではありました。じっくりやってみますか。

マーサ、あるいはマーシー・メイ 【発見】

Martha Marcy May Marlene (2011) アメリカ
監督:ショーン・ダーキン
出演:エリザベス・オルセン、ジョン・ホークス、サラ・ポールソン、ヒュー・ダンシー

■あらすじ
カルト集団から逃げ出して姉夫婦の家で暮らすマーサ。
2年間の出来事を何も語らない彼女だが、夢と現実の区別も曖昧になり、時に激しく怯え日常生活もままならなくなる・・・。

■雑感
少し離れた目線で淡々と描かれているので、マーサ、姉夫婦、カルト集団のメンバーそれぞれの心理が平等に伝わってくる感じです。余計な演出がなく、静かな現実味があります。
断片的な状況しかわからないけれど、マーサが集団に加わるようになった経緯や今後のケア、また、集団のリーダーや他のメンバーのことなどいろいろと気になりました。

■編みどころ
冒頭、集団生活の家のポーチで椅子に腰掛けた若い女性たち。手元はよく見えないけど、その中の一人がグラニースクエア風ブランケットを編んでいるようでした。

集団に入って間もなく、古株のケイティに「編み物は?」と聞かれ「ダメ でも覚える」とマーサ。
その後ケイティは町で毛布(ブランケット)を売って現金収入を得ている、農場が成功すれば自給自足できると語りますが・・・つまり今は現金が足りないということです。
これが意味するところも、後にマーサが苦しむ一因なのでした。

塔の上のラプンツェル 【発見】

Tangled (2010) アメリカ
監督:ネイサン・グレノ、バイロン・ハワード
出演:マンディ・ムーア、ザッカリー・リーヴァイ

■あらすじ
ケガや病気を治すという魔法の花があった。
王妃が出産間近に容態が悪くなり、王は花を探し出し無事に王女が誕生した。
密かに花の力で若さを保っていた老婆ゴーテルは、王女ラプンツェルを誘拐して森の奥で育て、髪に宿る魔法の力を利用する。
ラプンツェルはゴーテルを母と慕い、言いつけを守って塔の上で暮らしていたが、18歳になり外の世界への興味は募るばかり。そこへお尋ね者フリンが飛び込んできた。

■雑感
ヒロインが幽閉されていたわりに人見知りせず、おっちょこちょいで明るい性格なのもあって、あまり昔話らしくなく、くだけた感じです。
ゴーテルは魔法使いってわけでもなく、若返って何をしていたのか私生活がわからず、花を奪われて気の毒なようでもあり、そこが何となくスッキリしませんでした。

■編みどころ
冒頭のミュージカルシーン「自由への扉」の中で、ラプンツェルが塔の中で時間を持て余し、絵を描いたりギターを弾いたり料理をしたり・・・そのひとつに編み物が登場!
右の指に糸をかけて、グレーの長いマフラーのようなものを編んでいます。

また、荒くれたちが集まる酒場でのミュージカルシーン「誰にでも夢はある」は、たむろしている乱暴者たちが自分たちにもいろんな(見かけによらない)夢があるという歌。
お花屋さん、ケーキ屋、編み物、裁縫・・・などが歌われ、小さな緑色の靴下を編んでいる大男がいます。これもアメリカ式。

ベリー柄マフラー2枚目終わり

何だかんだ文句を言いながらやっと完成。
見た目はともかく、実用本位で良いと言ったものの、巻いてみるとムズっと・・・
えっ、今更何ですかあなた。大丈夫そうだったじゃない?
ベビーとはいえアルパカは危険だったかな・・・
緩めに編んだのに・・・
まったくもう、なんでこう面倒くさいのかなーこの人は!(人格分離中)
つべこべ言わずにボリボリ掻きながらでも使ってみるべし!

