白と黒 【発見】

1963年 東宝
監督:堀川弘通
出演:小林桂樹、仲代達矢、井川比佐志、乙羽信子、淡島千景、大空真弓

■あらすじ
弁護士の浜野は恩師の宗方弁護士の妻である靖江と深い仲だった。
ある夜、靖江に罵られた浜野は靖江の首を絞めて殺す。
宗方家を訪問したことを知られている浜野は自分が真っ先に疑われると思っていたが、前科四犯の脇田という男が逮捕され殺害を自供した。

死刑廃止論者である宗方が脇田の弁護を引き受け、罪の意識に苦しむ浜野も一緒に弁護に当たる。酒の席で酔った浜野は検事の落合に、脇田には殺人の証拠がないだろうと執拗に絡んできた。そこに違和感を感じた落合は詳しく調べ始める・・・。

■雑感/編みどころ
二転三転して面白かったです。
脇田が殺していないとなると当然自分が容疑者になるとわかっていながら、無実だと思っている人間が死刑になるのに耐えられない浜野は、深夜に落合の家を訪ねます。そのとき落合の妻(乙羽信子)が編んでいました!

この夫婦には小学生くらいの男の子と女の子がいて、編んでいたのは大きさからして男の子用のセーターではないかと思います。アメリカ式の棒針での輪編みで、ネックから編むセーターみたいです。
映画の最初のほうで妻が着ていたカーディガンも手編み風でした。

今年最初の収穫

去年の冬に蒔いたコリアンダー。
大きくならないし葉っぱの色が悪くて・・・。
(手前がずいぶん小さいのはスズメに踏まれたからかも)

これはきっと栄養が足りていないんだろうと肥料をやって2週間。
色が良くなり元気に育ってる!

暑くなってきたので冷やし中華風の麺と一緒にいただきました。
毎度のことだけど、すでにとう立ちしそうな気配が。
早めに利用することにします。

メンズセーター終わり

最近、なるべくラグラン袖にしたい病になっています。
これも脇から上が袖付け無しのラグランなので、うまくいけば模様を変えて定番パターンにできるかも・・・と編んでみました。


『毛糸だま』2014年冬号から「カルロス」
糸はパピー シェットランド (40g/90m)
色(20)10玉、色(7)5玉、色(9)少々、濃い水色の残り糸少々、棒針7号~5号

お手本の糸はアルネ&カルロスのオリジナルヤーンで、実物は見ていませんが『毛糸だま』の写真では艶があるように見えて、パピーのシェットランド のマットな感じとはだいぶ違いそうです。紺色は青みを抑えた暗い色、グレーはベージュがかっています。この組み合わせは三國万里子さんがやっていました。

使用針はお手本より1号太くしました。
袖の模様の開始段を間違えています。

往復の編み込みが嫌なので輪編みにしましたが、境目に段差ができるし(Jogless Jog にしてるつもりだけど目立つ)、綴じ代があったほうが糸始末しやすいことを考えると、やっぱり往復編みの方が向いているのかも。


一見、問題なく完成しているように見えますが、サイズがおかしかった!

出来上がりはだいたいお手本どおり(やや短いくらい)なのに、かなり丈が長く感じます。たしかに数字的にも長いのですが、着た感じがまた一段と。そのわりに脇から上の丈が足りなくて、袖ぐりがぱつんぱつんしてます(袖を編むときに手がきつくなったのかも)。
中には冬物のシャツを着るので、このぱつぱつは避けられないです。引っ張られてるせいか後ろが短く前が長くなっちゃうし。
カルロスが細長い体型なんだろうか。アルネより身長は高いですけどね。。

このままでは使い物にならないので、脇から上を編み直そうかな?
そうすると丈がますます長くなるので編み込み部分も減らさなくてはダメ?
模様が中途半端になるけど着られないのじゃ仕方ないし。

肘当て事件で引退を考えている古い編み込みセーターとの比較。

古いのはやや幅広で丈が短め、今回のはやや幅狭で丈が長め、これでうまくいくと思ったんだけど袖の形が違うからそう単純には行きませんでした。
編み直して袖ぐりが改善するかどうか・・・まあダメもとでやってみますか。

家族の灯り 【発見】

Gebo et l’ombre (2012) ポルトガル/フランス
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:マイケル・ロンズデール、クラウディア・カルディナーレ、ジャンヌ・モロー、レオノール・シルヴェイラ、リカルド・トレパ

■あらすじ
8年前に息子が失踪して以来、年老いた両親と残された嫁はその帰りを待ちわびる日々を送っている。ただただ帰ってきてほしいと願っている母、しかし何か事情を知る父は息子が戻るのを怖れている様子。養女として育ててきて娘同然の嫁とも相談し、妻だけは悲しませまいとそっとしておくのだが、ある夜息子が帰ってきて・・・。

■雑感/編みどころ
戯曲の翻案とのことで、家の玄関を入ったところの居間のテーブルがおもな舞台。主要な登場人物も家族と友人2人くらいのシンプルな構成です。

嫁がかぎ針のレース編みをしています。
細長いので衿のようにも見えるし、窓の上飾りやドイリーもレース編みのようなので、そういったものかもしれません・・・。

予告編に編みシーンが入っていました!

