てっぺんから編むバスケット編み帽

とらのママさん作
難易度わかれば楽々
サンプル1サンプル2サンプル3
左から、サンプル1~3

作品紹介

頭のてっぺんから「輪編みのバスケット編み」で編む帽子です。頭回り寸法の修正や縁編みの変更も後から簡単に出来るので、 下から編み上げるより便利かと思います。 サンプル1の基本形はぴっちりサイズですが、アレンジ編でサンプル2&3のゆったりめサイズも用意してみました。 お好きなサイズ、お好きなアレンジでどうぞ。

材料・用具など

  • サンプル1(基本形)
    • 材料:毛100%で40g/80m位の毛糸(普通~やや太めの並太)を2色
      A色(グレー)30g強、B色(白)30g弱
    • 用具:バスケット編み用 8号4本棒針、8号輪針60cm、ゴム編み用 7号輪針40cm
    • ゲージ:メリアス編み 16目22段/10cm
    • 出来上がり寸法:頭回り52cm(平置きで48cm位)、てっぺんからの寸法22cm(含ゴム編み部分3cm)
  • サンプル2(並太ゆったりタイプ)
    • 材料:毛100%で40g/95m位の毛糸(やや細めの並太)を2色
      A色(カラフル段染め)30g弱、B色(紺)30g強
    • 用具:バスケット編み用 7号4本棒針、7号輪針60cm(又は40cm)、ふち編み用 6号輪針40cm、7号輪針40cm
    • ゲージ:メリアス編み 17.5目25段/10cm
    • 出来上がり寸法:頭回り56cm(平置きで52cm位)、てっぺんからの寸法23.5cm(含ゴム編み+ロール部分=3.5cm)
  • サンプル3(極太ゆったりタイプ)
    • 材料:毛100%で50g/80~85m位の毛糸(極太)を2色
      A色(黒系ツィード)50g弱、B色(白)25g
    • 用具:バスケット編み用 10号4本棒針、10号輪針60cm、ふち編み用 8号、9号、10号輪針40cm
    • ゲージ:メリアス編み 14目20段/10cm
    • 出来上がり寸法:頭回り56cm、てっぺんからの寸法22cm(含ロール部分1.5cm)

編む前に

【用語と記号】
  • 列=角と角で接しながら四角モチーフが横に編み連なる1列を表します。(段と呼ぶ人もありますが、編み地の「段」と区別したいので)
  • K=表編み、P=裏編み。(単なる文字数節約)
  • 拾い目記号
    あった方が拾うとき解り易いと思い作ってみました。まるっきりJIS規格外のオリジナル表記です。
    例1 :[◎●○●○●●←]
    例2 :[●●○●○●○●○●◆←]

    *[ ]は、四角モチーフの拾い目される辺を横にして見た状態を表しています。
    *並んでいる記号の数は、目を拾われるモチーフが編まれてある段数に相当します。
    *矢印は、これから目を拾い進む方向を表します。表を見て拾う場合でも裏を見て拾う場合も同様です。

    =1段から1目を拾う
    =とばす段
    =針にかかっている目と目の間から1目拾う
    =すでに2目一度で使われてる目のところから拾う

    例1の場合…「7段から5目拾う」を表し、最後の拾い目は「針にかかっている目と目の間から拾う」になります。
    例2の場合…「11段から7目拾う」を表し、最初の拾い目は「すでに2目一度で使われてる目のところから拾う」になります。

    *拾い目は1目入りのところから。
  • 数字①②・・・⑦は四角モチーフを表し、(1)(2)・・・は何段目かを表します。
【編み順など】
  • 全列とも1列はモチーフ7枚構成。
  • 編み始めの1列目(中心部分)から最後のふち編みまで、一度も糸を切ることなく一気に編み終われます。
  • 図解無しのひたすら記述パターンですが、「同様にくり返す」というところがたくさんあるし、編み進むにつれてくり返しのリズムがつかめると、 とても楽に編めるようになります。