『裏も楽しい手編みのマフラー』(嶋田俊之著)から
「ベリー柄の変り引上げ編み、9目一度」
糸はけいとのコーダオリジナルのもっふぁんアルパカ(40g-110m)×4玉、
色(207)、完成品の長さ160cm。

糸が悪いわけじゃないんです。
色も問題なし。模様と合ってないだけ。
値段のわりにお得感ある肌触り、適材適所なら良い仕事してくれたと思います。
このマフラーを編むのに選んだ私が、私が・・・(完全分離)

灰色の塊じゃかわいそうなので、お約束の透かし写真。
これがあなたの晴れ姿よ・・・。
それじゃ、ヒッソリおやすみなさい。

・・・
いやー、冗談冗談。
機嫌直して活躍してね♪(大丈夫?この人)

これからはあれだ、糸ではなく首に文句言えば良いんだ。
「この世話の焼ける首! せっかく編んだのにどういうつもり!?」

ますます分離しそう・・・。

その後:
巻いてみようとしたけど断念。
あたしたち、出会ってはいけなかったのかしら。(12/20)

ロラックスおじさんの秘密の種 【発見】

Dr. Seuss’ The Lorax (2012) アメリカ
監督:クリス・ルノー、カイル・バルダ
出演:ダニー・デヴィート、エド・ヘルムズ、ザック・エフロン

■あらすじ
原作は環境問題がテーマの、1971年に発表された児童書。
豊かな森は、ワンスラーが木から “スニード” を作ることを発明したのが元で破壊された。
プラスチックと作り物の町スニードヴィルには本物の草木は無いが、新鮮な空気は買えるし、みんな幸せだと思い込んでいる。テッド少年は本物の木をオードリーにプレゼントするため、隠遁生活を送るワンスラーに会いに行く。

■雑感/編みどころ
ロラックスおじさんというのは森の番人で木の精なのですが、最後の木が無くなると消えてしまいます。動物たちも去りましたが、木と一緒におじさんが戻れたとしても動物たちは? そんなことにならないようにってこと? 原作も読んでみたいです。

スニードは不思議な形のニット製品で、頭に巻いたり腕を通して着たり、カーテンやシートカバーなど何にでも使えるヒット商品です。機械化で大量生産され環境破壊に繋がります。

編みシーンというわけではないけど、ワンスラーが第一号を針でひと縫いして仕上げ
ついに スニードの完成
男が編み物をして何が悪い?
という台詞があります。
吹き替えでも編み物と言っていました。

THNEED で画像検索するといろいろ出てくるのですが、原作本らしきもの(またはテレビアニメ版?)にワンスラーが棒針を使っているような絵がありました。
要チェックです!

スニードはスヌード(Snood)から来ているのでしょうか?

隅田川ほとりへ

サンカ+二重編みニット展」(もう10年前!)でお知り合いになった田志口正恵さんが参加された「隅田川ほとり クラフト作家17名の展示即売展」に行ってきました。

会場は柳橋のルーサイトギャラリーで、今回初めて行ってみて、古いけれどモダンで趣のある日本家屋なので伺ったところ、あの市丸姐さんのお宅だったと聞いてびっくりしました。
あのと言っても若い方はご存じないでしょうか。
私も歌番組で晩年の姿を見ていただけですので・・・(いやホント)。

2階から川床に出ると、真横を流れる隅田川越しにスカイツリーも見えます。
時間がなくて他の方の展示やお宅の中をじっくり拝見することができませんでした。
また機会があればお邪魔したいです。

田志口さんの作品をちょっとご紹介。

シェトランドレースとプルオーバー。
プルオーバーは、後ろと袖は縦に糸を渡す編み込み、前はケーブル模様、サイドはサンカパターンからの編み込み模様です。

今回は帽子がたくさん!
一見何気ないように見えても、実はいろんな編み方が組み合わされていて一筋縄では行かないのが田志口さん流。段染め糸のグラデーションの使い方も素敵。
菱形や香の図など和のイメージが活かされていました(下のほうになっちゃってます)。

ちゃんと撮れてなくてごめんなさい。
手前左の縞模様は足袋ソックス、足裏部分は糸を編みくるんであります。
右のケーブル模様はフードつきショートベスト(と呼んで良いのかな?)、こちらもサイドにサンカパターン、正面はファスナーで全開します。
奥の白いのは竹糸のプルオーバー。

他にはシェトランドレースの大判ショール、指出し手袋など。
売れてしまったものもあり全部は見られませんでしたが、その発想と丁寧なお仕事を目にして、また燃料をいただいた思いです。