映画の原作1冊

『ダーク・シャドウ 血の唇』 マリリン・ロス

Dark Shadows (1972) 尾之上浩司 訳

映画『ダーク・シャドウ』(2012)の原作であるソープオペラの映画化『血の唇』(1970)のノベライズ。

登場人物は大体同じだけど、大違いなのが2012年版で登場する魔女がいないことです。
本ではバーナバスは吸血鬼として現れ、そうなった経緯には触れられていません。
魔女の呪いで吸血鬼にされたという話がないので、シンプルな吸血鬼話です。
(2012年版ではバーナバスも被害者であるということが重要でした)

どちらにも共通していて面白いのは女医の存在ですが、この性格と扱いにも違いがあります。
また、2012年版にあるコメディ要素は感じられず、編み物倉庫も登場しません。(これは当然か)

元ネタのソープオペラを知らないで、1970年版をどの程度評価できるかわかりませんが、ゴシック・ホラーは好きなので『血の唇』も観てみようと思います。

モーム短篇選(下) 【発見】

サマセット・モーム著
行方昭夫 訳 (岩波文庫)

上巻は植民地での話などエキゾチックなものが多かったのに比べ、下巻は時代も下り、ほとんど現代の感覚です。上巻より短い物語が多いのも違うところです。
人間が見かけどおりではないことや、それに気づく人と気づかない人の話が多く、上巻とはまた異なる面白さがありました。

「冬の船旅」に編み物が登場していました!
おしゃべりで他の乗客から疎んじられている女性が、あるとき黙々と編み物をします・・・。

モーム短篇選(上) 【発見】

サマセット・モーム著
行方昭夫 訳 (岩波文庫)

「手紙」と「十二人目の妻」に編み物が登場していました!

「レース編みをしていた」というだけの些細な記述でも、そこに編み物があると思うと情景の見え方が変わってきます。
モームの有名なものはいくつか読んだはずだけど、何も憶えていません。
この短編集は人物描写や植民地の空気などが、わずかな文章で手に取るように感じられて面白く、下巻も読んでみようと思います。

以前の記事で「手紙」の映画化は1929年版と1940年版『月光の女』で内容が違うと書きましたが、驚いたことに小説は、そのどちらとも違っていました。
もちろん大筋は同じだけど、結末が小説、1929年の映画(戯曲と同じ?)、『月光の女』で異なるのです。それぞれ良さがあると思いますが、かなり印象が違います。

1929年版は戯曲の流れがあるから、終盤の夫との口論など舞台劇を思わせる激しさなのはわかるとしても、小説にある「育ちの良い女性の豹変」が感じられませんでした。

映画としては『月光の女』のほうが、冷たそうな女性が実は愛に生きていたというメロドラマ的な脚色もありだと思えるし、編み物の登場が多いだけでなく、それを心の動きに絡めているのも気に入っています。

アウトランダー2冊

「燃ゆる十字架のもとに(1)(2)」 ダイアナ・ガバルドン

The Fiery Cross (2001) 加藤洋子 訳

『アウトランダー』シリーズの13、14冊目です。
舞台がアメリカに移ってからは物語への興味が薄れていましたが、新しい登場人物にも慣れてきたのと、過去にまつわる話が出てきたのでやや盛り返しました。
(3)(4)でどんな展開になるのか楽しみです。

柳生もの原点?読了

『柳生武芸帳〈下〉』 五味康祐

だいぶ時間がかかりました。
長編でありますが、肝心の武芸帳の謎は解かれておらず、周辺の話が拡散するまま未完です。
1958年に中断した後、1980年に亡くなるまで他にいくつも作品を書いているのに、何故これが未完なのかわかりません。 書きたいことは武芸帳そのものではないところにあり、それはもう書いてしまったのかも?

時代小説が続いたので、次はアウトランダーシリーズを・・・あっ、これも時代小説か!

読書が進まない

3月の読了。
『横森式ベリーダンス健康法 - 心地いいカラダとココロをつくる』 横森理香

鼻炎薬を飲んでいるとボーッとして電車の中での読書が難しくなります。
編み物をすると寝る前に読む青空文庫が停滞します。
いま読んでいるのは黒岩涙香の『幽霊塔』で、これが長いんです・・・。改行が少なかったりして読みづらいし、主人公の尊大な語り口調も気に食わない。

いろいろ問題が多くて大騒ぎになった kobo ですが、私は寝る前に青空文庫を読むためにしか使わないのでこれで間に合っています。

以前使っていたシャープのザウルス(SL-B500)との比較。
これはバックライトではなくフロントライトなので、電気を消して読んでも目に優しい、片手で持てるサイズ・・・とお手軽で気に入っていましたが、情報量の違いは歴然。