溜まっている読書メモ

忘備録:編み物が登場しなかった本その2
その1を書いてぼやっとしている場合じゃない!続きです。

よく「怪奇」「幻想」と言いますが、これまで「幻想」に関してはどうも引き気味でした。「怪奇」は好きなくせに食わず嫌いは良くないってことで平井呈一の訳つながりで読むうち「幻想」にもすっかりはまっています。

  • 『吸血鬼カーミラ』レ・ファニュ
  • 『吸血鬼ドラキュラ』ブラム・ストーカー

  • 『真夜中の檻』平井呈一
  • 『人間和声』『秘書綺譚』『死を告げる白馬』『妖怪博士ジョン・サイレンス』『ウェンディゴ』アルジャーノン・ブラックウッド

    「秘書綺譚」を秘密の書物をめぐる話という予断を持って読んだら、普通に秘書のことだったという・・・

  • 『夢の丘』『白魔―アーサー・マッケン作品集成1』アーサー・マッケン
  • 『嘲笑う男 (異色作家短篇集)』レイ・ラッセル
  • 『<グレン・キャリグ号>のボート』『幽霊海賊』『ナイトランド』『幽霊狩人カーナッキの事件簿』『海ふかく』ウィリアム・ホープ・ホジスン

    「ナイトランド」はすごい世界!太陽の光が失われ冷えた未来の地球・・・こんな物語初めて。SFと言ってもいいけれど「幻想」を敬遠していては読めなかった。「海ふかく」にはマタンゴ(夜の声)より怖い話が続々。

  • 『ラヴクラフト全集』

    全部読むしかない!

  • 『ラヴクラフト 恐怖の宇宙史』荒俣宏訳

    訳を読み比べ。

■アンソロジー

  • 『怪奇文学大山脈 1~3』荒俣宏

    編み物が出てくる作品は別途紹介。

  • 『ドラキュラ ドラキュラ 吸血鬼小説集』ポリドリほか
  • 『恐怖の愉しみ』レ・ファニュ、デ・ラ・メア…
  • 『幻想と怪奇1 英米怪談集』レ・ファニュ、マリオン・クローフォード…
  • 『夜光死体―イギリス怪奇小説集』レ・ファニュ、キプリング…
  • 『怪奇幻想の文学3 戦慄の創造』ホーレス・ウォルポール、ブラム・ストーカー…
  • 『オトラント城/崇高と美の起源 英国十八世紀文学叢書』ウォルポール、エドマンド・バーク

    「オトラント城」だけ千葉康樹訳を平井呈一訳と読み比べ。

  • 『世界怪奇実話集 屍衣の花嫁』
  • 『吸血鬼ラスヴァン 英米古典吸血鬼小説傑作集』バイロン、ポリドリ…

溜まった読書メモ

忘備録:編み物が登場しなかった本その1

  • 『獄医立花登手控え』『海鳴り』『又蔵の火』『天保悪党伝』『暗殺の年輪』『義民が駆ける』『風の果て』藤沢周平
  • 『正雪記』『樅ノ木は残った』『栄花物語』山本周五郎
  • 『親鸞』五木寛之
  • 『戦艦武蔵』『高熱隧道』『漂流』『闇を裂く道』『三陸海岸大津波』『彰義隊』『間宮林蔵』『破獄』『吉村昭の平家物語』吉村昭

    どれも良かった。

  • 『妖怪』司馬遼太郎

    司馬遼太郎はあまり読んでいないけど、こういうファンタジーっぽいものもあるのを知って意外だった。他にもあるのかな?

  • 『早雲立志伝』海道龍一朗
  • 『北条早雲』富樫倫太郎
  • 『スタープレックス』ロバート・J. ソウヤー

    「地球人とイルカ、六本足のウォルダフード族と統合生命体のイブ族という異星人」が妙な形の宇宙船に乗り込んでる話と聞いて恐れをなし、長年棚上げにしてあったのをやっと読んだ。面白かったけど楽観的すぎ?明るい娯楽作。

  • 『チェーンレター』折原一

    ホラー要素無い方がよかった。

  • 『細雪』谷崎潤一郎
  • 『激突!』リチャード・マシスン
  • 『毒入りチョコレート事件』アントニイ・バークリー

    内容をすっかり忘れていたので再読したけどまた忘れそう。もう読まなくていい!

