追憶の時の扉 【発見】

ダイアナ・ガバルドン著
A Trail of Fire (2012) 加藤洋子 訳

アウトランダーシリーズの外伝です。
本編の続きを首を長くして待っているところに、以前から存在は聞いていた外伝が4篇読めるなんて嬉しい限り。

でもこれがまた謎めいた話があってたまりません。
最後のあれ、いったいどうなってるの? ちゃんと説明つけて欲しい!
・・・と、ますます欲求不満になっています。
本編の関係個所も読み直してみたくなるし。


編み物は、発見!というほど登場しないのですが・・・

本編の主人公からすると甥と義理の娘にあたる2人が、訳あってフランスに向かいます。
その船上に編み物するマダムがいました。

また、娘がとある人物に馬車で連れ去られるという難儀に会う場面で
そのとき、彼の視線が彼女の上に戻ってきて、座席に釘付けにした。編み針を胸に突き立てられたような気がした。
ううっ・・・動けません!

デイヴィッド・コパフィールド終わり

チャールズ・ディケンズ著
David Copperfield (1850) 石塚裕子 訳(岩波文庫)

読み終えました。
5巻めには「編み物」という言葉は出てきましたが、編みシーンはありません。

大団円になるとわかっているのに、終盤はやきもきさせられることばかり。
映画には描かれていなかったこともたくさんありました。
主要な登場人物の後日談があったのもよかった。
今後もまだ見ていない映像化作品をチェックしていきたいと思います。

デイヴィッド・コパフィールド (三)(四)【発見】

チャールズ・ディケンズ著
David Copperfield (1850) 石塚裕子 訳(岩波文庫)

3巻に登場したのは編み物かどうかわかりません。
そこには網細工の袋を編んでいるアグネスがいた
え~? かぎ針でネット編みのことかな?
わかりませんね・・・。
これはいったい何なのか、要調査です。

4巻ではユライア・ヒープの母親が編んでいました!
これは『デビッド・コパーフィールド』(1999)の場面と一致します。
映像では人の好さそうな老婦人に見えましたが、小説では編み物をしながら主人公たちを見張っている感じ悪さが際立っています。まあ、すべては息子を思ってのことなのでしょう。

残すところあと1巻・・・あんなことやこんなことが一気に収束する!?


その後:
疑問だったことを調べてみました。
編み物かどうかわからなかった箇所の原書
…there sat Agnes, netting a purse.
うーん・・・やっぱりわからない。
作っているのは小銭入れなのか小さなバッグなのか?
編み方は棒針、かぎ針、ビーズ、組紐!?
私としてはこのようなものかなーと想像しています・・・。
Knitted and Netted Purses

(2014/7/8)

デイヴィッド・コパフィールド (一) 【発見】

チャールズ・ディケンズ著
David Copperfield (1850) 石塚裕子 訳(岩波文庫)

映像化をいろいろ見たので今度は原作です。
岩波文庫の5巻中2巻まで読みました。
今のところ編み物が登場したのは1巻めだけです。

新訳との事で、読みやすくてわかりやすく、語り手である主人公が幼い頃から始まることもあって、かなりくだけた調子です。ちょっと面白可笑しく訳しすぎではないかと思うほどで、機会があれば他の訳と比較してみたいです。

映画『孤児ダビド物語』(1935)と『デビッド・コパーフィールド』(1999)は、主人公の幼少期と青年期で半々の時間が割り振られていましたが、原作では幼少期は2巻めの最初のほうで終わっているので全体の1/4程度でしょうか。そこまでは忠実な映像化という感じです。

映画は後半の展開が性急だなと思いましたが、この分量を圧縮していたのでは無理もありません。映画では少ししか触れられなかったことが、この先、読み進めていくにつれ詳細に語られるのかと思うと楽しみです。

あとわかったことは、ペゴティは主人公の母の乳母かと思っていたけど、結婚前から父のところにいたようです。とてもふくよかであるという以外は年齢も不詳。


編みシーンは簡単に書かれているだけなのでちょっと物足りませんが・・・。
ミセス・ガミッジが編んでいること、義父の姉がビーズをしていることも映画で見たとおり。おばさんのビーズ作業は、どういうものだかわかりませんが、この人はメタリックなものが好きらしく
小粒のぴかぴか光る鋼色のビーズを糸に通していく
とありました。

3巻め以降も発見がありますように!

