白いリボン 【発見】

Das weiße Band (2009) ドイツ/オーストリア/フランス/イタリア
監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:クリスティアン・フリーデル、レオニー・ベネシュ、ウルリッヒ・トゥクル、ズザンネ・ロータ

■あらすじ
ドイツの田舎、人々が静かに暮らす村で陰湿な事件が次々と起こる。
誰が?何故?深く追求しようとする者もいない。
何もあきらかにならないまま、第一次世界大戦が勃発する・・・。

■編みどころ
棒針で小物の輪編み、かぎ針でレース編みなどをするシーンがあります!
編み物ではないかもしれませんが、テーブル掛けやちょっとした敷き物、乳母車飾りなどにもレースがあしらわれていました。

ゾンビかと思いきや2本

勝手な邦題でもそこにタイトルが付いている以上、何か想像してしまうのは仕方がなく・・・。
このゾンビはどうだろうと期待すると裏切られ、どうせありきたりなゾンビだろうとあきらめモードで見るとゾンビですらなく、しかし思わぬ拾い物がある場合も・・・。

ゾンビ・ドッグ (2002)

どん底人生を送る売れないアニメ脚本家のモノローグが延々と続く。
はっきりしない頭で車を運転していたら小型犬を轢いてしまい、連れ帰って手当てするが瀕死の重傷、ビールの空き缶で溢れかえる家の中で仕事しようとしても何も書けない。
犬が息をしていないことに気づき、埋葬したら元気になって穴から出てきた(妄想猟奇犬ラッキー)。

やがて犬は主人公と話し始め、脚本のアイデアまでくれる。おかげで仕事は順調でガールフレンドも出来たが、彼女が去り、犬が女性たちを次々と食っていた事が発覚!?

序盤は冴えない主人公に嫌な予感がしますが、犬が出てきてからは面白くなります。
ほとんどが暗い部屋の中での変態妄想なので好き嫌いは分かれるかも。

ソファにかぎ針編みのブランケットみたいなものがありました。
(この組み合わせ、よく見かけるので家でもやりたいけど、残念ながらソファが無いです)


デッドタウン・ゾンビ (2010)

ロバートが営む郊外の農場を、ある日突然大勢のゾンビが襲う。
ひとまず撃退して家にこもるが、電気は止まるし食料も無い。妻と息子を残して車で町へ向かうと、そこにもゾンビがひしめいている。なぜ町中の人間がゾンビになってしまったのか?

期待していなかったせいか、意外と楽しめました。
でも笑いや救いがなく、たいへん気の毒な話なのでどよ~んとしちゃいますね。

そんな内容とは別に、とても驚かされたことが。
息子の陸上部のコーチだという女性が登場するのですが、見たことがあるようで思い出せず。
あとで調べてみるとリネア・クイグリー!あの『バタリアン』のトラッシュ役で輝いていたお方・・・時の流れの残酷さに、本当に本人なのかいろんな画像を見比べてしまったほど。
彼女はずっとB級に出演し続けているのに、知らなかっただけなんですけどね。
ご健在ぶりを確認して落ち着いて見てみると、ちょっとジャンヌ・モロー似。

彼女の登場シーンをチェックしたら、息子と農場の従業員とのなぞなぞ話に「体が半分の犬だ」っていうのが出てきます。「二つ割りの犬」って訳してもらわないと困りますね。
これが前フリだったことに遅まきながら気が付きました。

追記:『バタリアン』を当時ビデオで見た記憶では「二つ割りの犬」だったけど、DVDを見直したら「縦割りの犬」になってました。う~~ん・・・。

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 【発見】

The Curious Case of Benjamin Button (2008) アメリカ
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、タラジ・P・ヘンソン、ティルダ・スウィントン

■あらすじ
誕生時の肉体年齢は80歳、実の親に捨てられ老人施設で働く女性に育てられる。
長くは持たないと思われたが、成長するとともに何故か肉体が若返るのだった。
そんなベンジャミンとの出会いと別れを老女が語る・・・。