  • 『西海道談綺』松本清張

    すごく面白くなりそうだと思ったら予想と違う方向へ・・・。

  • 『二の悲劇』法月綸太郎
  • 『殺意は砂糖の右側に』『密室キングダム』柄刀一

    密室~は京極夏彦ばりに厚い(1240p)ので持ち歩き出来ず時間がかかった。

  • 『真夜中に捨てられる靴』デイヴィッド・マレル

    いろいろなタイプの話で楽しかったけど、最後の表題作が 『999 聖金曜日』に「リオ・グランデ・ゴシック」のタイトルで収録されていて既読だったという痛恨の・・・ちょっと損した気分。

  • 『迷宮課事件簿1』『老女の深情け(迷宮課事件簿III)』ロイ・ヴィカーズ

    2は編み物が出てきたので別途紹介。回を追うごとにマンネリ化はあるとしても、最後のオチありきの持って行き方が気になる作品も。

  • 『去りにし日々、今ひとたびの幻』ボブ・ショウ

    スローガラスの話がもっと読みたい。

黄昏の彼女たち

サラ・ウォーターズ著
The Paying Guests (2014) 中村有希 訳

雑感

戦争が終わり、フランシスは母との二人暮らしになった。日々の生活は苦しく、傷んできた広すぎる屋敷を維持してゆくためにも二階を貸すことにした。それに応じてきたリリアンとレナードの若夫婦は仲睦まじいかと思えばぎこちなさもあって、フランシスはリリアンのことが気になり・・・と物語は始まります。

第一次世界大戦のあとという時代で、お金の苦労だけではない世知辛さがひしひしと伝わります。家柄は良いけれど没落し貧乏になっている大家とそれなりの収入がある下宿人、世間知らずで不器用なフランシスとおしゃれで繊細なリリアン、などの対比も面白いです。

今までの著者の作品同様、これも微妙なところはありますが気に入っています。
お話とは関係ないのですが・・・登場人物、いや登場猫の名前がココとヤムヤムというのです。ちょっと待て!夫人の名前はリリアンではないですか!これには驚きました。登場と言っても1回出てくるだけなのに名前があり、しかもココとヤムヤム、そしてリリアンなんて偶然ではあり得ません。

何を騒いでいるのかというと、前回の「シャム猫ココシリーズ」の著者がリリアン・J・ブラウンで、シリーズに登場する2匹の猫の名前がココとヤムヤムなんです。
ちょっと検索してみましたが、なぜこの作品に?という疑問は解決していません。サラ・ウォーターズが猫好きなのか、リリアン・J・ブラウンが2011年に亡くなったのでリスペクトの意なのか・・・。

編みどころ

編み物をしているところは出てきませんが

暗紫色のやわらかなワンピースの胸と短い袖はかぎ針編みのモチーフで飾られていた。
テーブルの上には手編みのティーコジーをかぶせたティーポットがのっていた。
また、親密さを編み物に例えたり、毛糸玉を巻く母の姿を想像したりします。編み物が身のまわりにある様子が感じられます。

シャム猫ココシリーズ

リリアン・J・ブラウン著
The Cat Who… 羽田詩津子 訳

「猫は~」で始まるシリーズ29作と関連作品を読みました。
以前読んだ第4作の『猫は殺しをかぎつける』に毛糸などが出てきましたが、それほど興味をそそられる感じではなかったので以降は手をつけていませんでした。それから編み物が登場する作品があると知って全部読んでみると・・・なんとなんと、29作中15作に編み物やニットなどが登場しているではありませんか!

