素晴らしき結婚生活 【発見】

スティーヴン・キング著
A Good Marriage (2010) 風間賢二 訳(文春文庫)

■あらすじ
結婚して25年、子供たちも独立し仲睦まじく暮らしていたアンダーソン夫妻。
夫が留守のときガレージに用事があり、下の方を覗き込んだら女性のIDカードが何枚も隠されていた。それは夫が世間を騒がせている連続猟奇殺人犯であることを意味していた・・・。

■雑感
『スティーヴン・キング ファミリー・シークレット』のタイトルで映画化されていて、特に注目するところもなくボヤっと見てしまっていました。その後、映画『スティーヴン・キング ビッグ・ドライバー』に編み物を発見したので原作を読んでみようと文庫本を購入したら、本作も収録されていて思わぬ収穫です(予備知識なかったので『ビッグ・ドライバー』の話の展開が速く本の半分で終わってしまい焦ったという・・・)。元々4作品でひとつの本だったのを、日本版では2冊の文庫本に分けたみたいです。もう1冊の『1922』も入手したので近く読んでみます。

■編みどころ
妻がガレージで問題のブツを見つけたきっかけが段ボール箱につまずいたことなのですが、その上に載っていたのが編み物カタログでした。その後、彼女が「社会人のための編み物サークルを再開した」ともあります。
映画版を見直しましたが、やっぱり編み物は登場していませんでした。ダメな映画化!

スティーヴン・キング ビッグ・ドライバー 【発見】

Big Driver (2014) アメリカ
監督:ミカエル・サロモン
出演:マリア・ベロ、オリンピア・デュカキス、ジョーン・ジェット、アン・ダウド、ウィル・ハリス

■あらすじ
テス・ソーンは4人のおばあちゃん探偵の「編み物クラブ」シリーズで人気を得ているミステリ作家。講演会の依頼に車で向かったテスは悪路で苦労するが、図書館でファンとの交流と講演を済ませて帰途につく際には、主催者のラモーナが教えてくれた近道に入った。ところがガソリンスタンドの廃墟の前で、道路に放置されていた板切れの釘でタイヤがパンクしてしまう。
通りがかったトラックの運転手がタイヤの交換を引き受けてくれたが・・・。

■雑感/編みどころ
復讐を描いたテレビ映画です。
主人公は講演会で「昔から頭の中の他人たちと話をしていた」というように、編み物クラブのメンバーやカーナビ、死者などと頭の中で会話します。映画を見てから原作を読んでみたところ、それらのシーンは小説では架空の声との自問自答みたいな感じですが、映像ではおばあちゃん探偵が編み物をしながら登場したりします(幻覚を見ているわけではないので小説では編みシーンになっていません)。良い映画化♪ 実際編み物を持って登場するのはプロローグとエピローグの部分です。
ラモーナの家にかぎ針編みのブランケットもありました。

『スティーブン・キング ビッグ・ドライバー』予告編


これって予告編じゃなくて冒頭部分なのですが、ほとんどネタバレなアルバトロスの予告編だと編み物が出てこないのでこちらのほうが好都合です。

映画のテーマ曲は Dear Love – Rachel Ann Weiss で、レイチェル・アン・ウェイスはキャスリーン・ターナーの娘なんです。チャーミングで声も歌もいい・・・ただ母より早い段階で貫禄が出てきていることが気がかりであります。大きなお世話?

ホラー日和?

『もっと厭な物語』 文藝春秋・編(文春文庫)

夏目漱石、クライヴ・バーカー他

『厭な物語』に比べホラー色の濃いアンソロジーでしたが・・・ホラーとしては物足りないし、「厭」というのと違うと思うものが多く、ほとんど読んでいるクライヴ・バーカーの作品がメインだったのも残念です。
(クライヴ・バーカーは『アバラット』だけページを開けません。作風が違いそう、映画化が頓挫したから、単行本だから・・・などなどで積んだまま)

印象が強かったのは草野唯雄です。えぐい話で厭さも満足しました。幅広いジャンルで多作な人のようですが、短編に奇想天外なエログロものが多いとか。何も読んだことがないのでとても興味をひかれまして、短編集を中心に何冊か入手しました。


『乱歩の選んだベスト・ホラー』 森英俊/野村宏平 編(ちくま文庫)


乱歩のエッセイ「怪談入門」がいいですね。乱歩が探偵小説に興味を持ってからは、ある時期まで怪談をほとんど読んだことがなかったというのが意外です。巻末の主要作品紹介を見ると入手困難なものが多そうだけど探して読みたくなります。

