夜愁 【発見】

サラ・ウォーターズ著
The Night Watch (2006) 中村有希 訳

■雑感
第二次世界大戦後のロンドン。傷ついた、いわくありげな5人の男女に何があったのか・・・舞台は3年前に、さらに3年前に遡ります。こういう手法だと、普通は書き出しより先に進んで物語が終わるのが一般的な気がしますが、この小説はそうではありません。

過去の出来事が描かれ、そういう経緯があってこんな状況だったんだなとはわかりますが、行き止まりに来てから歩いてきた道を見ているようで、これから彼らがどんな選択をするのか、未来がどうなるのかはますますわからなくなり、絶望的でもあるし希望があるようでもあります。

著者の以前の2作品がヴィクトリア朝時代を舞台にしたミステリだったせいか、異なる設定の、いわゆるミステリでない本作の評価は分かれています。
何か大事件が起きるのかと思えばそうではなく、いったいこれは何なのだという感想もわからなくはないですが・・・登場人物たちのその後が読者に委ねられているような、終わった感のない読後が非常に微妙だけど気に入りました。
編み物発見!効果でしょうか? いやいやそんなことは・・・。

■編みどころ
登場人物のひとりヘレンが編み物をします!
・・・戦時中に、兵士のために靴下や襟巻きを編む習慣がついた。いまは毎月、くすんだ色のごわごわの作品を詰め合わせて、赤十字に送っている。現在、編んでいるのは子供用の目出し帽だった。・・・
ほどいて再利用した毛糸を使っているとあります。
また、心配事があり編み物を手に取るものの、ますます苛立ちがつのる場面もあり。

登場人物のひとりヴィヴが乗った列車の乗客について
・・・別の女は編み物をしているのだが、編み針の尻が、両隣の乗客の太股をひっかき続けている。
スラックスを擦られている娘が文句を言って口論になります。

他にも会話の中に編み棒が出てきたり、なかなか豊作でした。


その後、著者の翻訳では最新の『エアーズ家の没落』を読んでみました。
過去3作に編み物が登場しているので、これにも必ずあると思っていましたが期待は裏切られました。でも編み物発見!効果がなくても面白かったです。

ゴシック小説風で、物語は第二次世界大戦後の、かつて隆盛を誇った家の落ちぶれる様を描いています。超自然現象や主人公の心をとらえる館の力を思わせつつ、明確なことは語られません。読み手によって解釈や印象がかなり違うところは『夜愁』と似ています。主人公が男性なのも初めてだし、ヴィクトリア朝やミステリの枠にはまらずこれまでと違った作風で楽しみました。

著者の作品に共通しているのは・・・『半身』と『荊の城』では信じていたものが失われる様があり、『夜愁』と『エアーズ家の没落』ではそれに加えて建築物という形あるものが壊れる様もあり・・・消えてゆくものの儚い瞬間がとらえられているように思います。
寡作な人ですが新作が出ています。翻訳されますように!

猫に油揚げ

とあるお稲荷さん。
裏に誰かいます・・・。

こちらを気にしつつも立ち去らない。

ようやく腰を上げたけど何か不満そう。

私もお稲荷さんを後にして別のところへ行って、帰りにふと見てみると
猫が何かを口にくわえて歩いてゆく後姿が。

あっ!! そういうことか!
さぞや急ぎ働きして蹴散らかしていることと思いきや

最初から奥の2つしかなかったかのよう。
徳用5枚入り×2袋が消えた。

乱さず、汚さず、根こそぎは盗らず・・・?
いや、あとで全部持ってくつもりでしょう。

ウェンディさんのカウル 【サンカ】

Sanquhar Cowl by Wendy D. Johnson


ウェンディさん作のサンカ模様カウルです。
3.25mmの針なので日本の4号針より少し細いくらいですね。
ボリュームはかなりあります。

とらのママさんに第一報を、まさんにラベリーに載ったのを教えてもらいました。
皆様の情報が頼りです。ありがとうございます!

メンズセーター中断

裾のゴム編みと編み込み模様を少し編んでみましたが、どうもいけません。やり直しです。大物の編み込みって何年ぶりだろうってくらい忘れてるけど、こんなに丸まるものだったかな?
丸まりを起こしながら編むのが大変・・・ちょっとひどいような気がします。

丸まりを別にしても身幅が足りません。新しい金属針で手加減がわからないのもイマイチ。針のサイズを上げて編み直すか、別の糸にするか・・・ひとまずこれは解くことにします。

焦って編もうとしている理由その1は、2枚をメインにしているメンズセーターのうちの貴重な1枚、ラグラン袖のアランセーターが伸びて着られなくなったこと。
ゲージを誤って詰め込みすぎたのが敗因でしょう。こんな目数が多いの見たことないって思いながら編んでたし。1シーズン後に洗ったら大いなるセーターになってしまい、2シーズンめは誤魔化してすませたもののこれ以上は見るに忍びなく・・・まだ新しいのにこれは痛手でした。