そもそも3作目まで書いて4作目が事情によりお蔵入りになり、18年後にシリーズが再開したとのこと(Wikipediaより)。

それまで都会で新聞記者(のちにグルメ担当)をしていた主人公が、5作目からはどこからも400マイル北にあるムース郡に移住して地方新聞のコラムを執筆します。主人公がスコットランド系ということがクローズアップされ、ハイランド大会というスコットランド出身者のお祭りもあります。冬は雪に埋もれるようなところで、編み物にはうってつけになってきているんです。

探偵でもないし田舎町でよくまあ事件のネタがあるものだと思いますが、さすがにマンネリ化したり無理のある展開が出てくるのは否めません。それでも読んでしまうのは編み物発見!効果(+猫効果)ですかね・・・。
シリーズではない短篇集『猫は14の謎をもつ』にも編み物が登場します!

編み物がなかった本いろいろ

空白期間を埋めるべくの読書メモ続き~

  • 『ペスト』ダニエル・デフォー

    読んだ頃はこんなことになるとは・・・。

  • 『奇面館の殺人』綾辻 行人
  • 『1922』スティーヴン・キング
  • 『毛皮を着たヴィーナス』マゾッホ

    映画『毛皮のヴィーナス』を観て。

  • 『昭和史発掘 (1)』松本清張
  • 『幻想怪奇短篇集』『暗黒怪奇短篇集』澁澤龍彦
  • 『シンデレラの罠』セバスチャン・ジャプリゾ

    『殺意の夏』(小説、映画ともに編み物登場)と同じ作者なので期待したけれど編み物ナシ。1965年と2013年の映画化あり。

  • 『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリー

    2回も映像化されているのに2020年にも!へ~え。今回は日本で見られるのかな?

  • 『時は乱れて』フィリップ・K. ディック
  • 『日本怪奇小説傑作集1』紀田順一郎、東雅夫 編
  • 『模造世界』ダニエル・F. ガロイ

    映画『あやつり糸の世界』、『13F』の原作。

  • 『砂の本』ホルへ・ルイス・ボルヘス
  • 『黒蜥蜴』『青銅の魔人』江戸川 乱歩

    黒蜥蜴は様々な映像化のイメージのほうが大人っぽかった。

  • 『長靴をはいた猫』(河出文庫)シャルル・ペロー 澁澤龍彦 訳
  • 『パリの骨』ローリー・R・キング

    『捜査官ケイト』シリーズ、『シャーロック・ホームズの愛弟子』シリーズの作者。

  • 『壁抜け男』マルセル・エイメ
  • 『地獄の家』リチャード・マシスン

    映画『ヘルハウス』(1973)の原作。小説のほうが生々しく映画はソフト。

  • 『魔法』クリストファー・プリースト

    『逆転世界』は読んでいたけど一応SFの範疇としてだったのでこういう話だとは思わなかった。『奇術師』(映画『プレステージ』原作)も読んでみようかな。

  • 『まねしたくなる土井家の家ごはん』土井善晴

    なんとなく・・・レシピ本というより読み物。

  • 『夜叉ヶ池・天守物語』泉 鏡花
  • 『プリズナー・トレーニング』ポール・ウェイド

    表紙に反してまともな本。外出自粛中はけっこうやったんだけど今では元の木阿弥に。

  • 『のんのんばあとオレ』水木しげる

    漫画です。島根に旅行したときに知った。ドラマも見なくては。

  • 『グランダンの怪奇事件簿』シーバリー・クイン
  • 『タイタス・クロウの事件簿』ブライアン・ラムレイ
  • 『無伴奏ソナタ』『ソングマスター』オースン・スコット・カード

    掃除中に発掘して思わず再読。

いまさらの読書メモ

4年くらい読書メモをおろそかにしていました。
自分の忘備録としても記録しておかなくては。
まずは編み物発見!関係で読んだものから。

本の整理をしていたらアガサ・クリスティが何冊か出てきて、読んでいないのもありそうだったのでまとめて取り掛かりました。『終りなき夜に生れつく』『もの言えぬ証人』『チムニーズ館の秘密』『愛国殺人』、編み物が登場した『鏡は横にひび割れて』『そして誰もいなくなった』『リスタデール卿の謎』。

