海洋奇譚

『夜の声』 ウィリアム・H・ホジスン

井辻朱美 訳

映画『マタンゴ』(1963)の原作で、以前から読みたかった表題作をはじめ8つの作品からなる短編集。1作を除き、航海する船が遭遇する不思議な出来事が描かれています。

『夜の声』(1907)は、脚色されたドロドロした映画(これはこれで良いのですが)と違い、遭難した男性の体験談として語られる静かで哀しい物語でした。
他の作品もサルガッソー海の伝説をベースにしながら、自然現象として説明がつきそうな部分もあり、そうでなくても単なるホラ話や怪談で済ませられない神秘的なものがあります。
書かれて一世紀以上を経ても、海にはまだ謎や危険が満ちているからでしょうか・・・。

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