■雑感・編みどころ
なんとなくキワモノのような気がして敬遠していたけど、観てみたら面白かったです。

ベンジャミンは編み物のおくるみに包まれて捨てられます。
祝福するために作られたはず・・・と思うと、予想もつかなかった切ない運命です。
他にも施設のご婦人方のショールが登場、ポーチではおばあさんが編んでいました!
ソファにかぎ針編みのブランケットもあり。


ふと思い出した『縮みゆく人間』(1957)に、なんとリメイクの話があるらしいと知りました。
原作の著者が現代に合わせて脚色するというから、こちらも楽しみです。

詰め合わせ1本

チレラマ CHILLERAMA (2011)

アメリカ最後のドライブインシアターが閉館する日、そこは大勢の観客で賑わっていた。
とっておきの映画が次々と上映される中、シアターに異変が!

ここで上映されるものが劇中映画になっているという趣向です。
その内容が濃くて、久々に素直に楽しめました。題材は汚いけど画が汚らしくない(自分比)のも好感持てます。リン・シェイが2作品に出演していたのも良かった。一見、お下劣な寄せ集めのようでいて実は繊細な気配りがされていると思います。
下ネタ、ホラー、コメディ、ブラックユーモア、B級などがミックスされていてお得。
(どれかひとつでも嫌いな人には向かないでしょう)

なんかベタ誉めみたいですね。レンタルしたけどセル特典のメイキングが気になって・・・。

アランの衿つきカーデ (4)

ポケット裏を編みました。
もう後戻りできません・・・て大袈裟かなー。
でも今まで1回しかポケットをつけたことない気がして、自分としてはかなり大仕事。

昨日書いた
「いま編んでいるこの毛糸は、これを編むために買ってあったのと違う」件です。
買い置きの毛糸が色々あって、その中から選び間違えたみたいですが、そうではなくて
「この毛糸は別のものを編むために買ってあった」のでした。

たわ言が続きます・・・。
なぜこんなことが起きたかと編み始めに遡ってみると・・・
(遡って推理しないと自分の行動もわからんのか、メメントか私は?)

1.ある作品を編もうと買っておいた毛糸があるのを思い出す。
『きょうの編みもの』から「アランの衿つきカーディガン」 だね。うんうん。

2.使用するのは15玉だけど14玉しか見当たらず。
そうか、様子を見るために1玉取り出しておいたのね。

3.後ろ身頃編み終え、少し余裕ができてやっぱり1玉無いことが気になる。
ようやく通販で毛糸購入時の履歴を確認、14玉とある。

4.毛糸を買うときに「ポケットを省略するから14玉でいける」などと判断していない。

5.・・・そういえばもうひとつ編みたいなと思っていたものがあったような記憶浮上。
『編みものワードローブ』から「アランのカーディガン」 あっ・・・。

6.使用するのは13玉。こっちじゃん!

もちろん模様は違うけど、衿つきと衿なしのカーディガンで、使う毛糸は同じ。
両方編むつもりで、自分は衿つきを着たいから衿なしは母親用にしようと毛糸(自分用の色じゃない)を買ってあったのです。でも時間が経つうち衿なしのことは忘れて、編みたい度が高かった衿つきの記憶だけが残っていて編み始めてしまったのですね。(←他人事か)

いやなんか、薄々おかしいような気がしていました。
これは私のじゃないのか・・・自分も着たいけど、じゃあもう一着編むの?とか。たわけか。

まあちょっとショックでしたが、自分はこんなこと初めてだけど、きっと世の中にはざらにあることだと言い聞かせつつ、ともかくこれを編み終えてからいろいろ考えます・・・。

ブラッドレイン3本

とても評判の悪い映画(及びウーヴェ・ボル監督)なので見てみたらやっぱり?
(何で見てみるかな・・・)

ブラッドレイン (2005)

18世紀のルーマニアで吸血鬼と人間の戦いが繰り広げられていた。両者のハーフであるレインの目的は、母の仇である吸血鬼の父を倒すこと。吸血鬼を狩る業火の会は敵の勢いに押され気味、レインと協力して巻き返しを図る。
ゲームが原作だけど、ストーリーは違うらしいです。