『終りなき夜に生れつく』は映画『エンドレスナイト』(1972)の原作で、ジュリア・マッケンジー版でミス・マープルものとしてドラマ化されています。小説、映画ともに編み物は登場しないけれど、ドラマではロマの女性の家に毛糸などが入ったハンドバッグがあり、編み針も小道具として使われていました。

『鏡は横にひび割れて』は映画『クリスタル殺人事件』(1980)の原作で小説と映画には編み物がたっぷり出てきますが、ジュリア・マッケンジー版ドラマではちょこっと、ジョーン・ヒクソン版には無かったような・・・。


パトリシア・ハイスミスは『ヴェネツィアで消えた男』『変身の恐怖』、編み物が登場した『見知らぬ乗客』『キャロル』。『見知らぬ乗客』には一言出てくるだけで映画には無く、『キャロル』も映画には無かったかと・・・。


モーパッサンの『メゾン テリエ 他三編』(岩波文庫)は映画『快楽』(1952)に編み物が登場したので読んでみましたが、原作にはありませんでした。一方、映画『愛なき女』(1951)の原作『ピエールとジャン』には、息子の居間の壁かけを編んでいる様子が出てきます。でも映画のほうが編みシーン多めでした。


ドラマの『夏樹静子サスペンス「逃亡者」』に編み物が出てきたので、原作が収録されている『夏樹静子のゴールデン12』を読んでみましたが編み物はありませんでした。この短編集は読みごたえがあり、秋野暢子が主演のドラマで印象的だったけどタイトルを記憶していなかった『死ぬより辛い』に出会えたのが嬉しかった。


ラクロの『危険な関係』はチャン・ツィイーの映画に編み物が登場したこと、何度も映像化されている問題作・・・ということで読んでみましたが編み物ナシでした。


アーサー・ヘイリーの『大空港』。1970年の映画ではヘレン・ヘイズが飛行機の中でせっせと編んでいたのに小説にはその場面はなく、主要な登場人物のひとりであるパイロットの妻が “編み物に精を出していた” という描写があるのみ。


その編み物女優ヘレン・ヘイズ著のミステリ『殺意のフェイド・アウト』。
『大空港』のこともあるしミス・マープルも演じている方なので、何かしら編み物のかけらでも出てこないかと期待しましたが、そんなものはありませんでした。今となっては内容も憶えていなくて、レビューはないかと探すもほとんどなく・・・まあ、トマス・チャステインとの共著なのでそれなりだったのだと思います。そういえばTVドラマの『探偵スヌープ姉妹』ではミステリ作家という設定でした。それが現実に!

ちなみにヘレン・ヘイズのミス・マープルは『カリブ海の秘密』と『魔術の殺人』があり、『カリブ海の秘密』で編みシーンが多く見られます。


光と影』に編み物が登場したソログープの短編集『かくれんぼ・毒の園』を読んでみましたが新たな編み物発見はありませんでした。ここにも『光と影』が収録されていて違う訳が読めたのは良かったです。


『怪奇小説日和 黄金時代傑作選』(ちくま文庫)に収録されていたジェイコブズの『失われた船』は、暖炉の前で老女が編み物をする、息子を待つなど『猿の手』と共通点があります。
アンソロジーの中に既読のものが多いとがっかりですが、これは知らないものが多くて満足しました。


コルタサルの『遊戯の終わり』。『占拠された屋敷』が面白かったアルゼンチンの作家です。これは短篇集ですが、表題作で発見!