「猿の手」は先に読んでいた『怪奇小説精華』に収録されていたのと同じ訳でした。
ジョージ・マクドナルドの「魔法の鏡」を読みながら、この情景は見たことがある!と思って探してみたもののそれらしき映像化作品は見当たらず・・・よくよく思い返してみると以前読んだ『世界怪談名作集〈下〉』(岡本綺堂 翻訳)に収録されていた「鏡中の美女」が脳内映像化されていたみたいです。
エーヴェルスの「蜘蛛」は最近ほかのアンソロジーで読んでいたりと結果的には知っているものが多かったけど、『白衣の女』の著者ウィルキー・コリンズの「ザント夫人と幽霊」があったり、横溝正史訳の「専売特許大統領」なんて珍しいものも読めて満足しました。


『プレデターズ』 (扶桑社ミステリー)

F・P・ウィルスンほか 著、エド・ゴーマンほか 編、大久保寛・白石朗ほか 訳

だいぶ前に同じ編者のアンソロジー『罠』を読んで、これも読もうと思いつつ忘れていました。映画の『プレデター』とは直接関係ありません。
クーンツの「ハードシェル」を読んでいた以外は未読・・・というより知らない著者が多く、内容も『罠』よりだいぶ緊張感の無い感じでしたが、エドワード・ウェレンの『心切り裂かれて』が印象に残りました。

遺伝的な痴呆症の主人公が、病気の発症前にプログラミングしておいた人工知能の自分の指示で行動するという話です。事件に巻き込まれ、自分では何の自覚もなく人工知能に報告して指示を仰ぎますが、病気が進行してきて従う意味も分からなくなって逆らってみたりします。起きている事件は古臭いし、ラストはありがちかな~と思うけど好みなんですね。

ハイスミスで 【発見】

いつもお世話になっております・・・。

「完全主義者」

『女嫌いのための小品集』 (河出文庫) 宮脇 孝雄 訳 に収録

何か失敗があってはいけないと、完璧なキッチンを持ちながら自宅で料理ができない女性の話。

ある事件があってから編み物に目覚め、屋敷にある八つのベッドすべてにベッドカバーを編もうという遠大な計画を実行に移します。
朝の六時から深夜二時まで、ほとんど食事もとらずに、マーゴットは編み物を続けた。
ひえ~!編み物も目の乱れなんて許さないのでしょうね。


『生者たちのゲーム』 (扶桑社ミステリー) 松本 剛史 訳


テオとラモンが愛している女性、リーリアが惨殺された。ラモンが罪を認めるが・・・。

ちょっと印象が薄い作品です。。。

主人公が宿泊しているペンシオンのおばあさんが、かぎ針編みをしていました。


『殺意の迷宮』 (創元推理文庫) 榊 優子 訳


妻とともにギリシャ旅行に出かけたチェスターは、アメリカで行っていた詐欺の件で地元の刑事の訪問を受ける。これが思わぬ事態となるが、同じくアメリカ人旅行者の青年ライダルが手を貸してくれて・・・。

映画『ギリシャに消えた嘘』(2014)の原作です。
知らずに映画をボヤっと見てしまっていました。途中、なんじゃこりゃ?と変な感じがしましたが、ハイスミス作だったとは。原作とは違うところもありましたね・・・また見直してみます。

ラジオから殺人事件のニュースが流れてきます。
「あら、何のニュースなの?」てきぱきと手を動かしてベージュ色の糸で何か編んでいたフランス人の女が問いかけた。
短い文章のわりに情報量が多い!

追いつかない読書メモ

先週は雑用が多くて更新できませんでした。
だいぶ前に読んだ本の記憶がなくなりそうです。

『宮本武蔵』 吉川英治文庫(講談社)


映画は主演が三船敏郎、中村錦之助(萬屋錦之介)、高橋英樹と観ましたが、三船版が標準で、錦之介版は余計な話が多い、高橋英樹版はやや奇を衒いすぎかなどと思っていました。ところが原作を読むと印象が全然違ってびっくり!

