罪の手ざわり 【発見】

天注定 (2013) 中国、日本
A Touch Of Sin
監督:ジャ・ジャンクー
出演:チャオ・タオ、チアン・ウー、ワン・バオチャン、ルオ・ランシャン

■あらすじ
会社の汚職に抗議するが袋叩きにあった男、出稼ぎして妻子に仕送りしている男、不倫に疲れ風俗店の受付の職に就いた女、工場で同僚の怪我の責任を取らされた青年 ・・・実際の事件を基に彼らの姿を描く。

■雑感/編みどころ
チョウは妻子にきちんと仕送りしていましたが、それはまともな出稼ぎではなく強盗でした。
危険なことをしていると薄々気付いている妻は、お金はもういらない、村にいたらいいじゃないと言いますが、チョウは腰を落ち着けることができないでまた出てゆきます。

束の間の家族の時間に妻が編んでいました!
右手はエンピツ持ちで、糸をかけるときは編み棒から手を放しています。

映画『罪の手ざわり』予告編


予告編の後半に編みシーンも入ってます!
この監督は『プラットホーム』(2000)でも編み物を登場させています。未見のものが多いので他の作品もチェックしてみようと思います。

エレファント・ソング 【発見】

Elephant Song (2014) カナダ
監督:シャルル・ビナメ
出演:グザヴィエ・ドラン、ブルース・グリーンウッド、キャサリン・キーナー、キャリー=アン・モス

■あらすじ
精神病院のローレンス医師の行方が分からない。
彼が最後に診た患者のマイケルが何か知っているらしく、グリーン院長が事情を聞くことになった。マイケルをよく知る看護師長のミス・ピーターソンは、院長とマイケルが二人きりで話をすることに不安を抱く。マイケルの話に翻弄される院長。彼の目的とは・・・?

■雑感/編みどころ
ミス・ピーターソン役のキャサリン・キーナーは編み物が登場する『おとなの恋には嘘がある』に出演していましたね。この映画ではそちらとはまた違う雰囲気でとてもよかったです。

院長とミス・ピーターソンの間にいた娘のこと、現在の院長の家庭環境(現在の妻?と姪)など脇の話が小出しにされてちょっとわかりにくいです。
院長が精神科医なのにマイケルの話に釣り込まれすぎな気もしました。
あえてグザヴィエ・ドランには触れず・・・でもないけど、編み物発見!効果の影響もあるのでとりあえず評価保留にしときます。今まで観た監督作や出演作では『トム・アット・ザ・ファーム』『胸騒ぎの恋人』が良かったかな。

編みシーンはないのですが・・・院長が老眼鏡を借りるためにミス・ピーターソンの机の引き出しを開けると、中にオレンジとグリーンの毛糸と棒針、編みかけの何かが入っていました!

悪魔のやから 【発見】

Satansbraten (1976) 西ドイツ
Satan’s Brew
監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演:クルト・ラープ、マルギット・カルステンセン、ヘレン・ヴィータ、イングリット・カーフェン、フォルカー・シュペングラー

■あらすじ/雑感
詩人のヴァルターはここしばらく1行も書けず借金まみれになっていた。
ある日ふと素晴らしい詩が書けたと思い、自分でも驚き家族も驚いたが、それは過去に別の詩人が発表していたものだとわかる。その詩人になりきってみるがうまくいくはずもなく・・・。

主人公をはじめ、変な人しか出てきません。詩人なのに金策に追われている姿が哀れを催しますが、その経験が芸の肥やしになったみたいです。

■編みどころ
ヴァルターの借金先は出版社や銀行、知人に両親、何人もの愛人までと手当たり次第。
ある女性の家に金の無心に行くと、ソファにモチーフつなぎのクッションがあり、テーブルの上には編み物が。彼女が紺色の毛糸玉と金属製らしき長い2本針で、左手の人差し指に糸を巻き付けたフランス式で編みます! 怒っているせいかぎこちない手つきです。

