汽車はふたたび故郷へ 【発見】

Chantrapas (2010) フランス/グルジア
監督:オタール・イオセリアーニ
出演:ダト・タリエラシュヴィリ、ビュル・オジエ、ピエール・エテックス

■あらすじ
監督の半自伝的な作品。
ソ連時代のグルジアで映画を撮っていた主人公だが、検閲され勝手な編集に従わなければ上映することもできない。当局に出国を促されパリ行き、自由に映画作りができるかと思えば・・・。

■雑感
ストーリーはともかく、登場人物が煙草とお酒を多用しているのが気になり、何か意味があるのかなと考えてみたけどわかりません。。。

■編みどころ
グルジア時代のフィルム編集室で、助手と思しき女性が小物を輪編みしていました。

恋のページェント 【発見】

The Scarlet Empress (1934) アメリカ
監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
出演:マレーネ・ディートリッヒ、ジョン・ロッジ、サム・ジャッフェ、ルイーズ・ドレッサー

■あらすじ
ドイツの小貴族の娘ゾフィーがロシアの皇太子に嫁ぎ、やがて女帝エカチェリーナ2世となるまでを描く・・・と言っても重たい歴史ドラマではありません。

■雑感
皇太子であるピョートル3世が変人で夫婦生活ができないため、世継ぎを産むために愛人を持たされ、そもそも野心家だったわけではないのに女帝となっていった・・・というような物語も史実も重要ではなく、ひたすらマレーネ・ディートリッヒを鑑賞するための作品。
サム・ジャッフェの怪演によるピョートル3世の印象も強烈です。

皇室をこんな風に描いちゃって大胆だなーと思ったら、実際は映画も真っ青くらいのお家事情だったようで・・・ぜんぜん存じませなんだ。

私はマレーネのおでこの曲線がたまらなく好きなのですが、そのあたりを堪能できる角度が少なくて残念だとか、結婚するまでの乙女演技のわざとらしさが、可笑しいけれどちょっとくどい、なんてことは気になりません。
特にピョートル3世の愛人が「殿下は皇帝になったら私を新しい妻にする」と言ったあと、彼女をしげしげと見やる目つき・・・最初は面白がっている風なのが、やがて自分のするべきことを決意して部屋を出てゆく・・・はお気に入りで、この場面だけでも永久保存版です。

■編みどころ
おまけ的発見として、貴婦人たちが刺繍や何かしながら歓談している場面があり、編み物をしている人もいました。動きがぼんやり見える程度で、たぶんアメリカ式。時代考証がされているかどうかは定かでなく、映画の中のシーンということで。

白いリボン 【発見】

Das weiße Band (2009) ドイツ/オーストリア/フランス/イタリア
監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:クリスティアン・フリーデル、レオニー・ベネシュ、ウルリッヒ・トゥクル、ズザンネ・ロータ

■あらすじ
ドイツの田舎、人々が静かに暮らす村で陰湿な事件が次々と起こる。
誰が?何故?深く追求しようとする者もいない。
何もあきらかにならないまま、第一次世界大戦が勃発する・・・。

■編みどころ
棒針で小物の輪編み、かぎ針でレース編みなどをするシーンがあります!
編み物ではないかもしれませんが、テーブル掛けやちょっとした敷き物、乳母車飾りなどにもレースがあしらわれていました。

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 【発見】

The Curious Case of Benjamin Button (2008) アメリカ
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、タラジ・P・ヘンソン、ティルダ・スウィントン

■あらすじ
誕生時の肉体年齢は80歳、実の親に捨てられ老人施設で働く女性に育てられる。
長くは持たないと思われたが、成長するとともに何故か肉体が若返るのだった。
そんなベンジャミンとの出会いと別れを老女が語る・・・。

■雑感・編みどころ
なんとなくキワモノのような気がして敬遠していたけど、観てみたら面白かったです。

ベンジャミンは編み物のおくるみに包まれて捨てられます。
祝福するために作られたはず・・・と思うと、予想もつかなかった切ない運命です。
他にも施設のご婦人方のショールが登場、ポーチではおばあさんが編んでいました!
ソファにかぎ針編みのブランケットもあり。


ふと思い出した『縮みゆく人間』(1957)に、なんとリメイクの話があるらしいと知りました。
原作の著者が現代に合わせて脚色するというから、こちらも楽しみです。

ニコライとアレクサンドラ 【発見】

Nicholas and Alexandra (1971) アメリカ
監督:フランクリン・J・シャフナー
出演:マイケル・ジェイストン、ジャネット・サズマン、ジャック・ホーキンス、トム・ベイカー

