ジェームズ・カーンは私の中では『ローラーボール』 (1975) の人というイメージが強かったけど、2本続けて出演作を見て、ローラーボール色が薄れたのでくくってみました。
ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー (1981)
凄腕の金庫破りが、足を洗って妻と子供との普通の家庭を持とうと決意し、最後の仕事を成し遂げるが、約束を守らないボスの仕打ちに怒り、夢をあきらめて単身殴り込む・・・という話。金庫をぶっ壊し、家を爆破し、車を燃やし、銃をぶっ放す・・・なんて騒がしい映画になりそうですが、アクションものにありがちの盛り上げ音楽ではなく、タンジェリン・ドリームのシンセサウンドが使われていて、作品に独特の雰囲気を与えています。
主人公は真っ直ぐな人なんですね。女性に対しても押しの一手で。
だからボスへの復讐を果たした上で家庭も持つ、などと都合の良いことはできずに筋を通します。
フェイク・クライム (2010)
犯罪映画、クライム・サスペンス・・・といった売りがされていますが、静かなロマンティック・コメディの印象。原題が Henry’s Crime なんだけど、この Crime も銀行強盗の意味だけじゃなくて、主人公の今までの生き方のことも含まれているんじゃないかなーと勝手に思ったりして、邦題だと底が浅いような気がします。主人公には「そろそろ子供が欲しい」って言うきれいな奥さんがいるのに何故か上の空、家庭も仕事も心ここにあらずの様子でしっくり行っていません。
やりたい放題の元同級生に唯々諾々と従い、いつの間にか銀行強盗の犯人にさせられて服役、奥さんにも離婚されるという超受け身人生。なぜあんな腹話術人形みたいな男の言いなりなってるの!?・・・でも子供の頃からのこういう関係って、他人にはうかがい知れないものがあるのでしょう。出所した主人公は女性と出会い、やっていなかった銀行強盗を本当にやろうと計画します・・・。
主人公と手を組む仲間が、「じいさん」と言われて熱くなるジェームズ・カーン!
こちらは自称詐欺師なのでタイプは違うけど、両方とも金庫を狙うから『ザ・クラッカー』の主人公の老後?なんて妄想がふくらんでしまいます。30年も経てばこんな感じになってないとも限らないし・・・とか、男のロマンぶち壊しでしょうか。じいさんかもしれないけど、逞しくて渋い魅力あり。
手編み風なニットの登場数が、さりげなく多いような気がしてなりません。
この程度でも編み物発見!に入れているものもありますが、もうちょっと編地のアップなどあれば良かったな~。