編み方

【サンプル1(基本パターン)】…並太でジャストフィットタイプ

1~7列までのバスケット編み部分は8号針使用です。

1列目 ≪時計と逆回り/A色/①~⑥は5目7段、⑦は4目7段≫

*『ブルーの糸印』は各列の編み始めの四角の位置です。
1列目終了
①別鎖からの拾い目でA色で5目作り、7段メリアス編みする。
②(糸を続けて)新しい針で今編んだ四角の左側の7段から、表を見て5目拾い、メリアス編みを7段。[●●●○●●○←]
③~⑥ ②と同じに。

(0)…①の別鎖をといて、5目拾っておく。
(1)…⑥の四角の左側の7段から表を見て4目拾う、ターン。[●●○●○●○←]
(2)…右針にある0段目の左端の2目と、左針にある1段目の1目めと目を入れ替えて、
    1段目の目が表から見て上に来るように裏目の3目一度、P3、ターン。
(3)…K3、右上2目一度、ターン。
(4)…P4、ターン。
(5)(6)…(3)(4)をあと1回くり返す。
(7)…K3、右上2目一度、ターンせず。
編みやすい裏技を使おう!
(0)、(3)~(7)は同じ。(1)、(2)のみが変わります。
(1)…⑥の四角の左側の7段から表を見て4目拾う。[●●○●○●○←]
    ターンしないまま、今拾った最後の目(4目め)の針にかかっている向きを変える。
    左針にある目(別鎖をといて拾った目)の右端2目を左上2目一度し、先程向きを変えた目をかぶせる。それからターン。
(2)…すべり目1(針にかかっている目の向こう側を下からすくう)、P3、ターン。

2列目 ≪時計回り/B色/①は5目8段、②~⑦は5目9段≫

2列目終了

(1)…1列目の⑦を編んだ針をそのまま使って1列目の①の7段から表を見て5目拾う、ターン。[◎●○●○●●←]
    ※この時、前列の糸を編みくるんでいきます。《注1》
(2)…P4、裏目の左上2目一度、ターン。
(3)…すべり目1、K4、ターン。
(4)~(7)…(2)(3)をあと2回くり返す。
(8)…P4、裏目の左上2目一度、ターンせず。
②~⑦
(1)…7段から5目裏を見て拾う、ターン。[●●○●○●◆←]
(2)…今拾った目の右側にいる1列目の目(=右の針の左端の目)と、B色が上になるように左上2目一度、K4、ターン。
(3)~(9)…①の(2)~(8)と同じに。

3列目 ≪時計と逆回り/A色/①は6目10段、②~⑦は6目11段≫

3列目終了

(1)…2列目の①の8段から裏を見て6目ひろう、ターン。[◎●○●●○●●←] 
(2)…K5、右上2目一度、ターン。
(3)…すべり目1、P5、ターン。
(4)~(9)…(2)(3)をあと3回くり返す。
(10)…K5、右上2目一度、ターンせず。
②~⑦
(1)…9段から6目表を見て拾う、ターン。[●●○●○●○●◆←]
(2)…すべり目1、P5、ターン。
(3)~(11)…①の(2)~(10)と同じに。

4列目 ≪時計回り/B色/①は7目12段、②~⑦は7目13段≫

4列目終了

(1)…3列目の①の10段から表を見て7目拾う、ターン。[◎●○●●○●○●●←] 
(2)…P6、裏目の左上2目一度、ターン。
(3)…すべり目1、K6、ターン。
(4)~(11)…(2)(3)をあと4回くり返す。
(12)…P6、裏目の左上2目一度、ターンせず。
②~⑦
(1)…11段から7目裏を見て拾う、ターン。[●●○●○●○●○●◆←]
(2)すべり目1、K6、ターン。
(3)~(13)…①の(2)~(12)と同じに。

5列目 ≪時計と逆回り/A色/①は8目14段、②~⑦は8目15段≫

5列目終了

(1)…4列目の①の12段から裏を見て8目拾う、ターン。[◎●○●○●●○●○●●←] 
(2)…K7、右上2目一度、ターン。
(3)…すべり目1、P7、ターン。
(4)~(13)…(2)(3)をあと5回くり返す。
(14)…K7、右上2目一度、ターンせず。
②~⑦
(1)…13段から8目表を見て拾う、ターン。[●●○●○●○●○●○●◆←]
(2)すべり目1、P7、ターン。
(3)~(15)…①の(2)~(14)と同じに。