錦之介版は余計な話どころか、それが原作に忠実だったことがわかりました(忠実なのがいいとも限りませんが)。内田吐夢が変なものを撮るはずがなかったのですね。
高橋英樹版は、読む前はちょっと変わってるけどありかも?という感想でしたが、読後はおばばとお通さんの結末が作者の意図と違いすぎて・・・面白い部分も無いことはないんですけど。
三船版は原作を読んでいない人でも楽しめる、錦之介版は読んでいないと面白くない、高橋英樹版は原作と比べて驚いてほしい、という感じです。

NHK大河ドラマの『武蔵 MUSASHI』は、いろいろ問題があったらしく再放送もDVD化もされていません。当時は興味なかったけど見られないとなると見たくなります。

パトリシア・ハイスミス短編 【発見】

短編集の中に編み物が登場していました。

「うちにいる老人たち」

『黒い天使の目の前で』 (扶桑社ミステリー)米山 菖子 訳 に収録

ホームから老夫婦を家に引き取って世話をするボランティアがあり、これを良い考えだと思ったロイスとハーバートの夫妻が直面した現実とは・・・。

マミーとアルバートというフォースター夫妻を引き取りますが、彼らの悪意に満ちた(としか思えない)所業に振り回されます。現実にありそうな感じです。
マミーは編み物が好きで、編んだドイリーや何かをロイスにプレゼントします。


「狂気の詰め物」

『ゴルフコースの人魚たち』 (扶桑社ミステリー)森田 義信 訳 に収録

死んだペットたちを剥製にして庭に置いている妻。新聞社が取材に来ると聞いて夫は大慌て。こんなことが世間に知られるなんてとんでもない・・・。

夫は妻の趣味を快く思っていなかったのに表沙汰にならないうちは黙認していたわけで、妻を理解しようとしてなかったの?世間体がそんなに大事?と、これも中身が違えば現実にありそうです。
日々仕事に出ているわけでもない彼女にとっては、女性教室で教えるほどの腕前だった編み物をのぞけば、剥製がほとんど唯一の関心事だった。
編み物に専念すればこんな事態にはならなかった?

恋のつぼみがほころぶとき 【発見】

デビー・マッコーマー著
The Shop on Blossom Street (2004) 岡本香 訳(MIRA文庫)

■あらすじ/雑感/編みどころ
購入してみるまでハーレクイン社の本だとは気が付きませんでした。よくわかりませんがいわゆるハーレクイン・ロマンスとは違う系統のシリーズなんでしょうか?

毛糸店を開いたリディアと、編み物教室に応募してきた年齢も境遇も様々な3人の女性の物語です。あらすじは私が書くよりも出版社のページのほうがわかりやすいです。立ち読みもできます!

毛糸屋さんが舞台の小説といえば、映画化されるかもと話題になったケイト・ジェイコブスの『金曜日の編み物クラブ』がありますが、正直言って私は物語も編み物についてもそれほど良いと思いませんでした(もうあまり憶えていませんが・・・)。

こちらは『金曜日・・』とは比較にならない手練れの作といった感じです。
登場人物の誰かには共感できるだろうし、嫌な気分になることもありません(私が言うのもアレですけど)。物足りない向きもありますが、さらりと読めて得るところもあります。まあ、何より編み物のことがしっかり描かれているのが嬉しいんですけどね~。

この The Blossom Street Series は11作まで出ているようですが、翻訳されているのは3作です。すぐに読めるので2作目の途中まで来ましたが、1作目と同じくリディアと編み物教室(今回は靴下のクラス!)の3人の生徒の話を軸に、前回の登場人物たちの近況が織り交ぜられもう連ドラ状態。全部翻訳してくれないと欲求不満になりそう。

ブラックな話も大好きですが、こういうハッピーエンドものも良いですね。
表紙を見てしばらく悩みましたが、思い切って読んでみてよかったです(大袈裟だけど『アウトランダー』シリーズもロマンス小説なのかどうだろうかと読み始めるのに躊躇しました)。

忘れてた読書メモ

去年の終わり頃からあまり書いていなかったのでまとめて簡単に・・・。

『厭な物語』 (文春文庫)

クリスティー、ハイスミス他

11篇の後味の悪い物語が収録されています。
嫌さはそれほどでもないけど、もちろん自分の身に起こらなければの話で・・・。
日本の作家が含まれている『もっと厭な物語』も読んでみようと思います。


『プードルの身代金』『孤独の街角』『スモールgの夜』 (扶桑社ミステリー)