おやつが出る

「遥かなる時のこだま(3)」 ダイアナ・ガバルドン

An Echo in the Bone (2009) 加藤洋子 訳

『アウトランダー』シリーズの23冊目です。
引き延ばしながらも既刊分を読み終えて、次は翻訳されるのを待たなければなりません。
本の紹介文に「シリーズ第7弾、怒涛の終幕」とあり、途中までは「ふーん、そうなの?どこが?」でしたが、終盤は本当にたまげました。

続きはいつ読めるのだろうと思っていたら、4篇からなる『アウトランダー外伝 追憶の時の扉』が5/20に発行されるとのこと。これをゆっくりいただいて食い繋ぎ(?)ましょうか。

リプリー終わり

『リプリーをまねた少年』 パトリシア・ハイスミス

The Boy Who Followed Ripley (1980) 柿沼瑛子 訳

シリーズ4作目。
リプリーを訪ねてきた訳ありの少年を救おうとする話です。

『死者と踊るリプリー』 パトリシア・ハイスミス

Ripley Under Water (1991) 佐宗鈴夫 訳

シリーズ5作目。
物語としては2作目『贋作』の続きで、登場人物を動員して総ざらいの様相を呈しています。でもなんだか無理に役をやらされているみたいで、トムが自分の考えに「リアリティがあるとはとても思えない」というように、絵空事めいていてしっくりきません。

シリーズを読み終えました。4作目でも違和感を感じましたが、5作目もやっぱりという感じで、これらはそれまでとは別物です。おまけというか番外編というか。
4作目は舞台を移すとか、かなり違う時期の出来事にしてもよかったんじゃないかな。
5作目は・・・思い切ったセルフパロディにするとか。

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リプリーシリーズ3作目
贋作 【発見】
太陽がいっぱい 【発見】

リプリーシリーズ3作目

『アメリカの友人』 パトリシア・ハイスミス

Ripley’s Game (1974) 佐宗鈴夫 訳

映画化の『リプリーズ・ゲーム』(2002)に手編みのセーターが登場していたので、原作にもあるのでは? と読んでみましたが、編み物は出てきませんでした。

原作と二つの映画化『リプリーズ・ゲーム』と『アメリカの友人』(1977)について。
『リプリーズ・ゲーム』を見た時点では、こちらのほうが原作に忠実なのだろうと思いましたが、原作を読んでみるとそうでもありません。トムが結婚していたり、住んでいる屋敷や細かい設定は原作に近い面もあるけど、人物像が違うというか・・・。

ヴィム・ヴェンダース監督の映画『アメリカの友人』は、トムの風貌なんかはまるでかけ離れているのだけど、額縁職人ヨナタン(ジョナサン)が軸になって謎めいた展開があります。トムについてはまるで説明不足なんですが、それがかえって一方的に引き込まれる形のヨナタンの状況と相まって、彼に感情移入させられます。

映画『アメリカの友人』はヨナタンの物語で、原作もその印象が強いです。そのほかの登場人物も興味深くて、その後ろにトムがいるって感じ。でも映画『リプリーズ・ゲーム』はトムの話になっちゃっているように思えました。

そしてニコラス・レイが演じていた画家が、あのダーワットだったとは!?
ダーワットという画家は、リプリーシリーズの小説では前作の『贋作』に登場しますが、その時点でもう故人とされています。魅力的な人物で、彼の死後も生きていると偽り仲間が贋作を作っていたことが物語の骨子でした。それをこの映画の中では贋作画家(自分自身の?)に仕立てているなんて(昔の記憶なので詳細不明、見直してみなくては)。

存在感ありすぎなアイパッチ姿のニコラス・レイ、ラストの砂浜のシーン、ブルーノ・ガンツとデニス・ホッパーの笑顔・・・やっぱり比較にならない! 『リプリーズ・ゲーム』は、見た直後はそう悪くないんじゃないかと思ったのに、原作を読んだり、ヴェンダース版を思い出したりしているうちどんどん評価が下がりました。今や編み物発見効果でかろうじて踏みとどまってるかも。


ここまでで、リプリーシリーズの映画化されているものを見て原作を読みました。
どれも一長一短ですが、あれこれ比較してみるのが楽しいです~。

リプリーシリーズではなく、原作にも映画化にも編み物発見!の『ふくろうの叫び』。
この作品の2009年の再映画化 “The Cry of the Owl” (パディ・コンシダインとジュリア・スタイルズ出演)を、若干期待してチェックしましたが・・・編み物も登場せず話もいまいちでがっかりでした。

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リプリー終わり
贋作 【発見】
太陽がいっぱい 【発見】

