おしゃれ工房9月号のバスケット編みの話題は、もう皆さん食傷気味のはずだから書くのやめておこうかと思いましたが、テキストは買わなかったしとりあえずバスケット編みを編む予定もない人にでも、読んでいただくと「へぇ!」なものがあるはずと思うので敢えて今一度。
NHKに申し込んで訂正版の編み図を送ってもらうと↓のような編み目記号図が届くと思います。(私は申し込んでません。)
*赤で編むブロック、黒で編むブロックそれぞれ毎に、2列目以降2目一度でつなぐところの1段目、2段目全てにあてはまる。(訂正箇所は1段目と2段目だけだから)
赤で編むブロック(拾い目は裏を見てする列)例/ブロックB、C・・・
1段目…8目全部表目記号
2段目…右端に左上2目一度、残り7目は表目記号
3段目… 〃
4段目…右端にすべり目記号、残り7目は表目記号
5〜14段目…3、4段目と同じくり返し
15段目…右端に左上2目一度、残り7目は表目記号
黒で編むブロック(拾い目は表を見てする列)例/ブロックJ、12、・・・
1段目…8目全部表目記号
2段目…表目7目、左端に右上2目一度記号
3段目… 〃
4段目…表目7目、左端にすべり目記号
5〜14段目…3、4段目と同じくり返し
15段目…表目7目、左端に右上2目一度記号
この編み図の通りに編めば、嶋田さんが編み方解説でされたのと同じ『編み地』が赤、黒とも確実に出来ます。
問題点は、黒ブロックを編む時の嶋田さんの編み方解説にあります。
ちなみに、↑の黒ブロックの編み目記号図を逐一洋書パターンのように記述してみると、
1段目…黒糸でK8(拾い目)、ターン。
2段目…右針の左端の1目(赤)と左針の右端の1目(黒)と目を入れ替えて、「表から見て黒が上になるように」裏目の左上2目一度、P7、ターン。
3段目…K7、右上2目一度、ターン。
4段目…すべり目1、P7、ターン。
5〜14段目…3、4段目と同じにあと5回くり返す、ターン。
15段目…K7、右上2目一度、ターンせず。
こうなります。ところが、嶋田式解説ではこれがこうじゃないのです。
Jという黒ブロックの編み方解説から問題部分をコピーしてみますので比較してみてください。
『1…糸を黒に変え…ブロックBの側面から8目拾う。8目めとブロックIの端目を右上2目一度で編んで、Iにつなぐ。』
【注1】8目拾い目した後、ターンはせずに表を見たままで、8目めの黒ととなりのIの赤とを「右上2目一度で編んで」と書いてある。でも正確に言うと、これは普通の2目一度じゃないですね。8目めまで拾い編み、次の目(1段目の9目め?!)を編んで8目めをかぶせるんじゃ編み方的にはむしろ伏せ目にあたるのでは?普通右上2目一度というのは、1目編まずに右針にとって次の目を編んでかぶせる、ですよね。言ってることとやってることが違うのでとても紛らわしく問題有りな箇所。そしてまた、「7目拾い、8目めを拾いながら2目一度する」という最初の編み図では完全に違うので訂正を求めた箇所。
『2…右上2目一度が編めた。裏に返し、最初の目をすべり目にして2段めを編む。』
【注2】2目一度をした後でターンし、最初の目をすべり目してます。これはどういうことでしょう。訂正された記号図の2段目にはすべり目記号は無いはず!
(個人的に私はここで、とーーーっても考え込んでしまいました。このすべり目は何じゃ?と。)
実際編んでみると、ターンした後左針の右端の黒1目を右針に移さないことには、編み糸の位置からしてもその先は編めません。だからここで「すべり目」となったのでしょう。 *この2段目でのすべり目は他の段でのすべり目とまるで意味が違いますね。文字どおり左針の目を右針にすべり移すだけの役割です。いっぽう他の(4段目以降の)すべり目は、すべり目することによって前段の目を1段引き上げる役割をもっています。
正確に記号図で表すと「無い」はずのすべり目が編み方の解説に出てくるのはなぜか!
それは、ターンする前に2目一度をしちゃってるからです。8目拾い目した後2段目の最初に行われるはずの2目一度を1段目の続きとしてやってしまい、その結果出来た目が右針上にあるもんだから(ターンした後では左針上)、ターンの後その1目をすべり移さなきゃならなくなった訳です。正しい記号図のようにターンの後で2目一度をしていればやる必要の無いすべり目です。よって2段目のすべり目記号を削除するようここも訂正を求めました。
嶋田式の問題点は、【注1】【注2】でわかるように、言葉で言ってることと実際やってることと記号で書いてあることとが紛らわしくズレてることだと思います。
にもかかわらず、(もし編み図を無視して編み方説明のみに忠実に編んだ場合)この嶋田式が優れている点は、「ターンする前に2目一度をしちゃっているところ」だと思うのです。記号図をそのまま逐一記述した方のやり方では、2段目に「目を入れ替えて裏目の左上2目一度」が出て来ます。これは確かにちとめんどうくさい編み方です。そこのところが≪嶋田式/ターン前2目一度≫では、ターンの後すべり目する必要が出てくるにしても「表を見て右上2目一度(風)」というとても編みやすい編み方で出来てしまうのです。2目一度でくっつける方法に限って言えば、「編むのが楽」という点できっとこちらに軍配が上がるでしょう。ここらあたりが、今回思案の末に、編み図上不具合が出るのを承知でこの編み方を紹介されるに至った二つ目の理由なのではないでしょうか。
そしてこの方法は、パターン三昧のま様『三角モチーフ帽子』などでも使えます!