本物の古城で撮影したり、主人公レインにクリスタナ・ローケン、父親がベン・キングスレー、他にマイケル・マドセン、ウド・キア、ジェラルディン・チャップリン等々、主役を張れる出演者を何人も無駄遣いする気前の良さですが、肝心の吸血鬼話がイマイチなんです。
話としてはもちろんあるけど、それらしき雰囲気がぜんぜん足りない感じ。
異種間の闘争が、普通の民族間や村同士のものと似たり寄ったりで、違うところといえば、撃たれても平気だぴょーんってガシガシ歩み寄り咬みつくくらい。
アクションもそれほど見るものがなく、評判が悪いのも納得。

だけど巷の低評価ほどダメでもなく、これは原作ゲームのファンが怒っているというのが大きいみたい。それでも懲りずに撮り続けるので嫌われるボル監督。


ブラッドレイン II (2007)

前作の100年後、アメリカはモンタナの田舎町。吸血鬼ビリー・ザ・キッドが子供たちを人質に、人間を服従させてやりたい放題しているところへレインがやってくる。
主演がナターシャ・マルテに交代、こちらのほうがいろんな意味で合っているような気がします。

ビリーがこの町に目をつけたのは、ここいらに鉄道が敷かれて駅が出来る計画があるからだと・・・町の人間を吸い尽くした頃、鉄道が完成してどんどん人がやってくるだろうと・・・何じゃそりゃ。
前作もそうだけど、弱点はあるものの簡単には死なない吸血鬼が、そんなチンケな方法で勢力拡大を企むでしょうか。それとも賢かったら人間なんて絶滅しちゃうからお馬鹿な設定なのかな?

1作目は出来の良くない普通の映画という範疇だったけど、ここからはいかものの領域に踏み込んだなという感じです。

腕利きのガンマンを集めて対決するという、西部劇的な王道をコミカルにやってるところは悪くなく、最後はほのぼの(ちょっと寒く)終了。


ブラッドレイン 血塗られた第三帝国 (2010)

吸血鬼と戦い続けてきたレイン。この時代、ヒトラーという新たな怪物が登場した。
ナチの医師がレインの血液に注目して研究、総統を不死に出来るかもしれない・・・!

レインの特別な血が司令官を吸血鬼にするというアイデアはすごく良いと思います。
前作では無かったサービスシーン?が増えていて、お色気度はアップ。チープさもアップ。
茶番にもほどがありますが、もう開き直っており清々しいくらいです。

3作通して観て、ボル監督ファミリーみたいな出演者に注目しました。
レイン役はナターシャ・マルテでOK。

1作目で肉屋としてちょっと登場したマイケル・パレが、2作目では保安官としてそこそこ出演、3作目ではナチの司令官として大暴れ、次があるとすればどうなるのか!?
なんだか楽しそうな俳優生活を送ってるな~と思ってしまうけど、実際のところを聞いてみたい。

2作目で元業火の会メンバーとして一場面の出演だったブレンダン・フレッチャー(注:フレイザーにあらず)も、3作目で組織のリーダー役と存在感を増しています。

こうなると永遠の時を生きる主人公と、人間として転生し続けているマイケル・パレ、ブレンダン・フレッチャーの物語みたいな見方もできたりして。今度は現代か近未来の話になっても良さそう。
内容ではなく変なところに楽しみを見出したくなる・・・見出さざるを得ない?シリーズです。

アランの衿つきカーデ (3)

後ろ身頃が終わりました。
針を1号ずつ下げた結果、ほぼお手本のサイズになったかな。
少し丈が短いけど許容範囲内。

次は前身頃を左右同時に編みます。ポケットは省略するつもりだったけど、わりと深めで実用性がありそうなので、思い直してつける事にしました。
と、急に前途多難な気がしてきて、ふと帽子の作り目を始めそうに・・・。

そんな気分もあってだかどうだかわかりませんが、最初から少しひっかかっていたことをつらつら考えてみるに、、、何をいまさらなことを思い出してしまいました。

いま編んでいるこの毛糸は、これを編むために買ってあったのと違う! どかーん!!