理由その2は、10年以上着倒してきたもう1枚のセーターの肘に穴が開いたこと。

肘当てをしようと思ったのだけど、全体に古ぼけているのでそろそろ暇を出して、今回編み始めたものを後継にするつもりだったのです。もう遅くなっちゃったのでやっぱり肘当てをしてもう1(2)シーズン頑張ってもらうことにします。やれやれ・・・。

その後:
このひじあてに問題発生! → セーターの肘当てその後

Blacker Than the Night 【発見】

Más negro que la noche (1975) メキシコ
Darker Than Night
監督:カルロス・エンリケ・タボアーダ
出演:クラウディア・イスラス、スサーナ・ドサマンテス、ヘレナ・ロホ、ルシア・メンデス、アリシア・ パラシオス、タマラ・ガリーナ

※内容に触れています。

■あらすじ
大きな屋敷で猫と暮らしている老女スサーナが亡くなった。
彼女の唯一の親戚であるオフェリアに、最愛の生き物である猫のベッケルの世話をすることを条件に遺産を譲ると遺言があるという。
オフェリアは3人の友達と一緒に屋敷へ向かった。

友達のうちピラールは猫嫌いだし、オーロラは鳥籠に入ったカナリヤを連れてきていたりと不吉な予感いっぱいの中、庭で猫を呼ぶ婦人の声が聞こえて皆は怯える。オフェリアがウェディングドレスを借りようと出しておくと、眠っている間に燃やされていたりとおかしなことも起きる。
留守中にカナリアがやられていてオーロラは大ショック。
やがて地下室で猫が死んでいるのが見つかり・・・。

■雑感/編みどころ
そもそも何で4人でやって来たのやらと思うのだけど、彼女たちはルームメイトだったので部屋を引き払って皆で移り住んだということなのでしょう。
管理人ソフィアが亡き女主人を尊敬していた様子から、ソフィアがトリックを使って脅かしているのでは?・・・とも疑いますが、霊のしわざでした。

冒頭、スサーナはイギリス式の手つきで水色の毛糸を編んでいて、足元に転がった糸玉に猫がじゃれついています。その最中に心臓発作に襲われ帰らぬ人になりました。

彼女の遺言を軽んじた者が一人また一人と消えてゆき、ソファの上に編み物が出現していたり(スサーナが編んでいた水色のもの。四角くてセーターの身頃みたい)、やましいところのあるマルタは次は自分の番だと恐怖します。
そして・・・最後の犠牲者の胸には2本の太い編み棒が!(wikiで確認

最初と最後に編み物が登場して、かなり満足しました。
余計なお色気シーンも無駄なひねりもなく、真面目すぎるくらいのオカルト作品です。

なんと今年リメイクされたのですが、評判はいまひとつ。
でも発見があるかもしれません。要チェックです!

その後:
リメイク版でも発見しました!

戦慄の七日間 【発見】

Seven Days to Noon (1950) イギリス
監督:ジョン・ボールティング、ロイ・ボールティング
出演:バリー・ジョーンズ、オリーヴ・スローン、アンドレ・モレル

■あらすじ
イギリスの首相官邸に配達された手紙には、「この爆弾の製造中止を発表しない限り、議事堂近くで爆発させる」とあった。差出人は科学研究所の教授で、爆発すればロンドンの半分が吹き飛ぶ威力の小型原子爆弾を持って姿を消している。
猶予は七日間・・・教授を見つけることができるだろうか!?

■雑感
期日が近づきロンドン市民が疎開したりと緊迫感があります。

教授が貸し部屋の広告を見て行ってみると、家主はくわえ煙草を片時も離さず家中にたむろする猫を相手に暮らしているおばさん。演じているのはジョーン・ヒクソンでした。
ミス・マープルになる前は、こういうはすっぱな役が多い気がします。

うんと若い頃はどんなんだろう?と気になりますが・・・
H.G.ウェルズ原作の『奇蹟人間』(1936)ではニキビに悩む既婚の店員役。
すでに30歳くらいですから、若いには違いないけど印象はあまり変わりません。
動画サイトにあった Love from a Stranger (1937) 邦題『血に笑ふ男』でも、はすっぱでおかしなメイド役・・・昔からこの調子なのかな。

■編みどころ
非常事態になり首相が国民に向けてラジオの臨時放送を行い、聞いている人々が映し出されます。その中に病院らしき場所のベッドで編み物をしている女性が!
編み方はやっぱりイギリス式でした。

毛糸が

メンズセーターを編むために注文していた毛糸が届きました。
使うのは濃紺とグレー、そのグレーの色合いが画面ではわかり辛く、ビミョーな色だという評判もあったので実物を確かめるべく封を開けると、見ず知らずの糸が自己主張・・・

・・・なんじゃこりゃー。

いくらなんでもここまで違わないだろうと見てみると色番が違います。
自分が間違えたのかと焦ったけどお店のミスで、電話したら翌日には正しいものが来ました。

お手本と違う糸で違う編み方をするつもりです。
例によって出たとこ勝負だからどうなることやら・・・。
寒くなってきたから早く編まなくては。

ワンス・アポン・ア・タイム 【発見】

第2シーズン第10回 「コオロギは鳴く」(2014/11/27放送)