「表を見て○○が上になるように目を入れ替えてうんぬん」よ、さようなら〜!です。
ちょっとステキなことじゃありませんか♪。
長々とすみませんでした。
この長話しが、いつかどこかで誰かのお役にたてることを願ってます。
PS 嶋田さんが編み方解説でおっしゃっている通りを正確に編み目記号図にするのは、随所に言葉による補足説明をちりばめない限りはムリじゃないかと思うのですが…皆様ならどう思われますか?
とらのママさん、私はこのテキストは持ってないけど白樺編みはやるつもりだし、興味があるのでしっかり印刷して読みました。実際編んでないので、ちょっとあやふやな点があるものの「へぇー」しました。
実はアメリカのパターンブックからスワッチを編むのに、自分で記号図を起こしたりしていたのですが、記号図を書けないパターンや記号図に記号で表せないパターンがあるのです。(もしかしたら私の勉強不足で知らないだけかもしれないですけれど)そんなところへとらのママさんのこのメセージ、うなずいてしまいました。記号図って限界があるようです。
このとらのママさんのメッセージからの観点はずれるのですが、嶋田式がわかりやすいのは事実ととらえて、文字での編み方をこういうふうにかえるとすっきりしませんか?これって英語の編み方で時々出てくるのです。
《(2…右上2目一度が編めた。裏に返し、最初の目をすべり目にして2段めを編む。』
【注2】2目一度をした後でターンし、最初の目をすべり目してます。これはどういうことでしょう。訂正された記号図の2段目にはすべり目記号は無いはず!
(個人的に私はここで、とーーーっても考え込んでしまいました。このすべり目は何じゃ?と。)
実際編んでみると、ターンした後左針の右端の黒1目を右針に移さないことには、編み糸の位置からしてもその先は編めません。だからここで「すべり目」となったのでしょう。 *この2段目でのすべり目は他の段でのすべり目とまるで意味が違いますね。文字どおり左針の目を右針にすべり移すだけの役割です。いっぽう他の(4段目以降の)すべり目は、すべり目することによって前段の目を1段引き上げる役割をもっています。》
ターンする前に右の針にかかっている目を左の針に移すのです、それからターン。この動作は「すべり目」だと言えばそうですが、「2目一度」とセットにして考えれば、文字でのパターンを参考にすれば、前段の目を1段引き上げる役割をする「すべり目」と区別できて、すっきりしませんか?
私みたいに記号図優先だと記号図に「注」マークを入れて、文章を読むようにって注意してくれるとありがたいなー。
一度分かってしまえば、とっても楽な編み方だと思います。私の三角モチーフ帽子にも使えます!!(こらっ!宣伝するな!)
私も長くなりましたが、とらのママさん考に感謝。
あらためて読むとなると書いた本人でもゲッ!となるような長文(苦笑)に、お目を通していただきありがとうございました。
三角モチーフ帽子に≪嶋田式/ターン前2目一度風≫を適用すれば、ターンの後のすべり目もナシで即普通に裏編みを編み始めればいいという超楽チン式になるようです。この楽チンさがなんかうれしくて、また三角モチーフ帽子が編みたくなりました!
(「2目一度」というのは、「1目編みながら」同時に「1目減らす」という技法ですよね。
↑のバスケット編みでは、8目拾った時点で左の針上に前列の編み目がすでにあり、それを「1目編んで」「8目めの目をかぶせる」わけです。これが訂正版編み図2段目最初の2目一度記号の「1目編む」と「1目減らす」にあたるわけです。だからターンの後、もう編み終わってる2目一度の分の目は編まずにすべらさなきゃなりません。
これを三角モチーフ帽子のつなげるところにあてはめてみると、1つめの三角から30番目の目を拾うのは29目めの続きの「目作り」という作業なわけで、そこに29番目の目をかぶせると、次段の2目一度のうちの「1目減らす」は終わるけど「1目編む」はまだされてないわけです。だから、ターンしたらすべり目はしないで全目編む、となります。ですよね。)
嶋田式楽チン方法は、言ってみれば『裏わざ』みたいなものなのではないでしょうか。編み図ではこう、でも実際編む時にはこうすればとても楽ですよ、みたいな。
ま様のおっしゃるように、記述式パターンの一部に的確な記号図にはちょっとできない部分があったりするのも、こういうたぐいの”編みやすくしてくれる”『裏わざテク』がさりげなく入り込んだりしている可能性があるのではないかしらん?
編み目記号図のことなどそもそも考えの中に無い方々にとっては、それが裏わざ的技法だという思いもまた毛頭ないことでしょうから。*^^*
とらのママさん、また編んで見せてください。とらのママさんの色や素材のセンスが取っても好きなのです。
《(「2目一度」というのは、「1目編みながら」同時に「1目減らす」という技法ですよね。》
そうです。伏せ目とも書いてあったのですが、とらのママさんの文章そのまま使ったほうが混乱しないかとあえて「2目一度」と書きました。
《これを三角モチーフ帽子のつなげるところにあてはめてみると、1つめの三角から30番目の目を拾うのは29目めの続きの「目作り」という作業なわけで、そこに29番目の目をかぶせると、次段の2目一度のうちの「1目減らす」は終わるけど「1目編む」はまだされてないわけです。だから、ターンしたらすべり目はしないで全目編む、となります。ですよね。》
ハイ、そうです。自分のパターンなのに、考え込んでしまいました。白樺編みとは違うので、その通りです。この方がわかり易いですね。編んでないので見た目がどうなるか分かりませんが、良くなれば一石二鳥ですね。
そう考えると、編み物の歴史は古いけれど、パターンというのは完成されていないのかもしれません。これだから編物は面白いのかも!