まったくもう、にわとり頭も極まれりですよ。
ポケットでもなんでも来やがれって感じ~。やってやるよ、フフフ・・・

つづく・・・

ニコライとアレクサンドラ 【発見】

Nicholas and Alexandra (1971) アメリカ
監督:フランクリン・J・シャフナー
出演:マイケル・ジェイストン、ジャネット・サズマン、ジャック・ホーキンス、トム・ベイカー

■あらすじ
日露戦争が起きようとする情勢の中、ロシアの労働者は苦しんでいた。
そのうねりは大きくなり、やがて革命へと向かう・・・。

皇帝ニコライと皇后アレクサンドラ、政治、戦争を主に、皇太子の病気とラスプーチンのことを少し、という配分で1904年から退位する1917年までを、それから処刑されるまでの1年ほどは家族の暮らしを中心に描かれています。

■雑感・編みどころ
皇女アナスタシアが編み物を手にしている実際の写真が残っているので、映画にも登場しないかと期待したのですが、皇女たち四姉妹は誰が誰やら区別されず(少し台詞があるのがたぶんアナスタシア)、写真のようなシーンはありませんでした。

退位して監禁状態になってからは、娘たちがカーディガンを着ていたりアレクサンドラはショールを掛けていたりします。帝政だった頃と打って変わって質素な衣服にグレーのニット姿・・・でも編み物は登場しないかな、と思っていたら最後にアレクサンドラが編んでいました!

ニコライが編み物をしているアレクサンドラの手を気遣い、「痛むだろ」と言うと「これくらいならできるわ」というやり取りがあります。
ピアノはもう弾けないらしく、指が思うように動かせない状態のようです。
編み方がアメリカ式だったのはアメリカ映画だからか、指のせいなのか・・・?

その後の場面で同じ色の指出し手袋をしているので、これを編んでいたということかも。

Divinyls (3) ミュージカル

Divinyls のクリッシー・アンフレットが出演した、オーストラリアでのミュージカルがあります。

1988年 Blood Brothers TVスポット

ミセス・ジョンストン役、ラッセル・クロウと共演。

1998年 The Boy from Oz より “Only an Older Woman” (音声のみ)

ジュディ・ガーランド役。

どちらもブロードウェイや日本でも人気の作品なのですね。
DVD化はされていないみたいだけど、映像は無いのかな? あるならとっくに出ているでしょうか。
ステージで演じて歌う姿を見たかったです。

前回、前々回と書きましたビデオクリップ集、映画、そしてミュージカルの発売希望・・・要は動いている姿が見たいというわけでした。いろいろ書いたり見たりしたひと月が過ぎて、クリッシーとだいぶお別れができたような気がします。

過去記事
【発見】 Monkey Grip
Divinyls クリッシー追悼

モーム短篇選(上) 【発見】

サマセット・モーム著
行方昭夫 訳 (岩波文庫)

「手紙」と「十二人目の妻」に編み物が登場していました!

「レース編みをしていた」というだけの些細な記述でも、そこに編み物があると思うと情景の見え方が変わってきます。
モームの有名なものはいくつか読んだはずだけど、何も憶えていません。
この短編集は人物描写や植民地の空気などが、わずかな文章で手に取るように感じられて面白く、下巻も読んでみようと思います。

以前の記事で「手紙」の映画化は1929年版と1940年版『月光の女』で内容が違うと書きましたが、驚いたことに小説は、そのどちらとも違っていました。
もちろん大筋は同じだけど、結末が小説、1929年の映画(戯曲と同じ?)、『月光の女』で異なるのです。それぞれ良さがあると思いますが、かなり印象が違います。

1929年版は戯曲の流れがあるから、終盤の夫との口論など舞台劇を思わせる激しさなのはわかるとしても、小説にある「育ちの良い女性の豹変」が感じられませんでした。

映画としては『月光の女』のほうが、冷たそうな女性が実は愛に生きていたというメロドラマ的な脚色もありだと思えるし、編み物の登場が多いだけでなく、それを心の動きに絡めているのも気に入っています。