『黒馬物語』 アンナ・シュウエル
Black Beauty (1877) 山田昌司 訳(岩波文庫)映画化を見て興味を持ち、原作を読んでみました。
たしかに評判通り『ブラック・ビューティー/黒馬物語』(1994)が原作に近かったです。
主人公は黒馬で、全編が彼の視点で語られてゆきます。
馬による人間観察というと『ガリヴァー旅行記』(スウィフト著)のフウイヌムを思い浮かべますが、そちらが辛辣な人間批判なのに対し、本作の主人公はひたすら優しく、不平はあまり言わずに現状での馬の仕事を通して切々と綴ります。
押しつけがましくないのが余計に胸に響く感じです。
人間が馬を理解していないのとは対照的に、馬が人間の会話を聞いていろいろ思いをめぐらせるのも面白いところ。
編み物のことは会話の中に一言出てきただけで、原作と違っている映画『黒馬物語』(1971)にちらっと登場したような場面はありませんでした。
現在、普通の文庫版が古いものしか入手できなくて困りました。
いくつか出ている絵本版は図書館で見てみよう・・・。