パトリシア・ハイスミス

3作とも長編です。どれも都会が舞台で、相容れない人間同士に起こる事件が描かれています。

『プードルの身代金』では山の手に住む余裕のある夫婦vs彼らに憧れる警官vs卑屈な誘拐犯、『孤独の街角』では自由に生きる娘と彼女の守護者たちvs偏見に凝り固まった男、『スモールgの夜』ではゲイの男性と見習い裁縫師の女性vs裁縫師の元締めであるゲイ嫌いの女と彼女に操られる男・・・と登場人物のタイプは様々ですが、違う種類の人間に対する憎悪や悪意、無理解がおそろしいです。
その一方、報われない愛もあります・・・。
いつもながらどんどんこじれてゆく人間関係がたまりません。


『動物好きに捧げる殺人読本』 (創元推理文庫)

パトリシア・ハイスミス

歩いているとき道路脇の溝の中にある排水パイプに目が留まり、パイプの中にネズミが入ってゆくシーンが思い浮かんで、何の映画だったっけ?としばらく考えてしまったのは、この短編集の一篇でした。
人によるかもしれませんが、私にはハイスミスの作品は脳内映像化されやすいような気がします。克明な情景描写ではないのに・・・というより、あいまいな部分があるせいで、よりイメージを補完しようという力が働くのかも?
動物好きに、と言っても動物が酷い目に遭わないわけではないので油断禁物です。

細い赤い糸 【発見】

飛鳥高 著(双葉文庫)

近松丙吉シリーズのドラマ版に編み物が登場したので原作を読んでみました。

期待どおり編み物が出てきましたが、ドラマ版とは全然違いました。
ドラマでは少女の母親が編んだ赤いカーディガンが中軸で色々とエピソードもありました。ところが小説では母親の話はほとんどなく、赤い糸も編み物ではなく綿のコートのものでした。

小説で編み物をしていたのは会社勤めの女性です。
昼休みに人気のないオフィスの真ん中でレースの手袋を編んでいて、同僚と話しながらも編みます。どんな編み方かわかりませんが、かぎ針の可能性が高いでしょうか。

別の登場人物の女性が
赤いざくざくに編んだセーターを着て
というのもあります。

現代の既存のシリーズに脚色したドラマに比べると、原作はもっと重くてやるせないです。
編み物の出番はドラマ版の方が多かったですね。

怪奇小説精華 【発見】

東雅夫 編(ちくま文庫)

「猿の手」 W・W・ジェイコブズ

願い事を三つ叶えてくれるという猿の手(のミイラ)に軽い気持ちで願い事をしたばかりに・・・という物語。
居間の暖炉の前で、父と息子がチェスを指しています。
息子に勝てない父が少し熱くなったところ、母もつい口を出す場面。
炉ばたでおだやかに編み物をしていた白髪の老夫人まで・・・
猿の手が出てくる前の、一家の日常風景です。

その昔『オーソン・ウェルズ劇場』でドラマ化を見ましたが、編み物のことは記憶にありません。確認しようにもDVD化されていないのが残念です。本国では第11話ですが日本の放送順では第1話ということもあり、特に印象に残っている人が多いようです。

動画サイトで見てみると、『オーソン・ウェルズ劇場』以外の映像化がたくさん見つかります。ちょっと見でも編みシーンがあるものがいくつか! そのうちちゃんと調査してみなくては・・・。
原題:The Monkey’s Paw


「占拠された屋敷」 フリオ・コルタサル

広い屋敷に静かに暮らしているうち四十代にさしかかった兄妹。
イレーネは生れつきもの静かでおとなしかった。朝の仕事が終ると、寝室のソファに腰をおろし一日中編物をしていた。どうしてあんなに編物ばかりしていたのか、ぼくにはその理由が分からない。女性が編物をするのは、それさえしていればほかの事をしなくてもいい格好の口実になるからだと思うのだが、イレーネの場合はそうではなかった。
この調子でまだまだ編み物のことが書かれていて全部は引用しきれません。

農場からお金が入ってくるので特にすることもない兄妹だけど、妹のイレーネは編み物にしか興味がなく、とにかく編んでばかりいたようです。そんな彼らの住む屋敷が少しずつ何者かに占拠され徐々に居住スペースが狭くなってゆき・・・という物語。

この兄妹が受け身体質で「掃除が楽になって編む時間が増えた」とか面白いです。
編み物発見!効果もあるけど、このアンソロジーの中で一番気に入りました。


この本には「ヴィイ」も収録されていましたが、『ロシア怪談集』と同じ訳者のもので、訳違いの読み比べとはなりませんでした。