シャーロック・ホームズの愛弟子

『疑惑のマハーラージャ』 ローリー・キング

The Game (2004) 山田 久美子 訳(集英社文庫)

シリーズ第7作。
前作から数週間後の1924年、ある重要人物と連絡が取れなくなったと兄のマイクロフトから告げられたシャーロック・ホームズと妻のメアリは、何が起こっているのか探るべくインドへ向かいます。

この消息不明の人物とはキプリングの小説『キム少年』の主人公で、ホームズは若い頃のキムとチベットで親交があったという設定です。
ホームズとメアリがインドで出会う人々も今までになくユニークで、イギリスの支配力が弱まって何事か企んでいるようなマハラジャも得体が知れずなかなか面白かったです。

キプリングの『キム少年』がスパイ小説であることも、評価が非常に高いことも知らなかったので今度読んでみようと思います。

愛弟子シリーズはこの後もう数作出版されています。
どんどん翻訳してくれないかな・・・。

幽霊塔の原作

『灰色の女』 A・M・ウィリアムスン

A Woman in Grey (1898) 中島賢二 訳(論創海外ミステリ)

ようやく黒岩涙香版『幽霊塔』の原作である本書を読み終えました。

涙香版は人名や場所の名前が変えられていたので、ほかにも大きな変更が加えられているのだろうと思っていたら、省略と誇張はあるものの全体としては原作にかなり忠実でした。

涙香版の登場人物のキャラは全体的に濃く、主人公はより尊大に、ヒロインはより崇高に、サスペンス部分は強調され、悪く言えばくどいので読み終えた際にはその大仰さに辟易していましたが、『灰色の女』を読んでみると原作はあっさりしてて物足りなく思えたりもします。
涙香版が当時の文体なので、現代の翻訳の原作と比べて古く感じるという面もあります。

涙香版の養蟲園は原作より不気味だし、パリの医者の部屋の印象も強烈です。
そういえばこの辺りは乱歩がとても好きそうなのに、乱歩版ではさほど怪しさは感じませんでした。何故でしょうね? この話のロマンス面を重視したのでしょうか。

原作、涙香版、乱歩版、それぞれに良さがあるというありがちな結論になってしまいますが、原作が発表されて間もないうちに『幽霊塔』のような翻案に仕上げた黒岩涙香を素直に賞賛したいと思います。


少し期待した編み物は登場しませんでした。
1920年にアメリカで映画化されているので、これもチェックしてみるつもり。

反戦

花粉症の薬が効きすぎて、机の前に座っても眠るまいとすることに全エネルギーを取られて他のことが何もできない状態が続いています。

眠気と闘って何もできないのと、症状と闘って何もできないのと二者択一しかないのでしょうか。いや、薬を減らして眠気が出ない程度で症状を抑えて、どちらとも戦わずになあなあで行けばいいんじゃない? これだ!

・・・結果、眠いし症状も出ています。
敵を増やしてどうするのだ!

さらに驚くべきことが。
最近、衝動的に何か食べたくなったりしておかしいなーと思って調べてみたら、同じ薬を飲んでいる人が食欲亢進を訴えているのです。もう、減らすんじゃなくてこの薬はやめようと思います。ずっと飲んでいた薬なんだけど、合わなくなったってことなのかな。




去年の夏頃、某所に貼ってあったビラ。
たまにしか通らない所だけど何気に確認してて、しばらくして無くなっていたのですが・・・

先日見たら別のビラがあって、近くにハンセンも復活してました。

キャパさん・・・あれ?洒落じゃないの?

※当方はこれらのビラとは関係ありません。

寺猫

以前猫を見かけたのとは別のお寺、満福寺(鎌倉)で。
かなり騒がしいのに本気で寝込んでます。

ちょっかいを出されモゾモゾしたものの・・・

寝直し。

やっぱりちょっとやそっとじゃ起きないみたい。
ここのお寺のペット守りを付けていたので寺猫なのかな?

猫に油揚げ

とあるお稲荷さん。
裏に誰かいます・・・。

こちらを気にしつつも立ち去らない。

ようやく腰を上げたけど何か不満そう。

私もお稲荷さんを後にして別のところへ行って、帰りにふと見てみると
猫が何かを口にくわえて歩いてゆく後姿が。

あっ!! そういうことか!
さぞや急ぎ働きして蹴散らかしていることと思いきや

最初から奥の2つしかなかったかのよう。
徳用5枚入り×2袋が消えた。

乱さず、汚さず、根こそぎは盗らず・・・?
いや、あとで全部持ってくつもりでしょう。

また映像の原作本

『モル・フランダーズ』 ダニエル・デフォー

Moll Flanders (1722) 伊澤龍雄 訳(岩波文庫)

