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 サンカの大手袋


「本とキットについて」のコーナーで紹介している Traditional Scottish Knitting のパターンをやっと編みました。この本によると、2.25mmの針と4Plyの糸で婦人用標準サイズの手袋が編めるはずなのですが、今までの僅かな経験からしても、この針と糸で編めるとはとても思えません。ところが編み方をよく見てみると目数が少ない!? そう、パターンの数が違っていたのです。

サンカ手袋のパターン数は形と一体となっていて変更不可能だと思っていたのに、こんな大技があったとは。あとになって気が付いたのですが「サンカ手袋見つけ隊」で紹介していた Shirley さんのデザインもこのタイプだったのです(The Needle Arts Book Shop で両方見られます)。もっと注意力があれば早く気づいていたはずなんですが。

今回の編み方だと、指以外の本体部分は縦横ともにパターン数が一つずつ少ないのです。これって凄い省エネ!! なんとパターンを13個も、1573目も節約できるってんだから驚き! ちょっと待てよ・・・それでも以前アレンジしようとパターンを小さくして9x9にしてみた際より目数は多いんです。糸は今回のほうが少し細めかもしれませんが、どうも大きめになってしまいそうです。やはり欧米の婦人用標準サイズということでしょうか。そうすると私が編みたいのはSサイズということになりますが、ここは実験的に針を0号にして、無理を承知できつめに編んでみることにします。ただし、指に関しては今までとパターンの数も同じなので、針や糸が太いぶん大きめになるのは目をつぶるとして・・・。糸はキットに付属のものを使いました。混紡で、本によるとゴルフやサイクリングなどにおすすめとの事です。

編み方は今まで編んだものと基本的には同じで、親指のマチや指の間にマチを作るというのも同じです。横方向のパターンが1個減っている分、マチを作る方向が違うだけです。親指を最後に編むようになっていますが、技法的には変わりありません。

完成品はこのようになりました。アイロンをかける前は、かなりぼこぼこしていました。少ない目数で編み始めて、ネーム部分の上下で増目をしています。やっぱり指が太いですね〜。全体的にはそう大きい感じはしないのですが、普通はこんなにきつく編むわけにはいかないのでSサイズは無理かも。当たり前ですが従来のものより指が使いづらいです。ネーム部分は黒い線を入れずに、『海の男たちのセーター』に載っていた文字を参考にしました。手首部分はゴム編みにしなかったので、丸まりを防ぐため作り目から3段くらい悪あがきをしてみましたが、あまり効果がありませんでした。右はORO1号との比較です。

手近なものでサンカ手袋が編めれば、もっと気軽に編む人も増えるんじゃないかな〜? と思っているのですが、一応0号の針と3〜4Plyの糸で、婦人用Mサイズ(日本女性ならLサイズ?)以上ならこの編み方でいけそうです。サンカ手袋の技法は省略されていないので、まずこれを編んでみて、というのもいいかもしれません。ゴルフにはわかりませんがサイクリングには良さそうだし、厚みがあるので防寒性が高く、丈夫でアウトドアに向いていると思います。

この編み方と9x9のアレンジを組み合わせるとSサイズも編めるかも! そこまで行くと違いすぎですかね? 指はあまり細く出来ないという問題もありますが、そのうち試してみたいです。上に書いた Shirley さんデザインの Scottish Diamond Gloves も省エネ型と9x9の組み合わせのようです。だから太めの糸でもきつく編んだりしないでMサイズになったんでしょうね。個人的には見た目は従来型の精密なタイプのほうが好みですが、編む楽さにかけてはこちらも捨て難いです。


ORO3号データ:
メーカー不明SockYarn4Ply(毛75% ポリアミド25%)
金属製0号5本針、輪針
サイズ
手首周16cm、ネーム部分周17.5cm、手の平周19.5cm、手首から中指先までの長さ17cm、手首編み+ネーム部分の長さ6cm
完成品重量
66g

従来型とのマチ部分の違い 興味のある方はご覧ください!
Last modified: 2016/01/20