青雷の光る秋 【発見】

アン・クリーヴス著
Blue Lightning (2010) 玉木亨 訳

■あらすじ
ペレス警部は恋人のフランとともに、故郷であるフェア島に帰省した。
初めてのフェア島でペレスの両親と会うことに緊張していたフランも、フィールドセンターで開かれた二人の婚約パーティで楽しいひと時を過ごす。
ところがその後、職員の女性が殺害されていた・・・。

■雑感/編みどころ
「シェトランド四重奏」の最終章です。(続きがあるけれど、一応区切り)
詳細な記述はないものの、編み物はちょこちょこ登場。
でも物語はそれどころではない展開になってしまいます。。。

このシリーズは、一作目の『大鴉の啼く冬』の紹介文に「真っ赤なマフラーで首を絞められ」とあり、舞台がシェトランド島となれば編み物が登場しないわけがないと思って読み始めました。
その期待に違わず、主人公のペレス警部はフェア島出身なのになぜかラテン系・・・それは島に編み物を伝えた(かもしれない)スペインの無敵艦隊の末裔であるという設定であっさり虜に。
彼と事件を通して知り合ったフランとの仲が静かに進展するのも良かったし、島の気候風土や住民の感覚も伝わってきて楽しく読んでいましたが、シリーズが終わってしまい残念です。
この終わり方からの続編がどんなものか、かなり気になっています。

まだ一作も読んでいなくてこれからという方は、ぜひ出版順に読んでください。
季節で言うと 冬 夏 春 秋 の順です。


なぜか第三作目からドラマ化されているのですが、ペレス役が「プライミーバル」なんかに出ていたダグラス・ヘンシュオール・・・外見はイメージと違うけど果たして? 見てみたい!
ドラマにはきっと編み物も登場しているだろうから要チェックです!

燃ゆる十字架のもとに(3)(4) 【発見】

ダイアナ・ガバルドン著
The Fiery Cross (2001) 加藤洋子 訳

『アウトランダー』シリーズの15、16冊目です。
最後に気になる出来事があり、次への興味を繋げています・・・。

詳細な記述はありませんが、(3)に少し、(4)に何箇所か編み物が登場。
視力を失っていても完璧な編み物をする登場人物が、災難のため動揺して間違えていたりします。

モーム短篇選(下) 【発見】

サマセット・モーム著
行方昭夫 訳 (岩波文庫)

上巻は植民地での話などエキゾチックなものが多かったのに比べ、下巻は時代も下り、ほとんど現代の感覚です。上巻より短い物語が多いのも違うところです。
人間が見かけどおりではないことや、それに気づく人と気づかない人の話が多く、上巻とはまた異なる面白さがありました。

「冬の船旅」に編み物が登場していました!
おしゃべりで他の乗客から疎んじられている女性が、あるとき黙々と編み物をします・・・。

モーム短篇選(上) 【発見】

サマセット・モーム著
行方昭夫 訳 (岩波文庫)

「手紙」と「十二人目の妻」に編み物が登場していました!

「レース編みをしていた」というだけの些細な記述でも、そこに編み物があると思うと情景の見え方が変わってきます。
モームの有名なものはいくつか読んだはずだけど、何も憶えていません。
この短編集は人物描写や植民地の空気などが、わずかな文章で手に取るように感じられて面白く、下巻も読んでみようと思います。

以前の記事で「手紙」の映画化は1929年版と1940年版『月光の女』で内容が違うと書きましたが、驚いたことに小説は、そのどちらとも違っていました。
もちろん大筋は同じだけど、結末が小説、1929年の映画(戯曲と同じ?)、『月光の女』で異なるのです。それぞれ良さがあると思いますが、かなり印象が違います。

1929年版は戯曲の流れがあるから、終盤の夫との口論など舞台劇を思わせる激しさなのはわかるとしても、小説にある「育ちの良い女性の豹変」が感じられませんでした。

映画としては『月光の女』のほうが、冷たそうな女性が実は愛に生きていたというメロドラマ的な脚色もありだと思えるし、編み物の登場が多いだけでなく、それを心の動きに絡めているのも気に入っています。