Once Upon a Time (2011– ) 米ABC
NHK BSプレミアム (2013/9~)

赤ずきんのおばあちゃんが、おとぎの世界で編んでいました!
右手で糸をかけるアメリカ式です。

・・・知った風なことを書いていますが、今までこのドラマを見ていなかったので、おとぎの世界とか赤ずきんとか、何のことやらサッパリわからんでした。昨日までは。

それを途中から見てみた理由は・・・
Robert Carlyle knitting で画像検索してみてください。

ロバート・カーライルが編み物してる!
『ワンス・アポン・ア・タイム』に出演してたの?
と遅まきながら知りまして、画像はプロモーション用で本編には無いかもしれないけど、ちょうど放送中だから見てみたところ、おばあちゃんの編みシーン発見と幸先の良いスタート。
(この再放送は11月29日(土)午後4時30分~)

どんな物語なのかよくわかっていませんが、wikiによると
おとぎ話のキャラクターたちが、魔女の呪いによって本来の記憶を失い、現代のアメリカで暮らしているという設定の物語である。
だそうで。
そんな番宣うっすら見てたような気がします。

おとぎの世界の現在と過去、ストーリーブルックという登場人物たちが暮らしている現代アメリカの小さな町での出来事が目まぐるしく交錯します。
タイムトラベルものに似たところもあるのかな?

編みシーンは他にもありそうなので、この際DVDで第1シーズンからチェックしていきたいと思います。本国では第4シーズンが放送中、まだまだ続きます・・・。

また映像の原作本

『モル・フランダーズ』 ダニエル・デフォー

Moll Flanders (1722) 伊澤龍雄 訳(岩波文庫)

映画版『モル・フランダース』(1996)に編み物が少し登場したのをきっかけに興味はあったものの、この映画化がピンと来なかったので掘り下げは後回しにしていました。
でも他の映像化があるらしい・・・と見てみたドラマ版『モール・フランダース 偽りと欲望の航海』(1996)が面白かったので、原作を読まねば!となった次第です。

■あらすじ
上巻表紙より
女主人公モル・フランダーズの60年は、牢獄で生まれ、情婦12年、人妻5回(うち1回は実の弟)、流刑8年という波瀾にみちたものだった。その彼女も最後は裕福になり、遺産贈与の証書を息子に渡す。そして、牢獄で再会した昔の夫とともにイギリスに戻り、過去の邪悪な生活を悔いつつ余生を送る日々であった。
波瀾万丈すぎるのでは・・・。

■雑感
残念ながら編み物は登場しません。
原作はドラマ版に近いですが、主人公がやむにやまれず悪事を働くこと、運命のいたずらによって窮地に追い込まれてしまうことなどがより強調されています。かなり言い訳臭い感じもしますが、仕方ないのでしょう。当時の社会で女性が一人で身を立てる大変さは伝わってきます。

ちなみにドラマ版で描かれていたのは前半生まででした。

デフォーというと子供の頃の愛読書だったロビンソン・クルーソーの作者のイメージしかなかったけど、本人も波瀾万丈な人生を送ったようです。他の作品も読んでみるつもり。

上記2つの映像化以外の映画化作品に編み物が登場していました。後日紹介します。

2色のマフラー完成

糸はあみもねっと プレミアムウールシルク(40g/82m)色(15)2玉、色(16)2玉
(模様の切りの良いところまでなので少し余り)
8号棒針、完成品の長さ160cm
パターン:Alex Scarf by Nancy Marchant

ウール60%、シルク40%の糸で、肌触りが良いらしいという評判を見てセールの時に買っておいたのを使用。すべすべでふんわり柔らか、ちくちくがりの私の首からも文句は出ませんでした。
この糸は他の色もお試しで買ってみたのでいっぱいあるのですが・・・何に使おうかな。
所々、ちょっとささくれているところもあったり、毛玉ができないかも気になるのでこのマフラーの耐久性を見てから考えよう。

葉っぱがお椀になる件。
端の目と減し目がきついせいだと思って緩くしてみると、かえって伸びて形が崩れました。
そもそも糸の滑りがよくて針の号数が大きいのでダレる要素があり、少々お椀になっても端はきつめのほうが良かったかなと思います。
もう少し摩擦があって軽い糸が向いていたのかも。

きつめ、緩め、いろいろやってみた結果、左側はお椀が目立ち、右側は伸びが目立つ?

色のせいか鯖が連想され・・・。
表側はサバの味噌煮の骨が付いている側(しっぽ近く)に見えて

裏側は骨が付いていない側みたいで、身が浮いている感じが出てるような。

次に何を編もうか、もっとBriocheをやりたいし手袋も編みたいし・・・と思いますが、実用の編み物をしなければなりません! この冬のメンズセーターが無いという事態になっています。

その後:
1シーズン使ってみて、少々毛羽立っているけど毛玉はほとんどできませんでした。でも縦伸びがすごくて長さが160cm→220cmに! 幅は細くなってます。今度編むとしたらもう少し幅広で短くしなくては。