贋作 【発見】

パトリシア・ハイスミス著
Ripley Under Ground (1970) 上田公子 訳

■あらすじ
前作『太陽がいっぱい』から6年後の話。
トム・リプリーは資産家の娘エロイーズと結婚し、それなりに何不自由なく暮らしている。それなりに、というのは義父からの援助なしには邸宅での生活を維持できず、すべて頼るわけにもいかないので、怪しげな仕事で収入を得ているため。

エロイーズとの結婚は打算ではなく彼女からのプロポーズで、トムも価値観の一致するエロイーズをいとおしく思っている・・・もちろん、すべてを打ち明けられるわけではないのだが。
そんな静かな生活の中、トムが関係する画廊のビジネスで問題が起こる・・・。

■雑感
トムが前作の事件でちょっとした有名人であり、警察にも真っ白でない微妙な立場でありながら、何でそんなことをという危険な綱渡りをします。かと言ってアドレナリン中毒なのではなく、トムとしては平穏な生活を守りたいだけ。けれど好感の持てる人物を放ってはおけない、という結果そうなってしまうのです。
贋作画家バーナードに対して感情移入して、あわやという事態に・・・。
物語は続編としても単体としても面白かったです。

■編みどころ
編みシーンはないのですが・・・。

トムは3年前に結婚してからフランス在住、今回の事件の発端であるアメリカ人のマーチソンとロンドンで会い、イギリス土産について会話する場面。トムがエロイーズのために、カーナビー通りでパンツを一着買ったと言うと、マーチソンも妻のために買い物したという話で
「・・・
毛糸を買うこともあるんですよ。家内は編物をやるんでね、自分の編んでおる毛糸が伝統あるイギリス製だと思うだけで気分がいいんでしょうな」
ふむふむ。どんな毛糸だったのかな?

そのほか、終盤トムが手頃な箱が必要になったとき、家政婦のマダム・アネットが取ってあった靴の箱を見つけて
箱の中にはきちんと巻かれた残り毛糸の玉が入っている。
マダム・アネットが編み物するってことでしょうね。


本作の映画化『リプリー 暴かれた贋作』(2005)を見てみました。
トム役がバリー・ペッパーというのはいかがなものかで、私のイメージするトムとは(エロイーズも)違っていました。でも、この映画はかなり脚色されていてコミカルなところもあり(原作も笑える展開はあるので、それを拡張していった感じでしょうか)、原作とは別物として、これはこれで悪くないかも。
編み物に関することは出てきませんでした。

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リプリーシリーズ3作目
太陽がいっぱい 【発見】

白衣の女 【発見】

ウィルキー・コリンズ著
The Woman in White (1860) 中島賢二 訳

『幽霊塔』の黒岩涙香版と江戸川乱歩版を読んだので、その原作である『灰色の女』(A Woman in Grey)が設定を借りているという本作を読んでみました。
そしたら編み物発見!のおまけが。

※少し内容に触れています。

■あらすじ
ウォルター・ハートライトはフェアリー家の娘たちの絵画教師の職を得た。
ローラとマリアンという2人の娘は両親を亡くしていて、保護者である叔父は美術品にしか興味のない人物。姉妹は父親が違うものの、妹のローラは姉を慕い、姉のマリアンは妹を傷つける者は容赦しないという固い絆で結ばれている。

彼らの住むリマリッジ館は、イングランド北部のカンバランドにある。翌日から屋敷に滞在して仕事をすることになったウォルターは、人気のない真夜中の街道を歩いていた。
すると月明かりの中、白い衣服に身を包んだ女性が不意に現れ、ロンドンに行きたいので送って欲しいと言う。話をするうち彼女がフェアリー家やリマリッジ館を知っていることもわかり、奥様、お嬢様と呼び、かつて親切にしてもらったと・・・。奇妙だが怪しいとは思えなかったので困っている彼女を助け、アン・キャセリックという名前を知る。

ローラに会ってみると、彼女とアンの顔がよく似ていることに気づいた。
やがて2人の間にある感情が芽生えるが、身分の違いゆえお互い口にすることはおろか、態度も示すことはできない。ローラには親の決めた婚約者がいて、これ以上近くにいては辛くなるばかり。婚約者についての怪文書が届いたりと気がかりなこともあるが、マリアンにあとを託し、ウォルターは館を去る。

それからとんでもない陰謀が・・・。

■雑感
文庫本で3冊からなるので大変かなと読み始めましたが、古風な文体ではなくわかりやすいし、何より続きがどうなるか気になって読み耽りました。
ディケンズが発行する雑誌に連載された当時、皆が夢中になったというのも頷けます。

この事件が、関わった人々による手記や口述という形で進んでゆくのも、視点が変わって興味をそそられます。筋書きそのものよりも、優れた人物描写によって思い入れが強まり、当時のことであるし大団円を迎えると思いつつもハラハラさせられました。

