モーム短篇選(上) 【発見】

サマセット・モーム著
行方昭夫 訳 (岩波文庫)

「手紙」と「十二人目の妻」に編み物が登場していました!

「レース編みをしていた」というだけの些細な記述でも、そこに編み物があると思うと情景の見え方が変わってきます。
モームの有名なものはいくつか読んだはずだけど、何も憶えていません。
この短編集は人物描写や植民地の空気などが、わずかな文章で手に取るように感じられて面白く、下巻も読んでみようと思います。

以前の記事で「手紙」の映画化は1929年版と1940年版『月光の女』で内容が違うと書きましたが、驚いたことに小説は、そのどちらとも違っていました。
もちろん大筋は同じだけど、結末が小説、1929年の映画(戯曲と同じ?)、『月光の女』で異なるのです。それぞれ良さがあると思いますが、かなり印象が違います。

1929年版は戯曲の流れがあるから、終盤の夫との口論など舞台劇を思わせる激しさなのはわかるとしても、小説にある「育ちの良い女性の豹変」が感じられませんでした。

映画としては『月光の女』のほうが、冷たそうな女性が実は愛に生きていたというメロドラマ的な脚色もありだと思えるし、編み物の登場が多いだけでなく、それを心の動きに絡めているのも気に入っています。

ダークでもない2本

ダーク・ハウス 戦慄迷館 (2009)

幼い頃、とある家で起きた惨劇に関係してトラウマに苦しむ女性。その家がお化け屋敷として営業することになりスタッフを募集、トラウマを克服するため彼女も参加するが・・・。

アトラクションと本物の霊?という組み合わせ、軽くて滑稽味があるところやラストもまあ良かったけど、あれやこれやを活かせばもっと面白くなったのに~という要素があってやや残念。
興行主の役はジェフリー・コムズでなくてもよかったのでは? 彼を目当てに見た人も居るだろうから(ここにも)もう少し活躍してもらわないと、食い足りなくて文句出ますよー。


ダーク・フェアリー (2010)

古い屋敷に越してきた少女と父親、その恋人。
何かが少女に話しかけ、奇妙なことも起こる。その声はいったいどこから・・・?

『地下室の魔物』(1973)のリメイクです。
女の子が物語の中心になっていて父親と女性の存在感が希薄、CGを使って映像は見やすくなっているけどオリジナルより良いところは特に無く、魔物の嫌な感じもマイルドになっています。
それにしても普通、人が消えたらもっと徹底的に捜索しないかな?
どこに消えたかわかっているんだし。