映画『家族の灯り』予告編


重力の影

ジョン クレイマー著
Twistor (1989) 小隅黎・小木曽絢子訳

超ひもQを使った食べ物で編み物のときに思い出した本です。古本をひと箱いくらで買ったりすると、目当てじゃないものが忘れられて何年も積み上げたままになっていますが、これもそんな中の一冊でした。

そもそも著者は小説家ではなく物理学者で、「このごろ質のいいハードSFが出ないね」と友人にぼやいたら「それはきみが書かないからだよ」という挑発に乗せられて書いたといいます。(謝辞を要約)

物語の発端は、実験装置を作動させると”場”の物体が消える現象が起き、条件を変えて作動させると”場”の物体が地球の植物ではない木製の球体と置き換わっていたというものです。

読み始めてみると、ちょっと苦手パターン。
地球上を舞台にしたSFにありがちな、研究をめぐる政治的な背景など。実社会をモデルにしているから仕方ないのですが、特にハードSFに出てくるとガッカリなんです。本作も前半はそんな感じで大学の研究室に機材を提供している企業の思惑やら、それを利用している教授の思惑やらが出てきます。そんなことに煩わされずにサイエンス中心にできないものでしょうか。

そんな不満がたまり始めたところへ登場人物がサイバーパンクを小バカにするので、こっちも「あんたの言う質のいいハードSFってのを読ませてもらおうじゃないの」って構えちゃったりして・・・。

途中から劇的な展開があって最後まで飽きることはありませんが、著者の「質のいい」とは科学と似非科学の境界がうまくぼかされておりエンタメ性も満たしているということみたいです。ロマンス、子供、動物、サスペンスなどが盛り沢山、視覚に訴える要素が多いのでこのまま映像化してもかなりいけるんじゃないかと思いますが、そんな話はなかったのかな?

サイエンス部分を期待していただけに、都合の良すぎる展開と楽観的過ぎる結末はいただけませんでした。ネタはすごく面白いんですけどね~。

イン・ウィッチ・ウィ・サーヴ 【発見】

In Which We Serve (1942) イギリス
監督:ノエル・カワード、デヴィッド・リーン
出演:ノエル・カワード、ジョン・ミルズ、デレク・エルフィンストーン、バーナード・マイルズ

■あらすじ
第二次世界大戦中のクレタ島で、駆逐艦トリン号は敵の爆撃機にやられ転覆しそうになる。乗組員は海に飛び込み、傷つき油まみれになり救命ボートにしがみついたのは十数名、船が沈没してゆく様を見ながら漂う・・・。

■雑感
愛する人との思い出を、助けを待ちながらの回想のような形で描いています。
救命ボートにいる人たちのエピソードが個別にあるというより、艦長とその家族、下士官とその家族、下士官の姪とその恋人(のちに結婚)の水兵、これらを中心にトリン号でのこれまでの戦いも織り交ぜた流れになっています。

タイトルを見て何のことやらと思いましたが『軍旗の下に』として紹介されたものでした。実話がもとで、その翌年に映画が作られたなんて驚きです。

■編みどころ
水兵ショーティの妻で身重のフリーダは、叔父であるハーディの家に同居中。
空襲警報が鳴り爆音が近づく中、ハーディの妻キャスは布を裁断しキャスの母とフリーダは編み物をしています。2人ともエンピツ持ちのイギリス式編み方!
船の中では靴下の繕いをしている水兵がいました。

男の子

Mylène Farmer – Sans Contrefaçon (1987)

ミレーヌ・ファルメールにしてはキャッチーで、全編ぐるぐる回ってます。
映画『ペダル・ドゥース』(1996) の最後にみんなで歌ってた曲。

このビデオはショートフィルム風で長いので

曲だけならこれとか

これがいいかな。
大腰筋のストレッチに効きそうな動きが・・・。

この時のミレーヌの男の子スタイルが、ケイト・ブッシュの少年スタイルに似てる(髪色のせい?)と思ったことを思い出したので、ケイトの曲もついでに。

Kate Bush – Cloudbusting (1985)

ドナルド・サザーランド出演。


ミレーヌの衣装では Paradis inanimé の筋肉図スーツが好き。
あ、この曲も脳内BGMの要素あるな・・・。

恋するよりも素敵なこと―パリ七区のお伽話 【発見】

アンナ・ガヴァルダ著
Ensemble, c’est tout (2004) 薜善子 訳

幸せになるための恋のレシピ』(2007) の原作です。

映画を先に見ているので、本を読みながらも登場人物は映画の中の姿が出てきます。それもほとんど違和感はなく、映画には無かった生い立ちなど人物の背景や後日談もあって満足。映画はどちらかというとカミーユの視点ですが、原作はフランク寄りでした。

編み物に関することは映画より少し多め。

おばあさんが編んでくれるセーターについてのフランクの感想。
「穴だらけ」がどういう状態なのか気になります・・・。
不細工だからもういいよって言っているのに相変わらず編んでくれるセーターも、最近は穴だらけ。

おばあさんからマフラーをプレゼントされたカミーユの感想。
とても気に入るんですけどね。
一目見たときそれは雑巾か何かにしか見えなかった。

フランクが言うには
あんな編み物の名人は、俺の婆さまだけだ!