わたしは苛々してくると編物をすることにしていたが、その時もひとりで編物をはじめた。
もう一冊の短篇集『悪魔の涎・追い求める男』に編み物は出てきませんでした。この『悪魔の涎』が映画『欲望』(1966)の原作だったのですねぇ。デヴィッド・ヘミングス主演ということとヤードバーズが出演しているほかはあまり・・・でしたが久々に観てみたらサラ・マイルズ編み物のワンピースを着ていることに気がつきました(またそんなことか!アントニオーニがいまいちなの?)。
コルタサルは他の作品も読んでみるつもりです。

素晴らしき結婚生活 【発見】

スティーヴン・キング著
A Good Marriage (2010) 風間賢二 訳(文春文庫)

■あらすじ
結婚して25年、子供たちも独立し仲睦まじく暮らしていたアンダーソン夫妻。
夫が留守のときガレージに用事があり、下の方を覗き込んだら女性のIDカードが何枚も隠されていた。それは夫が世間を騒がせている連続猟奇殺人犯であることを意味していた・・・。

■雑感
『スティーヴン・キング ファミリー・シークレット』のタイトルで映画化されていて、特に注目するところもなくボヤっと見てしまっていました。その後、映画『スティーヴン・キング ビッグ・ドライバー』に編み物を発見したので原作を読んでみようと文庫本を購入したら、本作も収録されていて思わぬ収穫です(予備知識なかったので『ビッグ・ドライバー』の話の展開が速く本の半分で終わってしまい焦ったという・・・)。元々4作品でひとつの本だったのを、日本版では2冊の文庫本に分けたみたいです。もう1冊の『1922』も入手したので近く読んでみます。

■編みどころ
妻がガレージで問題のブツを見つけたきっかけが段ボール箱につまずいたことなのですが、その上に載っていたのが編み物カタログでした。その後、彼女が「社会人のための編み物サークルを再開した」ともあります。
映画版を見直しましたが、やっぱり編み物は登場していませんでした。ダメな映画化!

スティーヴン・キング ビッグ・ドライバー 【発見】

Big Driver (2014) アメリカ
監督:ミカエル・サロモン
出演:マリア・ベロ、オリンピア・デュカキス、ジョーン・ジェット、アン・ダウド、ウィル・ハリス

■あらすじ
テス・ソーンは4人のおばあちゃん探偵の「編み物クラブ」シリーズで人気を得ているミステリ作家。講演会の依頼に車で向かったテスは悪路で苦労するが、図書館でファンとの交流と講演を済ませて帰途につく際には、主催者のラモーナが教えてくれた近道に入った。ところがガソリンスタンドの廃墟の前で、道路に放置されていた板切れの釘でタイヤがパンクしてしまう。
通りがかったトラックの運転手がタイヤの交換を引き受けてくれたが・・・。

■雑感/編みどころ
復讐を描いたテレビ映画です。
主人公は講演会で「昔から頭の中の他人たちと話をしていた」というように、編み物クラブのメンバーやカーナビ、死者などと頭の中で会話します。映画を見てから原作を読んでみたところ、それらのシーンは小説では架空の声との自問自答みたいな感じですが、映像ではおばあちゃん探偵が編み物をしながら登場したりします(幻覚を見ているわけではないので小説では編みシーンになっていません)。良い映画化♪ 実際編み物を持って登場するのはプロローグとエピローグの部分です。
ラモーナの家にかぎ針編みのブランケットもありました。

『スティーブン・キング ビッグ・ドライバー』予告編


これって予告編じゃなくて冒頭部分なのですが、ほとんどネタバレなアルバトロスの予告編だと編み物が出てこないのでこちらのほうが好都合です。

映画のテーマ曲は Dear Love – Rachel Ann Weiss で、レイチェル・アン・ウェイスはキャスリーン・ターナーの娘なんです。チャーミングで声も歌もいい・・・ただ母より早い段階で貫禄が出てきていることが気がかりであります。大きなお世話?

ホラー日和?

『もっと厭な物語』 文藝春秋・編(文春文庫)

夏目漱石、クライヴ・バーカー他

『厭な物語』に比べホラー色の濃いアンソロジーでしたが・・・ホラーとしては物足りないし、「厭」というのと違うと思うものが多く、ほとんど読んでいるクライヴ・バーカーの作品がメインだったのも残念です。
(クライヴ・バーカーは『アバラット』だけページを開けません。作風が違いそう、映画化が頓挫したから、単行本だから・・・などなどで積んだまま)