映画版『モル・フランダース』(1996)に編み物が少し登場したのをきっかけに興味はあったものの、この映画化がピンと来なかったので掘り下げは後回しにしていました。
でも他の映像化があるらしい・・・と見てみたドラマ版『モール・フランダース 偽りと欲望の航海』(1996)が面白かったので、原作を読まねば!となった次第です。

■あらすじ
上巻表紙より
女主人公モル・フランダーズの60年は、牢獄で生まれ、情婦12年、人妻5回(うち1回は実の弟)、流刑8年という波瀾にみちたものだった。その彼女も最後は裕福になり、遺産贈与の証書を息子に渡す。そして、牢獄で再会した昔の夫とともにイギリスに戻り、過去の邪悪な生活を悔いつつ余生を送る日々であった。
波瀾万丈すぎるのでは・・・。

■雑感
残念ながら編み物は登場しません。
原作はドラマ版に近いですが、主人公がやむにやまれず悪事を働くこと、運命のいたずらによって窮地に追い込まれてしまうことなどがより強調されています。かなり言い訳臭い感じもしますが、仕方ないのでしょう。当時の社会で女性が一人で身を立てる大変さは伝わってきます。

ちなみにドラマ版で描かれていたのは前半生まででした。

デフォーというと子供の頃の愛読書だったロビンソン・クルーソーの作者のイメージしかなかったけど、本人も波瀾万丈な人生を送ったようです。他の作品も読んでみるつもり。

上記2つの映像化以外の映画化作品に編み物が登場していました。後日紹介します。

もっとうまく騙して

『追悼者』 折原 一


「昼はOL、夜は・・・」という実在の事件をネタにしているけどあまり関係ないです。
私は推理小説を何も推理しないで読んでしまうこともあるのですが、本作も途中までは推理していたものの、だんだんどうでもよくなっているうち読み終えてしまいました。
終盤まで興味を繋げてくれるものがいまひとつ足りない感じです。

著者の初期の作品はほとんど読んでいましたが、ここしばらくはたまに読んでみてもハズレが多く、本作もあまり期待していませんでした。
その割にはまあまあかな。また何か読んでもいいかな、と思います。

馬映画の原作

『黒馬物語』 アンナ・シュウエル

Black Beauty (1877) 山田昌司 訳(岩波文庫)

映画化を見て興味を持ち、原作を読んでみました。
たしかに評判通り『ブラック・ビューティー/黒馬物語』(1994)が原作に近かったです。
主人公は黒馬で、全編が彼の視点で語られてゆきます。

馬による人間観察というと『ガリヴァー旅行記』(スウィフト著)のフウイヌムを思い浮かべますが、そちらが辛辣な人間批判なのに対し、本作の主人公はひたすら優しく、不平はあまり言わずに現状での馬の仕事を通して切々と綴ります。
押しつけがましくないのが余計に胸に響く感じです。
人間が馬を理解していないのとは対照的に、馬が人間の会話を聞いていろいろ思いをめぐらせるのも面白いところ。

編み物のことは会話の中に一言出てきただけで、原作と違っている映画『黒馬物語』(1971)にちらっと登場したような場面はありませんでした。

現在、普通の文庫版が古いものしか入手できなくて困りました。
いくつか出ている絵本版は図書館で見てみよう・・・。

最大のへこみ

これまで何度もへこんだことはありますが、普通はへこんだところから少し持ち直すので、強力粉主体のパンでこんなに陥没しっぱなしという例はありませんでした。
緑っぽい色は青のり、桜えびも入ってます。

HBはGOPANの初代モデルです。パンケースを買い替えても米パンがちゃんと出来なくなってきたので、今は普通のパンだけ焼いています。米パンを作っていたときの米粉やグルテンをさっさと消費しようと変なレシピになっている傾向はあるけど・・・。

4つ割りにしてスライスしたところ。

普通のパンのレシピで、強力粉の一部(少量)を米粉とグルテンに置き換え。
今までほとんど同じ配合でうまくいっていたのに、最近なぜか調子悪いんですよね・・・でも強力粉だけだと問題ないから機械のせいじゃないはず。
涼しかったから温度が高すぎってことはないし、入れ忘れとか入れすぎもないつもり・・・。

水が気持ち多めで生地が緩かったせいかな?
外はカリカリ、中はボソボソ。
こんなに凹むなんて、よっぽど辛かったんすかねー。

夏休みその2

休みを消化せねばということで近県で神社仏閣をたくさん巡りました。
猫がいたお寺だけご紹介。

浄妙寺(鎌倉)のモモタロウ
近づいても動かず
いじっても目を開けず
寝込んでいました。
受付にもトラ猫が。このお寺には他にもいるらしいです。

円覚寺(鎌倉)のかなちゃん
近づいても動かず
近づきすぎても・・・!
こちらもかなちゃんの他にもいるとのこと。

お寺の猫は熟睡していたという印象です。