夏樹静子サスペンス「逃亡者」【発見】

『夏樹静子サスペンス 逃亡者』(1986) 関西テレビ
監督:大槻義一
出演:佳那晃子、小坂一也、夏八木勲、塩屋俊

■あらすじ
静岡の笹間村に住む秋子の前に芝崎が姿を現した。
3年前から交際していた2人だが、東京に住む芝崎とはたまにしか会えない。それが突然来た理由は、人を殺してしまい、逃げているうちにどうしても一目会いたくなったからだという。
芝崎は自首するくらいなら死んだほうがマシだと言うが、翌朝、東京へ帰って自首すると別れた。

芝崎と幼なじみの刑事が、一緒に学童疎開していたことがある笹間村に向かうはずだと見当をつけた。刑事は大井川鉄道の客車の中で見かけた秋子に、疎開中に芝崎とともにあこがれた女学生の面影を見る。秋子の両親は亡くなっていたが、母はその女学生だったのである。

自首できない芝崎から再び会いたいと秋子に電話があり・・・。

■雑感
女性に会いに来るであろう容疑者を2人の刑事が見張るという状況は松本清張の『張込み』を彷彿としますが、緊迫感もヒロインの心の動きも抑え気味で淡々としています。

夏樹静子が冒頭に登場して自身の作風を語っていました。
一番大切にしていることは日常性ということ。
登場人物はどこにでもいる人たちで、そういう人たちがみんなが経験しているような暮らしをしている。その一見なんでもない流れの中に実は人間性の本質を覗き見させるようなこととか、社会の矛盾を暗示することとか、そんなものが潜んでいる。
また、自分を平凡な人間だと謙遜して
だからこそ大勢の方々に共感していただける物語が書けるんじゃないかなと信じて仕事しております。
夏樹静子は読んだことがないけど、原作は短編なのでチェックしてみます。

再放送用オープニング曲として河合奈保子の『夢の跡から』が使われていました。作曲をしているし、歌も上手かったんですね~。

以前はドラマのオープニングに登場する作家が結構いたように思います。監督がメガホンをとる様子や脚本家、スタッフが登場したり(『土曜ワイド劇場』だけ?)、今でもそういうのあるんでしょうか?

■編みどころ
秋子が電話を待つ間、編み物を手に取ります。着ているカーディガンも手編みらしく、オレンジ色のゴム編みかイギリスゴム編みでカシュクール風です。

茶色の細い毛糸で玉付きの竹針、フランス式の編み方で身頃くらいの幅がありそうなものを編んでいます。場合が場合ですので集中できません・・・。