あげまん 【発見】

1990年 東宝
監督:伊丹十三
出演:宮本信子、津川雅彦、島田正吾、金田龍之介、大滝秀治、MITSUKO(石井苗子)、橋爪功

■あらすじ
稲荷神社に捨てられていた女の赤ん坊は7月4日に拾われたのでナヨコと名付けられ、中学を出ると芸者になった。やがて僧侶に水揚げされ短大に通わせてもらいビジネスの勉強をした。その間、僧侶もとんとん拍子に位を上げたのち亡くなる。10年後、銀行で働くナヨコは出会いを求めていた・・・。

■雑感/編みどころ
ナヨコと一緒になった男性は何をやってもうまくゆき、別れるとツキに見放されます。それというのもナヨコが性格美人で男性をやる気にさせているからにほかなりません。そんな貴重な女性に慕われているというのに、手当たり次第に女性遍歴を重ねるのが鈴木主水(津川雅彦)で、その愛人のひとりが純子(洞口依子)です。
編みシーンはないのですが、純子が鈴木にマフラーをプレゼントします!
これ 私が編んだんです
え? これ君が編んだの?
中 通るんですよ
ありがとう
と言いつつ、マフラーはゴミ箱へ。
薄茶色の太めの糸でガーター編み、端がプラナリアの頭みたいな形でスリットに通して固定できるようになっています。後の場面で純子は「また編んだんですけど」と紙袋を取り出します。この編み物の行方も心配・・・。

呪い村436 【発見】

Population 436 (2006) カナダ/アメリカ
監督:ミシェル・マクラーレン
出演:ジェレミー・シスト、フレッド・ダースト、デヴィッド・フォックス、シャーロット・サリヴァン

■あらすじ/雑感
国勢調査のため、のどかな村ロックウェル・フォールズにやってきたスティーヴ。2、3日滞在するだけのはずが、おそろしい運命が待ち受けていた・・・。

DVDのセールスコピー「436人しか存在してはいけない村…。」が説明しているように、よそ者がやってくると村の誰かが死ななくてはならない、逃げる者は無事ではいられない村なんだそうな。人口を一定人数に保つというのは昔あった出来事にまつわる迷信のようでもあり、ニセ医者が熱病や洗脳を利用したりしますが、超自然なことが起きているようでもあります(そのあたりが曖昧)。

一応ジャンルはホラーになっているけど映像的にどぎついものはありません。真面目に作ってます。というか真面目すぎてもうちょっと遊び心が欲しかったなと思うところです。

■編みどころ
主人公が泊まる家のポーチにかぎ針編みのブランケット、部屋のソファに毛糸と編み針があります。家の奥さんが着ているボタンがはちきれそうなカーディガンも手編みかな?

見張りの女性が棒針で大きめのベビーブーティのようなものを編んでいます。編み方はアメリカ寄りのイギリス式みたいな感じです。

らせん階段 【発見】

The Spiral Staircase (1946) アメリカ
監督:ロバート・シオドマク
出演:ドロシー・マクガイア、ジョージ・ブレント、エセル・バリモア、ケント・スミス、ロンダ・フレミング、エルザ・ランチェスター

■あらすじ
町では障害のある女性ばかりが犠牲になる連続殺人事件が起きている。
子供の頃のショックで声が出ないヘレンは、ウォーレン家の夫人の世話をするため雇われていた。夫人はヘレンが狙われるのではないかと心配し家を出るように促す。館には夫人の息子のスティーブがヨーロッパから戻ってきていたが、彼が戻るといつも問題が起きるのだという。

警官が訪ねて来て、スティーブの腹違いの兄であるウォーレン教授に、ヘレンの身辺に配慮するよう求めた。使用人たちも不安がるヘレンを気遣い、一見怖そうなブルドッグのカールトンもいる。そのほかにも館には教授の秘書、医師、看護婦もいて何も心配ないかに思えたが・・・。

■雑感/編みどころ
映画の中での最初の被害者の部屋に毛糸と編み針があります。

夫人と喧嘩して部屋から追い出された看護婦が、椅子に腰掛けて編んでいました!
膝の上に毛糸を入れた籠を乗せて、2本針でイギリス式のしっかりした手つきです。演じているのはアイルランド出身のサラ・オールグッドで、この映画での風貌は浦辺粂子を彷彿とします。