6列目 ≪時計回り/B色/①は9目16段、②~⑦は9目17段≫

6列目終了

(1)…5列目の①の14段から表を見て9目拾う、ターン。[◎●○●○●●○●○●○●●←] 
(2)P8、裏目の左上2目一度、ターン。
(3)すべり目1、K8、ターン。
(4)~(15)…(2)(3)をあと6回くり返す。
(16)…P8、裏目の左上2目一度、ターンせず。
②~⑦
(1)…15段から9目裏を見て拾う、ターン。[●●○●○●○●○●○●○●◆←]
(2)すべり目1、K8、ターン。
(3)~(17)…①の(2)~(16)と同じに。

7列目 ≪時計と逆回り/A色/①は10目18段、②~⑦は10目19段≫

7列目終了
バスケット編み部分の最後、三角モチーフの列です。

(1)…6列目の①の16段から裏を見て10目拾う、ターン。[◎●○●○●○●●○●○●○●●←] 
(2)…K9、右上2目一度、ターン。
(3)…すべり目1、P8、ターン。(1目編まずに残る)
(4)…かけ目してすべり目1、K7、右上2目一度、ターン。
(5)…すべり目1、P7、ターン。(2目残る)
(6)…かけ目すべり目1、K6、右上2目一度、ターン。
(7)…すべり目1、P6、ターン。(3目残る)
(8)…かけ目すべり目1、K5、右上2目一度、ターン。
(9)…すべり目1、P5、ターン。(4目残る)
(10)…かけ目すべり目1、K4、右上2目一度、ターン。
(11)…すべり目1、P4、ターン。(5目残る)
(12)…かけ目すべり目1、K3、右上2目一度、ターン。
(13)…すべり目1、P3、ターン。(6目残る)
(14)…かけ目すべり目1、K2、右上2目一度、ターン。
(15)…すべり目1、P2、ターン。(7目残る)
(16)…かけ目すべり目1、K1、右上2目一度、ターン。
(17)…すべり目1、P1、ターン。(8目残る)
(18)…かけ目すべり目1、右上2目一度、ターンせず。
ここまでで、針には(かけ目を数えずに)10目残っているはずです。
②~⑦
(1)…①で残っている目はそのままにして同じ針で、17段から10目表を見て拾う、ターン。
    [●●○●○●○●○●○●○●○●◆←]
(2)すべり目1、P9、ターン。
(3)~(19)…①の(2)~(18)と同じに。
最終的に全部で70目針に残っているはずです。

ふち編み ≪時計回り/2色でK1P1リブ≫

完成!
三角モチーフ1個に付き2目増し目してからゴム編みを始めます。
(1)…7号針で、かけ目の目はそのつど入れ替えて段消ししながら、2色を交互に表編みで一周。
この時、各三角の最初では針にかかってないところ(三角編みの1段目(か2段目)の半目入りのところ)から1目拾い、 三角の真ん中あたりでは増し目のためのかけ目を一つ入れていきます(2段目でかけ目はねじって編む)。 一周すると84目になります。 《注2》 《注3》

*つまるところの編み方
『三角編みの1段目(か2段目)の半目入りのところから1目拾い、
[次の目と、その次にいるかけ目とを右上2目一度]を5回、
かけ目1、[ ]を3回、K2』
『 』を7回くり返すと一周し終わり、84目になります。

(2)~(6)…2色交互で1目ゴム編み。
(7)…B色で1目ゴム編み止め。   
糸始末して完成。
てっぺんの小さな穴が気になる方は、残り糸で裏から7目すくって引きしめてください。

《注1》
カウチン編みでするようにして、B色で拾い目しながらA色の糸を裏で編みくるんで行っておくと、 次にまたA色で編む時、編み始める位置でA色糸が待機していてくれてとても具合がいいです。もしこの作業をしなければ、 A色の編み終わりのところから次にA色で編み始めるところまで、四角の1辺分だけ裏で糸が渡ることになります。 あるいは、もし糸を切らないで編むことにこだわりが全然無いなら、1列終わる毎に糸を切って新しく糸を付けて…とやれば、それはそれは簡単です。