■あらすじ
日露戦争が起きようとする情勢の中、ロシアの労働者は苦しんでいた。
そのうねりは大きくなり、やがて革命へと向かう・・・。

皇帝ニコライと皇后アレクサンドラ、政治、戦争を主に、皇太子の病気とラスプーチンのことを少し、という配分で1904年から退位する1917年までを、それから処刑されるまでの1年ほどは家族の暮らしを中心に描かれています。

■雑感・編みどころ
皇女アナスタシアが編み物を手にしている実際の写真が残っているので、映画にも登場しないかと期待したのですが、皇女たち四姉妹は誰が誰やら区別されず(少し台詞があるのがたぶんアナスタシア)、写真のようなシーンはありませんでした。

退位して監禁状態になってからは、娘たちがカーディガンを着ていたりアレクサンドラはショールを掛けていたりします。帝政だった頃と打って変わって質素な衣服にグレーのニット姿・・・でも編み物は登場しないかな、と思っていたら最後にアレクサンドラが編んでいました!

ニコライが編み物をしているアレクサンドラの手を気遣い、「痛むだろ」と言うと「これくらいならできるわ」というやり取りがあります。
ピアノはもう弾けないらしく、指が思うように動かせない状態のようです。
編み方がアメリカ式だったのはアメリカ映画だからか、指のせいなのか・・・?

その後の場面で同じ色の指出し手袋をしているので、これを編んでいたということかも。

モーム短篇選(上) 【発見】

サマセット・モーム著
行方昭夫 訳 (岩波文庫)

「手紙」と「十二人目の妻」に編み物が登場していました!

「レース編みをしていた」というだけの些細な記述でも、そこに編み物があると思うと情景の見え方が変わってきます。
モームの有名なものはいくつか読んだはずだけど、何も憶えていません。
この短編集は人物描写や植民地の空気などが、わずかな文章で手に取るように感じられて面白く、下巻も読んでみようと思います。

以前の記事で「手紙」の映画化は1929年版と1940年版『月光の女』で内容が違うと書きましたが、驚いたことに小説は、そのどちらとも違っていました。
もちろん大筋は同じだけど、結末が小説、1929年の映画(戯曲と同じ?)、『月光の女』で異なるのです。それぞれ良さがあると思いますが、かなり印象が違います。

1929年版は戯曲の流れがあるから、終盤の夫との口論など舞台劇を思わせる激しさなのはわかるとしても、小説にある「育ちの良い女性の豹変」が感じられませんでした。

映画としては『月光の女』のほうが、冷たそうな女性が実は愛に生きていたというメロドラマ的な脚色もありだと思えるし、編み物の登場が多いだけでなく、それを心の動きに絡めているのも気に入っています。

ブラック・レコード~禁じられた記録~ 【発見】

Glorious 39 (2009) イギリス
監督:スティーヴン・ポリアコフ
出演:ロモーラ・ガライ、ビル・ナイ、エディ・レッドメイン、ジュノー・テンプル、クリストファー・リー

■あらすじ
第二次世界大戦の直前のイギリス、ヒロインが物置で見つけたレコードには秘密の会話が録音されていた。その内容に驚き知人に相談しようとするが、周囲では関係者が次々と不審な死を遂げるなどおかしなことが起こりはじめる・・・。

■雑感
ドイツと手を組み戦争を回避しようとする勢力の暗躍に、家族とともに幸せに暮らしていた娘の人生が一変する話です。

どうなってしまうのかハラハラしたけど、あとで思い返すと家族の行動が理屈に合わなくて変な感じ。あまり内面が描かれていないから、あれこれ想像で補わないとあっさりしすぎかも。
政治的なことが主題というよりは、それを背景にしたサスペンスドラマです。

■編みどころ
小さなシーンですが、幽閉されたヒロインを見張る怖そうなおばさんが編み物をしていました!

スマーフ 【発見】

The Smurfs (2011) アメリカ
監督:ラージャ・ゴスネル
出演:ニール・パトリック・ハリス、ジェイマ・メイズ、ハンク・アザリア

■あらすじ
現代のニューヨークへ通じる穴に吸い込まれたスマーフ御一行が、いろいろあって村に戻る話。

■雑感
実写にCGのスマーフ達が合わさっている映像です。昔のアニメが好きだったので期待したのですが、内容としてはすごく良いってほどではなく普通かな・・・。
80年代のアニメでは間抜けな魔法使いガーガメルと、それよりよほど常識的な猫のアズラエルのコンビが可笑しいし、パパスマーフが色気づいたりする話もあって、ただかわいいだけの子供向けとは一味違う感じでした。

そういえば今回の映画版のアズラエルは猫の声しか出していなかったけど、元のアニメやコミックではどうだったんだろう? アニメの吹き替えでは喋っていて、ツッコミを入れてるみたいなのが良かったのです。(映画で喋っていないってことは日本独自かも!? というより独り言だった?)

