翻案の翻案

『幽霊塔』 江戸川乱歩

黒岩涙香版を読んだので、次は江戸川乱歩版です。
明治時代とは違って文章も読みやすく、人名や地名が完全に日本化されていて違和感がありません。細かい部分が省略、変更されていますが、大筋はそのままでした。

筋書きを知っているせいもあるかもしれないけど、緊張感や不気味さには乏しく(特に養蟲園の描写があっさりしすぎ)、ヒロインの魅力も物足りなく感じました。主人公の尊大さが抑えられていたのは良いのですが、全体に小粒になってしまった気もします。
プロローグとエピローグは平和なので、本編はドラマチックにしてほしかったけど、涙香版では冗長すぎるし・・・でも乱歩版を読んだことで、涙香版の良さも認識できたのは収穫でした。

あとは原作の『灰色の女』(A.M.ウィリアムスン)ですが、これが『白衣の女』(ウィルキー・コリンズ)から設定を借りているらしいので、『白衣の女』を先に読むつもりです。

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