今回ご紹介の編み方では、各列1個目のモチーフだけが他より1段少なく編まれてますが、これは、単色で輪編みのバスケット編みをする場合特に、 次の列へ移る時の糸の運びにムダがなく合理的な編み方です。
《注2》
2目増し目してのゴム編みはジャストフィットです。いくらかゆるめのふちの方がお好きな場合は、 三角7個のうち4個くらいでは3目増し目すると良いでしょう。
《注3》
編み残す引き返し編みをする代わりに、2目一度で伏せ目して行ってもかまいせん。その場合は、一周伏せ目終了後、 7号針で84目を拾ってゴム編みをすることになります。サンプル2&3についても同様のやり方ができます。

【サンプル2】…並太でゆったりめタイプ

バスケット編みの要領は基本パターンと同じ
違うところ:バスケット編みは6列、ミニロール付きのふち編み(使用糸が細めの並太だったので7号針使用)

本体部分

1列目①~⑥
7目11段
6目11段
2列目①
7目12段
②~⑦
7目13段
3列目①
8目14段
②~⑦
8目15段
4列目①
9目16段
②~⑦
9目17段
5列目①
10目18段
②~⑦
10目19段
6列目①
11目20段 三角モチーフの列 ≪時計回り!≫
②~⑦
11目21段

ふち編み ≪時計と逆回り/2色でK2P1リブ≫

三角モチーフ1個に付き3目増し目してからゴム編み。
(1)…6号針、B色で一周表編み。
ポイント1:
かけ目1してスタートする。
2:
(目を入れ替える必要のない楽な)段消しをしながら、 前列の三角の11目を3等分するあたりに2ヶ所かけ目を入れ、14目めは三角の1段目(か2段目)半目入りで1目拾っていく。 K2P1リブにするための目数調節で、7個の三角のうちスタートから4番目あたりとラスト7番目の三角でのかけ目は1ヶ所のみにしておく。
3:
この段の最初にしたかけ目は、最後の三角から14目めを拾う時2目一度して解消する。
1周すると96目になる。
(2)…B色2目A色1目を交互に(かけ目はねじりながら)一周表編み。
(3)~(8)…2色交互にK2P1リブ。
(9)…7号針、B色のみでK2P1リブ。
(10)(11)…B色で表編み。
(12)…つれない様に伏目。
糸始末して完成。

【サンプル3】…極太でゆったりめタイプ

基本パターンをそのまま、極太10号針で編んだだけ。
違うところ:ふち編みのみ

ふち編み

A色糸使用
(1)…8号針で、目を入れ替えながらの段消しをしながら、
    また三角モチーフ1個に付き2目増し目しながら表編みで一周。84目になる。
(2)(3)…8号針で表編み。
(4)~(6)…9号針で表編み。
(7)~(9)…10号針で表編み。
(10)…つれないように伏目。
糸始末して完成。
表編み10段で約3.5cm、ロールして巾約1.5cmです。

お役立ち

編み途中の様子

編み途中
右画像のようにすると、輪針だけで編むより編みやすいです。
  • 今編んでるところが棒針上にあります。
  • 左棒針にかかっている目は前列の四角の目で、2目一度でくっつけられていく目です。
  • 右棒針の左側が今編んでる四角の目で、右側のはついさっき編み終わった四角です。
  • *今の四角が4段位編めたところで、編み終わっている方は輪針右に移します。
  • ひとつ四角が編み終わり(くっつけ終わり)左棒針がからになったら、輪針左から四角1つ分の目を新たに棒針に取ります。
  • 右棒針でそのまま次の四角の拾い目を行い、…(* からくり返す)…
輪針だけで編むのよりひと手間かかりますが、ワイヤーにかかっている編み地の重さにひっぱられることがなく、手元がとても編みやすいです。

作者

Copyright © 2006 とらのママ

更新記録
2006/03/20 初版、03/25 1列目に編みやすい裏技を追加、04/01 説明を追加
「てっぺんから編むバスケット編み帽」の編み方に関する文章・画像はとらのママさんの著作物です。
作者およびパターン三昧編集部は内容の正確性は保証しません。間違いを見つけたらご連絡ください。