本作と『幽霊塔』との関連性は・・・涙香版には少し?
『白衣の女』から『灰色の女』は、タイトルからして似ていますが、涙香版『幽霊塔』となると灰色の着物については出会いの場面で触れられるけれど印象深くはないし、乱歩版は『灰色の女』ではなく涙香版を基にしているので、さらに着衣の特徴はなくなっています。

■編みどころ
ローラの元家庭教師の優しい老婦人ヴィジーさんが、結婚のお祝いにショールを編んでくれます!
ここ何ヶ月もの間
シェトランド産の羊毛でショールを編んでいた。
シェトランドの毛糸で結婚のお祝い、時間もかかっていたとなれば、まさにこの時代、ヴィクトリア朝に大人気となった繊細なシェトランドレースなのでは?と想像します。

そのほかは詳しい記述はないものの、ローラが編み物をすること、アンの母キャセリック夫人が「小さな編み物籠を膝に置いていた。」などがあります。


『灰色の女』も近いうち読むつもりですが、こちらも時代があり女性の著者であるので、編み物が登場するのでは・・・と密かに期待しています。

スクワーム 【発見】

リチャード・カーティス 著
Squirm (1976) 関口幸男 訳

凶暴化した大量のミミズと正気を失った男を相手に生き抜く話。
映画に編み物が登場していたので小説版も読んでみました。

原作かと思っていましたが、実際はノベライズではないでしょうか。
訳者あとがきに「本書は映画にもなっており」とあるので、そうも解釈できます。でも海外サイトで原作者の記載が見当たらないのでどうなのかな、と思うのです。
それはともかく、まったくと言っていいほど映画と同じ内容だけど、映画にはない部分もありました。

小説のプロローグには、ミミズ養殖場(映画はゴカイとなっていましたが小説はミミズ、以下M)の息子ロジャーが少年時代に体験した出来事が書かれています。

母が亡くなった悲しみや、それまで何とも思わなかったMが嫌いでたまらなくなったこと。研究熱心な父がMに電気ショックを与える実験中、食いつかれた恐怖・・・こんなことがあったからおかしくなったのかな、と思えるような話です。以来15年も、やはりどうかしている父の手伝いをしながら暮らしていたのですから、さぞや・・・と気の毒にもなります。
ロジャーが逞しくてハンサムな青年に成長し、近寄りがたい不気味さがなければ町中の女の子が夢中になるであろうという件は・・・えーと、映画版では問題あり。

映画ではロジャーがいきなり暴走したように見え(実際は少年時代の心の傷が深く、鬱屈したものがあってまともじゃなかった)、ヒロインの母が心ここにあらずのような状態なのも(夫が亡くなったという説明があるにしても)不可解な感じなのです。
その辺りも納得いきました。というか、描けてない映画がヘボすぎるとも言える?

編み物も補完されています!
ヒロインの母が知人の依頼でショールを編んでいる、というのは同じですが、依頼人は編み物は好きだけどウールにアレルギーがあるので、もっぱら化学繊維のオーロンを使っているとの事。だから娘用にウールのショールを編んでもらっています。

毛糸については、映画では違う色の糸を引き揃えて、かなり疑問な色合いのものになっていましたが(これはこれで、暗い画面の中では存在感あり)、小説では赤と緑の糸で、緑の花模様をあしらった・・・とあるので、地は赤なのかも。映画では棒針編みですが、小説では「金属の編み針」というだけなので、花模様ということからかぎ針編みの可能性も?

など、想像をたくましくできるほど編み物のことが詳しいのが不思議で。
この物語にそこまで書きますか?という素朴な疑問。
どういう経緯なのか非常~~に興味があります。

編み物を発見するまでは価値を認めていない、どちらかと言えば気に食わない部類の作品でしたが、今では結構お気に入りに・・・。
特に小説の終盤に面白い一節があり、そこを何度も読んでしまいました。
ヒロインの恋人ミックが、変わり果てたロジャーの姿を見て
おお、なんということだ。
目があるのはこんなものを見るためか!
というのです。
原書にどう書かれているのか(よくわからないと思うけど)読んでみたいです。

この最大の見せ場の雰囲気は映画ではうまく出ていません。
ロジャーがどういう状態なのかは、文章のほうがよくわかります。映像ではMの物量表現は圧倒的ですが、ロジャーはなんだかしぶといってだけで普通なんです。

というわけで、小説版は映画を補って余りあるもので、おおいに収穫がありました。


あらあら、語っちゃって・・・。
映画の感想を書いたときとテンション違いすぎ~。