そんな変てこな代物を、カミーユとフィリベールは喜んで身につけてくれて、しかも頭がおかしい風には見えないという・・・このくだりは重要な気がします。

悪魔の微笑み 【発見】

La notte dei diavoli (1972) イタリア/スペイン
The Night of the Devils
監督:ジョルジョ・フェローニ
出演:ジャンニ・ガルコ、アゴスティーナ・ベリ、マーク・ロバーツ、チンジア・デ・カロリス、テレサ・ギンペラ、ウンベルト・ラオ

一応ホラーの部類になっているので苦手な方はご注意ください。
※かなり内容に触れています。

■あらすじ
記憶喪失でボロボロになった男が病院に保護された。
男はショックのせいで口もきけず、暗闇におびえて夜は窓の外を伺っている。彼を知っているステンカという女性がやってきたが、彼女の姿を見ると男は錯乱し逃げ出そうとした。

ニコラスの回想・・・
一週間前、彼は材木の買い付けのため山道に車を走らせていた。
飛び出してきた女を避けようとハンドルを切った際に車が故障し、近くの民家に助けを求める。一家の長は弟を埋葬してきたところだという。家族はほかに弟の未亡人と幼い二人の子供、家長の息子二人と娘一人である。

ニコラスは早く車の修理をしたかったが、夜になると危険だと言われ泊まることにした。彼らは廃墟しかない集落で厳重な戸締りをする。ここにはどんな秘密があるのだろうか。

翌日、家長は呪いを解くと言って出かけ、遅くなったものの戻ってきた。
その後、孫娘がいなくなり、家長が連れ出したのだとわかる。
ニコラスは娘ステンカと惹かれあい、車が修理できて出発する際に一緒に行こうと誘うが、ステンカは未亡人を残しては行けない、いつか連れに来てほしいと言う。
やがて帰ってきた家長は、やはり悪魔にとりつかれていた。

呪いを信じていなかったニコラスだが、村へ行き事情を知る人と山で見たことを話し合ううち、ステンカを助けなければと山へ戻る。そこでは皆の様子が変わっていた・・・。

■雑感
悪魔にとりつかれた者は死んでもじっとしていないで、愛する者を襲うのだそうです。その呪いを断ち切るには心臓に杭を打たなければなりません。とどめを刺して本当に死ぬと、なぜか顔面崩壊するのです。それがニコラスのトラウマになり脳裏に繰り返し現れ苦しみます。

顔面崩壊などの特殊メイクがいまひとつなのと、呪いが突然やってきたような経緯が不明でちょっとモヤモヤします。でも真面目な作りで出演者も良いし、ニコラスがびっくりする結末が良い意味で謎めいていて、単なる怖がらせホラーとは違って切ないです。

この映画はA.K.トルストイの『吸血鬼の家族』の翻案とのことです。(マリオ・バーヴァ監督『ブラック・サバス 恐怖!三つの顔』(1963)の第二話「吸血鬼ウルダラク」と同じ)
原作も読んでみようと思います。

■編みどころ
イギリス式に近いような編み方で、未亡人ヘレンが編んでいました!
幼い娘はかぎ針編みの肩掛け(ケープ?)をしています。

にんじん 【発見】

Poil de carotte (1932) フランス
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
原作:ジュール・ルナール
出演:ロベール・リナン、アリ・ボール、カトリーヌ・フォントネー

■あらすじ
ルピック氏の息子のフランソワ少年は、赤い髪と顔のそばかすから「にんじん」と呼ばれている。それは実の母親から付けられたあだ名で、ルピック夫人は上の二人の子供に対する接し方とは全く違い、何かにつけてフランソワをいじめるのだった。

フランソワは母親の仕打ちを恐れ、父親に甘えたくても母親に邪魔される。父親は仕事が忙しく、そこまで酷い状況とは知らない。思い余ったフランソワは・・・。

■雑感/編みどころ
外出から帰ってきたフランソワは、家の近くで遊んでいる子供たちに石を投げるといういたずらをします。傍の階段の途中に子供の母親らしき女性が座って編んでいました!
映像が不鮮明なのでよくわかりませんが、金属製の針で小物を編んでいて糸はポケットの中にあるみたいです。

女性がフランソワに向かって「何をするんだい とんだガキだね」と怒ると、ルピック夫人が「ガキ? うちの子をガキ呼ばわりしたね」と、人前でだけフランソワを可愛がってみせます。

原作は読んでいません。
子供向けの話だろうと思っていましたが、大人のほうが身につまされるような感じです。
青空文庫にあったのでちらっと見てみたら、最初の方にルピック夫人は編物をしという場面がありました。のちほどじっくり読んで、ほかの映像化もチェックしたいと思います。