■編みどころ
さて映画では・・・現代NYのとある夫婦の家で、スマーフが編み物籠から毛糸を引っ張り出して人間を縛り上げるシーンがあります。手編みらしきブランケットやクッションカバーなどもあったから、この家の奥さんが編み物をするという想定なのでしょうね。
編みシーンはありませんでした。

2013年の夏に『スマーフ2』が公開予定・・・面白くなって、編み物も登場するといいんだけど!

ダーク・シャドウ 【発見】

Dark Shadows (2012) アメリカ
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、エヴァ・グリーン、ミシェル・ファイファー、ヘレナ・ボナム=カーター

■あらすじ
18世紀、魔女に惚れられたために愛する人を失い、自らは吸血鬼にされ生き埋めになった男。彼は思いがけず20世紀に蘇り、現在も一族の末裔らを苦しめる魔女に対抗する。

■雑感・編みどころ
原作のソープ・オペラやそのノベライズも、ちょっと面白そうです。

没落した一族は古くからの屋敷に住んでいますが、屋敷といえば秘密の隠し部屋がつきもの。その一室を現在の女主人がマクラメ倉庫にしています。マクラメを編み物と言ってよいのか悩むけど、字幕では「編み物」にマクラメとルビを振っていたのでOKでしょう!
(しかし何故マクラメ・・・)
でもそれは隠し部屋の「恥ずべき使い道だ」と言われてしまいます。。。
編みシーンはマクラメ含めありませんでした。

月光の女・手紙 など 【発見】

ベティ・デイヴィスの主演作、どちらも発見済みですが、日本版DVDで再チェック。

月光の女

The Letter (1940) アメリカ
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:ベティ・デイヴィス、ハーバート・マーシャル、ジェームズ・スティーヴンソン

■あらすじ
夫の留守中に知人男性に言い寄られ、やむなく彼を射殺したという妻・・・。
彼女は本当のことを言っているのだろうか?

■雑感・編みどころ
編んでいるのはモチーフつなぎのかぎ針レースのようで、ベッドカバーとの事。
編み物をはじめたのは辛い心を紛らわすためでは?と思わせる話も出てきます。


ラインの監視

Watch on the Rhine (1943) アメリカ
監督:ハーマン・シュムリン
出演:ポール・ルーカス、ルシル・ワトソン、ジェラルディン・フィッツジェラルド

■あらすじ
反ナチの活動家とアメリカ人女性の夫婦の話。
妻の実家であるワシントンD.C.に子供たちと共に帰ってきたが・・・。

■雑感・編みどころ
これも細かそうな・・・レースでしょうか、かぎ針編みをするシーンがあります。

2本とも客間などで編むのですが、その際に編み物をバッグから取り出します。レース編みや細糸でかさばらないものだから・・・また、家が広くて持ち歩くというのもバッグを使う理由かもしれません。
この編み物を入れたバッグは、ある時代の映画の中ではよく見られるのですが、木製や金属製のハンドルで口が大きくガバッと開くものなんです。

実物も昔はよく見かけました。グラニーバッグみたいな感じで竹製などの円形の持ち手がついているもの(画像のはちょっと違うし大きめですが)、今でも持ち手が販売されているから、バッグも存在しているんじゃないかと思います。何という名前なのでしょう?

ふと「手芸バッグ」という言葉が浮かんで検索してみたら、たしかにこんな感じではあります。それでいいのかな? 英語での言い方はやっぱり「グラニーバッグ」??


映画の話に戻りますが『月光の女』はモームの戯曲『手紙』の再映画化です。
最初の映画化は1929年で、画質は良くないけどネット上で見ることができます。

手紙

The Letter (1929) アメリカ
監督:ジャン・ド・リミュール
出演:ジーン・イーグルス、レジナルド・オーウェン、ハーバート・マーシャル

動画サイトに無かったら Internet Arcive で見られます。
レースを編むようなシーンは 03:20~あたりから。

1929年版と1940年版、内容はかなり違うのに双方に編み物が出てくる、ということは原作にもありそうではありませんか! 要チェックです。