それよりも前々から思っていた「あの人とこの人は似てる」シリーズ(何それ?)で、やっと話題にすることができて嬉しいのが教授役のジョージ・ブレント
河津清三郎と場合によっては置き換え可能なくらい似ていると思うんですが・・・河津さんのほうは二枚目、悪役、コミカルな役まで幅広くこなすところが違いますけど、ジョージ・ブレントを見ながらこの人が三枚目をやっていたらと想像をふくらませるのでした。

あまり賛同を得られない「あの人とこの人は似てる」「あれとこれが似てる」ってのが他にもありますが、また機会があれば紹介したいです。

幸福なる種族 【発見】

This Happy Breed (1944) イギリス
監督:デヴィッド・リーン
出演:ロバート・ニュートン、シリア・ジョンソン、ジョン・ミルズ、ケイ・ウォルシュ、スタンリー・ホロウェイ

■あらすじ
ロンドンのある家族の1919年から1939年までの物語。

第一次世界大戦が終わり、兵士たちが復員してきてロンドンは明るいムードに包まれた。
ギボンス一家はフランクとエセル夫妻と3人の子供たち、エセルの姉シルビアと母のフリント夫人らと南ロンドンの住宅で新生活を始める。偶然にもお隣さんはフランクの戦友で気の合う仲、未亡人で愚痴の多いシルビアとフリント夫人は口論ばかり、子供たちも成長し賑やかに暮らしていた。

長女と長男がそれぞれ結婚して安心したのも束の間、次女は家を嫌って出てゆき、予期せぬ不幸も起こった。やがてフリント夫人は亡くなる。そしてまた思いがけない喜びもあった。

再び戦争が始まって空襲が心配されるようになり、夫妻は20年間暮らした家を後にする。寂しさだけではなく希望も持って・・・。

■雑感
タイトルに拒否反応を起こしてなかなか見る気がしませんでしたが、『イン・ウィッチ・ウィ・サーヴ』、『大いなる遺産』(1946)で編みシーンが発見されているのでデヴィッド・リーンにはお世話になっています(すべてにジョン・ミルズが出演しているのも縁でしょうか)。食わず嫌いはいけませんね。

■編みどころ
フリント夫人が棒針で、淡いピンク色のマフラーに見えるものをイギリス式で編んでいました。

また、長女のヴァイに毛糸のかせを持たせてシルビアが巻き巻きしているシーンも!
予告編にその場面があるのですが、本編と異なるアングルだし衣装も微妙に違います。ヴァイが映っていますが背を向けている相手はシルビアではないようだし・・・編集前のものなのでしょうか?

Noel Coward’s This Happy Breed

モスクワは涙を信じない 【発見】

Moscow Does Not Believe in Tears (1979) ソ連
Москва слезам не верит
監督:ウラジーミル・メニショフ
出演:ヴェーラ・アレントワ、イリーナ・ムラヴィヨーワ、アレクセイ・バターロフ、ライサ・リャサーノワ

■あらすじ
カーチャ、リューダ、トーシャの若い3人はモスクワの寮で暮らす労働者。
昇進試験を受けたり出会いを求めたりする日々だったが、トーシャは地味ながらも早々と結婚を決めた。残る2人は親戚の家に留守番しに行った機会に大学教授の娘だと嘘をついてパーティを開き、リューダも結婚相手を見つける。カーチャもテレビカメラマンのルドルフと出会って妊娠するが、嘘がバレると捨てられてしまった。

やがて20年経ち、皆いろいろあり・・・。

■雑感/編みどころ
女性3人は、それぞれの道を行きながら20年後も親友なのが良かったです。
カーチャが後半出会うゴーシャが素敵すぎ。

カーチャとリューダが大学教授の高級マンションに滞在して帰る際、エントランスで管理人らしき人が椅子に座って編んでいました。また、カーチャとルドルフが公園(ゴーゴリ並木通り?)で別れ話のとき、ベンチで輪編みしているご婦人がいました。金属製らしき棒針がずいぶん曲がっています。

