リナ・ウェルトミューラー監督作3本 【発見】

Kino Classics Lina Wertmuller Collection の3枚組みBoxで鑑賞。
以前からMimiが見たかったのですが、日本版が一向に出ません。
待ちくたびれたので海外版でもと思い、どれも未見だからBoxにしてみたら、なんと他の作品にも発見がありました!
この3本は同時期で、テーマや出演者が似通っています。

Mimì metallurgico ferito nell’onore

The Seduction of Mimi (1972) イタリア 邦題『ミミの誘惑』?
出演:ジャンカルロ・ジャンニーニ、マリアンジェラ・メラート、テューリ・フェッロ

■あらすじ
シチリア島の労働者ミミは、マフィアの不正選挙に逆らったため村に居られなくなる。
妻を残してトリノに働きに出たが、編み物をしながら路上販売しているフィオレに心奪われ・・・。

■雑感/編みどころ
2年後の『流されて…』ではマダム顔のマリアンジェラ・メラート(今年亡くなりました)が、この作品では若々しくて可愛い女です。ちょっと杏(あん)と似ている?

路上ではアメリカ式のような、ややぎこちない手つきで棒針編み。
フィオレの部屋には毛糸のかせがいくつも吊り下げられ、かせくり器なども見えます。
ざっくり軽めな感じの多色のランダム横縞セーター、カラフルな幾何学模様のパッチワーク風(かぎ針編み)、マフラー、ショールなど様々登場。
大胆な色柄も、無造作に着こなすのがイタリアンやねん~。
スクリーンショット(Blu-ray.com)


Film d’amore e d’anarchia, ovvero ‘stamattina alle 10 in via dei Fiori nella nota casa di tolleranza…’

Love And Anarchy (1973)  イタリア 邦題『愛とアナーキーの映画』?
出演:ジャンカルロ・ジャンニーニ、マリアンジェラ・メラート、リナ・ポリト

■あらすじ
30年代のイタリア、ムッソリーニ暗殺をもくろむ男が、協力者サロメの売春宿にやってきた。
そこで出会った娘と深い仲になり・・・。

■雑感/編みどころ
Mimiと同じ黄金コンビが出演していますが、今回は相手役ではありません。
編みシーンはないのですが・・・。

出先の農家の納屋でいちゃついていると、あるじが部屋を使えと言ってくれます。
部屋には編みかけか繕いかけの靴下が紙箱に入れて置いてあり、とじ針?が刺さっていました。地方の農家出身の主人公は故郷を思い出し「両親の実家みたいだ」「母親もいつも編み物をしていた」と懐かしそうに語ります。


Tutto a posto e niente in ordine

All Screwed Up (1974) イタリア
出演:ルイジ・ディベルティ、リナ・ポリト、ジュリアーナ・カランドラ、ニノ・ビニャミーニ

■あらすじ
イタリア南部の若者2人はミラノに働きに出た。すぐに同じような境遇の出稼ぎ者たちと知り合い、職も得て共同住宅で暮らし始める。メイドやコックとして働くも生活は苦しく、やがて男は空き巣を企み、女は通りに立つようになる・・・。

■雑感/編みどころ
Mimiと同じく、南部から都会へ出た労働者の話ですが、他2作とは違って群像劇。

近代的なオフィスビルが立ち並ぶ中に取り残されたような安アパート、中庭に面した外廊下は夫婦喧嘩の罵声が飛び交ったり洗濯物が干してあったりと生活感いっぱい。
ご婦人2人が椅子に座り、セーターなど膝に置いてかぎ針を使っているように見えました。

また、通りに立つ女性のひとりがモチーフつなぎのポンチョのようなものを羽織っています。一辺が15cmくらいの黒ベースのグラニースクエア風で、手を出すスリットは繋ぎ目ではないところにあります。これはもしかしてブランケットをリメイクしたのかも?
他にも赤ちゃんものや手編みっぽいウェアも登場しました。


リナ・ウェルトミューラー監督作では『セブン・ビューティーズ』(1975)にも編み物が出てきました。この発見率はなかなかのものではないでしょうか。
違う監督だけどジャンカルロ・ジャンニーニが出演している『セッソ・マット』(1973)、『スナックバー・ブダペスト』(1988)にも編み物が登場するし、この周辺をもっと掘り起こしたいです。

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