印象が強かったのは草野唯雄です。えぐい話で厭さも満足しました。幅広いジャンルで多作な人のようですが、短編に奇想天外なエログロものが多いとか。何も読んだことがないのでとても興味をひかれまして、短編集を中心に何冊か入手しました。


『乱歩の選んだベスト・ホラー』 森英俊/野村宏平 編(ちくま文庫)


乱歩のエッセイ「怪談入門」がいいですね。乱歩が探偵小説に興味を持ってからは、ある時期まで怪談をほとんど読んだことがなかったというのが意外です。巻末の主要作品紹介を見ると入手困難なものが多そうだけど探して読みたくなります。

「猿の手」は先に読んでいた『怪奇小説精華』に収録されていたのと同じ訳でした。
ジョージ・マクドナルドの「魔法の鏡」を読みながら、この情景は見たことがある!と思って探してみたもののそれらしき映像化作品は見当たらず・・・よくよく思い返してみると以前読んだ『世界怪談名作集〈下〉』(岡本綺堂 翻訳)に収録されていた「鏡中の美女」が脳内映像化されていたみたいです。
エーヴェルスの「蜘蛛」は最近ほかのアンソロジーで読んでいたりと結果的には知っているものが多かったけど、『白衣の女』の著者ウィルキー・コリンズの「ザント夫人と幽霊」があったり、横溝正史訳の「専売特許大統領」なんて珍しいものも読めて満足しました。


『プレデターズ』 (扶桑社ミステリー)

F・P・ウィルスンほか 著、エド・ゴーマンほか 編、大久保寛・白石朗ほか 訳

だいぶ前に同じ編者のアンソロジー『罠』を読んで、これも読もうと思いつつ忘れていました。映画の『プレデター』とは直接関係ありません。
クーンツの「ハードシェル」を読んでいた以外は未読・・・というより知らない著者が多く、内容も『罠』よりだいぶ緊張感の無い感じでしたが、エドワード・ウェレンの『心切り裂かれて』が印象に残りました。

遺伝的な痴呆症の主人公が、病気の発症前にプログラミングしておいた人工知能の自分の指示で行動するという話です。事件に巻き込まれ、自分では何の自覚もなく人工知能に報告して指示を仰ぎますが、病気が進行してきて従う意味も分からなくなって逆らってみたりします。起きている事件は古臭いし、ラストはありがちかな~と思うけど好みなんですね。

ハイスミスで 【発見】

いつもお世話になっております・・・。

「完全主義者」

『女嫌いのための小品集』 (河出文庫) 宮脇 孝雄 訳 に収録

何か失敗があってはいけないと、完璧なキッチンを持ちながら自宅で料理ができない女性の話。

ある事件があってから編み物に目覚め、屋敷にある八つのベッドすべてにベッドカバーを編もうという遠大な計画を実行に移します。
朝の六時から深夜二時まで、ほとんど食事もとらずに、マーゴットは編み物を続けた。
ひえ~!編み物も目の乱れなんて許さないのでしょうね。


『生者たちのゲーム』 (扶桑社ミステリー) 松本 剛史 訳


テオとラモンが愛している女性、リーリアが惨殺された。ラモンが罪を認めるが・・・。

ちょっと印象が薄い作品です。。。

主人公が宿泊しているペンシオンのおばあさんが、かぎ針編みをしていました。


『殺意の迷宮』 (創元推理文庫) 榊 優子 訳


妻とともにギリシャ旅行に出かけたチェスターは、アメリカで行っていた詐欺の件で地元の刑事の訪問を受ける。これが思わぬ事態となるが、同じくアメリカ人旅行者の青年ライダルが手を貸してくれて・・・。

映画『ギリシャに消えた嘘』(2014)の原作です。
知らずに映画をボヤっと見てしまっていました。途中、なんじゃこりゃ?と変な感じがしましたが、ハイスミス作だったとは。原作とは違うところもありましたね・・・また見直してみます。

ラジオから殺人事件のニュースが流れてきます。
「あら、何のニュースなの?」てきぱきと手を動かしてベージュ色の糸で何か編んでいたフランス人の女が問いかけた。
短い文章のわりに情報量が多い!