ホラー・シネマ・パラダイス 【発見】

All About Evil (2010) アメリカ
監督:ジョシュア・グランネル(ピーチズ・キリスト)
出演:ナターシャ・リオン、ジャック・ドナー、トーマス・デッカー、ノア・セガン、カサンドラ・ピーターソン、ミンク・ストール

※ホラーコメディです。苦手な方はご注意ください。
※内容に触れています。

■あらすじ
デボラは内気な女の子。ヴィクトリア劇場という小さな映画館を営む父から「スターの素質」を持っていると言われ、ハリウッド女優になるという期待をかけられている。それに応えようと舞台に上がって歌うが、緊張のあまりおもらしをして感電してしまった(母親は舞台の袖で大笑い)。

時は流れ、図書館員として働くデボラ。亡き父の遺志を継ごうと、劇場をホラー専門の深夜映画館として営業を続けていたが、劇場を売ることにした母はデボラをいたぶって書類へのサインを迫る。追い詰められたデボラはペンを母親の首へ・・・タガが外れた彼女は13金のジェイソンの母が乗り移ったかのよう。自分の「スターの素質」に悦に入るデボラ。その一部始終は防犯カメラに収められていた。

やがて映画が始まらないことに騒ぎ出す(まばらな)観客に気づき映写室へ向かったデボラは、あれこれ操作するうち防犯カメラの映像を再生してしまう。これが本物とは知らない観客に大ウケし、短編映画「監視カメラ殺人」は評判を呼び次作も期待される。こうして殺人映画を撮り始めることになった。

撮影や後始末を率先してやってくれる老映写技師のミスター・トウィグスに加え、7歳から11年病院に入っていた殺人犯の双子、路上強盗犯の男を仲間にして精力的に制作するデボラだったが・・・。

■雑感
タイトルをはじめ、クレジットに出てくるポスター、作中のパロディ映画などあまたの作品にオマージュを捧げているのに加え、ホラー映画好きの高校生スティーブンの母親役が『エルヴァイラ』の人だったり(部屋に貼ってあるエルヴァイラのポスターを本人が見るシーンが良い)、ジョン・ウォーターズ映画の常連ミンク・ストール、監督のピーチズ・クライストが出演もしているなど話題には事欠きません。ジョン・ウォーターズ、フランク・ヘネンロッターも絶賛しているとか。

双子も強盗男も面白いキャラですが、ジャック・ドナーが演じるミスター・トウィグスを一押しです。デボラは誰かに似ているような気がするんだけど・・・思い出せません。映画の結末はちょっと悲しいですが、今のご時世、仕方ありませんね。

■編みどころ
最初の自主製作映画は『二都物語』のパロディでした。
18世紀風の衣装でギロチンの前で編み物をしているデボラ。この編地がなんだか大物です。棒針編みでスカラップ模様みたい。どこから持って来たんでしょう?
編み針で痛くする場面もあり(ハッキリ言いますとグサッとやってます)。

罪と罰 白夜のラスコーリニコフ 【発見】

Rikos ja rangaistus (1983) フィンランド
Crime and Punishment
監督:アキ・カウリスマキ
出演:マルック・トイッカ、アイノ・セッポ、エスコ・ニッカリ、マッティ・ペロンパー、オッリ・トゥオミネン

■あらすじ
食肉処理場での仕事を終えたラヒカイネンは、ある家に行き男を射殺した。
目撃者で顔見知りのエーヴァは警察に話さない。
早くから容疑者として調べられるラヒカイネンだが、エーヴァは面通しで違うと答える。
エーヴァに自首を勧められるが国外逃亡を図り・・・。

■雑感/編みどころ
ドストエフスキーの『罪と罰』をベースにした監督初の長編作品です。

事件を担当している刑事が、自宅のリビングで妻とテレビを見ています。そこにラヒカイネンを尾行していた部下の刑事から電話がある・・・というシーンで、刑事の妻が編んでいました!

かぎ針編みをしていて、片付ける際に編み針を無造作に編み物に突き刺します。

こういうシーンは映画ではよく見るけど実際にやるんですか?
編みかけのものでも毛糸玉でも、針を突き刺すなんて糸が割れそうでとてもできません。棒針でも考えられない(編地の目に通すならあり?)。ましてやかぎ針なんて・・・。